読者からのご相談
2ヶ月前に北海道に住む父の兄が他界しました。病名は肺がんでした。コロナ禍ではありましたが、感染対策を施した上で葬儀が行われ、久々に親族が集まりました。
葬儀後の食事会の席で話題となったのが、故人所有のマンションの相続でした。故人は生涯結婚をせず、配偶者も子供もおりませんでした。
また、肺がんの中でも病状の進行が速い小細胞がんでしたので、気付いた時にはかなり深刻な状態となっていました。それもあり、故人名義のマンション相続に関して話し合う機会も遺言書も無く、他界してしまいました。
そこで思わぬ展開となったのが、法定相続人として父がマンションの名義を引き継いではというもの。父は北海道から東京へ出てきて約50年。定年後も東京の賃貸マンションに住んでおります。
他の兄弟は全員地元の北海道で暮らし、自身の持ち家もありますので、父に北海道へと帰ってきて貰いたいという願いも込めての提案だったかと思われます。
兄弟は故人含め5人と比較的多いのですが、それぞれがいわゆる相続放棄をしてくれると口頭での確認は取っております。父も「最期は地元で」という想いが日に日に強くなってきているようです。
そこで気になるのが、相続放棄の期限です。相続の開始があったことを知った日から3ヶ月が過ぎると、手続きが難しくなると聞いたことがあります。すでに父の兄が亡くなってから2ヶ月が経過しています。
これから1ヶ月もない中で、書類を用意し、遠方に住む高齢の兄弟達からその書類に一筆と判子をもらうという事務的作業が可能なのでしょうか。
さらに期限には法務局で書類を受理してもらうまでの審査期間を含めるのかなど、分からないことが多く困っております。何かアドバイスをいただければ幸いです。
權田FP(ファイナンシャル・プランナー)からの回答
「相続放棄」についてお悩みということでお答えさせていただきます。 ご相談者様の仰る通り、相続放棄の期限は「相続の開始を知った日から3か月以内=亡くなった日から3か月以内」に家庭裁判所に申し出なければなりません。
相続放棄をしたい人は、亡くなった被相続人の最後の住所地の家庭裁判所に申し出ることになります。(3か月以内に家庭裁判所に申し出れば相続放棄ができます。)
必要な書類関係は、
-相続放棄申述書
-戸籍関連書類
になります。
ご注意点としては、相続放棄を申し出て認められると撤回することはできません。また、相続税の計算においては相続放棄した人も法定相続人として人数に入れます。例えば、今回はご兄弟4名が法定相続人となりますので、3,000万円+(600万円×法定相続人4名)=5,400万円までは非課税となります。
もしも3か月を過ぎてしまったら??
もし3か月以内を過ぎてしまった場合でも相続放棄が認められる場合もあります。
・故人に借金があることを相続放棄の期限を過ぎて初めて知った場合。
などが挙げられます。
今回は遺産の内容も明確ですので、3か月を過ぎての相続放棄は認められない可能性が高いと思われます。
今回の場合、士業の方へ相談するのが良いと思います
相続放棄のお手続きは、相続人ご自身でも可能ですが、今回は時間もないことですし、書類を整えることも大変ですので、専門の士業の方にお任せしたほうが良いと思います。 弁護士もしくは司法書士に依頼するのが良いでしょう。 費用はかかりますが、大体3~10万円くらいを見込んでおけばよいと思います。
時間のない中でのお手続きは大変かと思いますが、早めに専門家へのご相談をおすすめします。
權田FPのプロフィール
中学時代はテニス部で毎日部活。高校時代はケガで部活引退後、友人との遊びに明け暮れる。
大学時代はサークル活動に力を入れ、テニスサークルでありながら、メインはバーベキュー・ドライブ。
学業については想像にお任せしますが、大学は4年で卒業(笑)
大学生時代に麻雀にハマり、学校よりも雀荘に居る時間のほうが多くなる。
社会人になってゴルフにハマり、年間50回ペースでラウンド。(就職先がゴルフメーカーだったことが影響。おかげでハンディキャップもシングルに。)
現在はファイナンシャルプランナーとして活動しライフプランや資産運用、保険、相続など幅広い相談を年間100件ほど担当。不動産FPとしても活動しており、住宅購入のサポートを行っている。
中でも、相続・家族信託などの分野を得意としており、最近、自分の親世代の相談が増加傾向にある。
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FP(ファイナンシャル・プランナー)とは
相談者の悩み解決や目標の達成に向け、ライフスタイルや価値観、取り巻くを踏まえながら家族状況、収入と支出、資産、保険などのデータを活かしながら現状を分析します。そして相談者に対して長期的、総合的な視点でアドバイスや資産設計を行い、ときにはその実行までサポートします。
そして必要に応じて弁護士や司法書士、税理士、社会保険労務士、保険・不動産の専門家、銀行・証券会社など各分野の専門家ネットワークを活かしてファイナンシャル・プランニングを実行します。