飽食の時代に涙をさらった人情話、いっぽうで後に世間を騒がせた一件。
そんな「一杯のかけそば」を取り巻く背景について振り返ってみましょう。
概要
1989年、実話を元にした童話といううたい文句で、涙を誘う話『一杯のかけそば』は、日本中で話題となり、映画化されるなど社会現象にまでなりましたが、「実話としては辻褄の合わない点」「作者に纏わる不祥事」などの影響により、次第にブームは沈静化していきました。
あらすじ
「かけそば…一人前なのですが…よろしいでしょうか?」
それを見た主人は、こっそり1.5人前のそばを茹でます。
そして、親子3人で出された一杯のかけそばを分け合って食べたのでした。
この親子は交通事故で父親を亡くし、年に一回大晦日だけ父親の好きだったかけそばを食べに来ることだけが贅沢だったのです。
次の年の大晦日も…その次の年も。かけそば一人前を注文しにくる親子。
いつしか主人は、親子の来店を楽しみにするようになり、毎年大晦日だけは親子の座るテーブルを予約席にするようになったのでした。
しかし、突然めっきり見かけなくなったかけそばの親子。
予約席をとって待ち続けたそば屋の主人。
そして十数年後のある日、すっかり大きくなった子供を連れた親子三人が再び来店するようになります、子供達は就職して立派な大人となり親子三人で「かけそば」を三丁頼むのでした。
主人は涙で頬を濡らしながら、かけ三丁を拵えるのでした。
政界やワイドショーを巻き込み、一大ブームに
ピーク時には週刊誌に全文が掲載されたり、雑誌ではこの童話の話題一色になったり…。また、テレビでもフジテレビがワイドショーで5日間も日替わり朗読放送「かけそば大特集」を組んでいました。当然原作者も売れっ子になり、テレビ出演して自作を読み上げていました。
後援会
映画化
泉ピン子が母親役を演じていました。
この影響力って一体・・・。
誰でも分かり易い教科書的なお話ではありますけどね!
ブームの沈静化
実話との触れ込みで感動したのに、よく読むとあまりに不自然な点が多い。一度で見破れなかった自分に腹が立つ、という気分もこみで作者がたたかれました。