人気番組のロケ中にヒグマの襲撃にあってしまった悲劇の写真家・星野道夫とは?
2022年12月22日 更新

人気番組のロケ中にヒグマの襲撃にあってしまった悲劇の写真家・星野道夫とは?

自然の厳しさと美しさに魅せられ、アラスカに住む動物や自然を写真で伝え続けてくれた探検家であり写真家でもある星野道夫さん。大自然での経験豊富な星野道夫さんは1996年にTBSの人気番組「どうぶつ奇想天外」に出演し、ヒグマに襲われて帰らぬ人になってしまいました。でも星野道夫さんが遺してくれた数多くの写真や功績は多くの人々の心を今も打ち続けています。今回はそんな星野道夫さんの生涯や、ヒグマ襲撃事件についてご紹介します。

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星野道夫のプロフィール

まずは星野道夫さんのプロフィールからご紹介します。
本名:星野道夫(ほしのみちお)
生年月日:1952年9月27日
没年月日:1996年8月8日
出身地:千葉県市川市
最終学歴:慶応義塾大学経済学部卒業
職業:写真家・探検家・詩人

慶応義塾高等学校在学中の16歳のときに、アルバイトをして旅費を貯めてアメリカに2か月間の冒険の旅に出ます。

そのときの様子はエッセイ「16歳のとき」にまとめられました。
少年のころから、チャレンジ精神に溢れていたのですね。
高校生で海外へ2か月間の冒険の旅は、かなり勇気が要ります。
憧れはありますが、なかなか実行に移すのは難しいですよね。
実行に移した星野道夫さんは素晴らしいです。
 彼の高校生時代の夢は、北アメリカ大陸への旅であった。そのために彼は、地下鉄工事等、さまざまなアルバイトをして資金をため、父の理解と援助を得て、ついに16歳のとき、約2ヶ月間の大冒険の旅に出るのである。

 初めてのアメリカへの一人旅の中で、彼は、世界の広さ、異なる世界に生きる人々の生活、まわりの人々に対する感謝の気持ち、人生にとって大切なものは何かを、体験と感動を通して学んだ。

 現在では、海外旅行や留学経験のある高校生も少なくないが、当時(60年代後半)は海外渡航が自由化されたばかりで、1968年の海外渡航者数は、約34万3千人であった(2000年は、約1700万人)。
 生徒には、同年代の高校生として、彼の足跡をたどることにより、このような彼の感動を共有させ、夢とそれに向けての努力、さらに自己の生き方などを考えさせたい。

星野道夫さんの2か月の体験と感動を、同年代の高校生が足跡を辿って共有するという目的で教科書にも載っています!

写真展 星野道夫「悠久の時を旅する」

極寒の地に生きる動物たちと自然に見せられた星野道夫さんは、1年の大半が雪と氷に閉ざされる極北の地、アラスカをたったひとりで旅してきました。

そして中でもカリブーと呼ばれる、野生のトナカイの大移動の撮影に情熱を注いでいます。
最果ての地で1か月以上もトナカイを待ち続け、先住民ですらほとんど見たことがないというカリブーの撮影に成功しました。

すごいですね…。
自然は厳しいほど、美しいのかもしれません。
アラスカ州 - Wikipedia (2487950)

ヒグマ襲撃事件とは?

【閲覧注意】星野道夫ヒグマ襲撃事件 星野の悲鳴とヒグマの唸り声がキャンプ場に響く

極寒の地で活躍を続ける星野道夫さんでしたが、1996年に痛ましい事件が起きてしまいます。
TBS系の人気番組「どうぶつ奇想天外!」に、「ヒグマと鮭をテーマに撮影する」という企画を持ちこみ撮影が決まりました。

1996年7月25日に、 ロシア・カムチャツカ地方クリル湖畔をTBSスタッフ3名とロシア人ガイド2名と共に訪れた星野道夫さんは、スタッフたち5人が止まる小屋から数メートル離れた場所にテントを張ります。

27日にアメリカ人の写真家が現地を訪れ、星野道夫さんのテントの近くにテントを張りました。
アメリカ人写真家は、小屋の食糧庫の上によじ登りその後星野道夫さんのテント後方にいるヒグマを発見します。

アメリカ人写真家がガイドを呼び、ガイドはクマ除けスプレーを噴射し悪戦苦闘しましたが、かけることが出来ずそのうちにヒグマはテントから離れていきました。
・7月29日…ロシアの地方局の取材用ヘリが額に赤い傷があるヒグマに襲われ、窓を破られる

・8月1日…ロシアの環境保護団体のグループが撮影クルーたちがいる小屋の近くにテントを張るが、額に赤い傷があるヒグマに靴を持ち去られる

・8月1日…鮭観察タワーにも額に赤い傷があるヒグマが現れる。一晩中、タワーをよじ登ろうとしていた

・8月6日…再び星野道夫さんのテントの近くに額に赤い傷があるヒグマが現れ、ガイドがスプレーで撃退する
身の危険を感じたアメリカ人写真家はテントをたたみ、その後近くの鮭観察タワーで寝泊まりしていました。
それ以来現地ではヒグマの目撃情報が相次いでいて、ガイドたちは小屋で寝るように星野道夫さんを説得しますが、「この時期はサケが川を上って食べ物が豊富だから、ヒグマは襲ってこない」として耳を貸さず…。

とうとう8月8日の深夜4時頃、事件は起きてしまいました。
星野道夫さんの悲鳴と、ヒグマの唸り声が暗闇のキャンプ場に響き渡ったのです…。
スタッフは「テント!ベアー!ベアー」と叫び、ガイドが懐中電灯で照らすとヒグマが星野道夫さんを引きずっていく姿が見えました。

ガイドたちは大声をあげシャベルをガンガン叩きましたが、ヒグマは1度頭を上げただけでそのまま森へ消えて行ったのです。

ヘリコプターで到着した捜索隊が、空からヒグマを発見し射殺しましたが、その後星野道夫さんの遺体は森の中で発見されています。

事件の経緯は、TBSの遭難報告書により明かされました。
「野生のヒグマは遡上する鮭の多いこの季節に人を襲わない」という考えで、テントに停まり続けた星野道夫さんでしたが、この考えは間違いではないようです。

このときのヒグマは、野生のヒグマではなく地元テレビ局の社長が餌付けしたヒグマで、人間の持つ食べ物の味を知る個体だったこと、そしてこの年は鮭の遡上が遅れ気味だったことなど、不運が重なった不幸な事故でした。

星野道夫 ☆ ALASKA_1(浅き川も深く渡れ) - video Dailymotion

死の直前まで撮影された星野道夫さんの映像は遺族の意向もあり、「極東ロシアヒグマ王国~写真家・星野道夫氏をしのんで~」と題し、後日放送されました。

2016年には「没後20年 特別展 星野道夫の旅」と題した写真展が開催されるなど、星野道夫さんが向き合ってきた自然は今も息づいています。

また2022年は、星野道夫さんの生誕70周年となる年なので、東京都目黒区の東京都写真美術館で写真展「星野道夫 悠久の時を旅する」が11月から開かれました。

影響力が今もとても大きいですね。
若くして亡くなったことはとても悲しいですが、生きてきた証をたくさん遺された星野道夫さん。
その証は観る人に感動を与えてくれますね。
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