機械音が特徴的な『はじめてのチュウ』架空の歌手あんしんパパの正体とは!?
2017年2月18日 更新

機械音が特徴的な『はじめてのチュウ』架空の歌手あんしんパパの正体とは!?

謎の架空歌手・あんしんパパが歌う『はじめてのチュウ』。キテレツ大百科のテーマソングに起用された。あの独特な機械音のような歌声が耳に残るアニメソングだ。また、ハイスタ等のミュージシャンに数多くカバーされている名曲でもある。

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あんしんパパの『はじめてのチュウ』

80~90年代にかけて放送された藤子・F・不二雄原作の人気アニメ「キテレツ大百科」のテーマ曲に起用された、あんしんパパの『はじめてのチュウ』。
当初はオープニングで起用されたが、後にエンディングで起用された。

オープニングでの使用は、第87回から第108回。エンディングでの使用は第109回から第170回、第213回から第291回、第311回から第331回と所々に空白期間がある。
人気アニメ「キテレツ大百科」

人気アニメ「キテレツ大百科」

左が主人公の木手のび太、いや英一!発明好きな少年、通称キテレツ!

右はもちろん、ドラじゃなくてコロ助!!コロッケが大好物だった!通称ネギ坊主でらっしゃい!!

タイトル通り、”はじめてのチュウ”について歌った曲

同曲は、ファーストキッス、そう”はじめてのチュウ”について歌った曲である。
おそらく思春期の少年(筆者は題材が1回目のチュウである事から、”中1”の男の子ではないかとプロファイリングしている)が物語の主人公として描かれた曲。

恋愛経験豊富なラブハンターからすれば小さな一歩だが、一介の少年にとっては非常に大きな一歩である、”はじめてのチュウ”を経験した後の揺れる心情、ZARD風に言えば揺れる想いが歌われている。
『はじめてのチュウ』

『はじめてのチュウ』

1995年11月1日、2度目の再発版。
1995年のシングル売上は10万枚を超えている。

1990年5月1日の初版版は、1993年当時、アニメソングは1万枚でヒットとされる中、1993年1月時点でCDとテープを合わせて約2万枚を売り上げている。
楽曲『はじめてのチュウ』から歌詞を引用すれば、「眠れない 夜 君のせいだよ」と冒頭から人のせいにするなんたる不届き者と思いきや「さっき別れたばかりなのに 耳たぶがfor you 燃えている for you」と何やら赤面状態である事を吐露し、さらに感動詞である「やった」と「Wow」を日米両国の言語で連呼する。

この時点で、語っているのはかなりの少年性を保持した者である事が分かるが、さらに「はじめてのチュウ 君とチュウ」とキスではなく、「チュウ」と表現したことから、ほんとの少年じゃんと断定することが出来た。

情熱的かつ叙情的な歌詞は、終始「君」とのチュウへの陶酔感と輝ける未来を歌うハッピー過ぎる内容となっている。
歌詞の登場人物はコロ助だったりして!?

歌詞の登場人物はコロ助だったりして!?

「あんしんパパ」の正体が分からないと、安心できない貴方もこれを読めばもう安心!

同曲の特徴は、純粋無垢な歌詞以外では、あの独特な歌声だろう。

機械音のような歌声は、録音時にテープを半分のスピードで回しながらゆっくり歌い、再生時には通常のスピードで再生するという手法によって、エフェクト処理を施した様な可愛らしい歌声を作り出しているそう。

それでは、歌っている元の声は一体誰なのかという事になる。そう、それが「あんしんパパ」の正体である。

実際に歌っているのは、同曲の作詞・作曲者でもある「実川俊晴」である。
実川は1948年生まれのミュージシャンで、60年代後半からバンド活動等で音楽業界に籍を置いている、90年代当時でも既に大ベテランであった。
「あんしんパパ」こと実川俊晴さん

「あんしんパパ」こと実川俊晴さん

実川は60年代後半~70年代前半にバンド「ハローハッピー」やコーラスワークをアルフィーにリスペクトされたというフォークロックバンド「マギーメイ」等で活躍した後、1979年にソロデビューしている。

同曲が発売された1990年頃からは、シンガーやその卵たちにボイストレーニングを行い、人前に出ないシャドーアーティストとして活動した。また、この頃アルフィーの坂崎幸之助等から「マギーメイ」の再結成を請われるも固辞したというエピソードもある。
『はじめてのチュウ』

『はじめてのチュウ』

エンディングテーマ時の画像
実川本人談によれば、制作のきっかけは早回しを使って楽曲を制作しようというアイデアが先にあったという。次にネズミやハムスター、ビーバー等の鳴き声「チュウ」を思いつき、そこからキスを連想し、ラブストーリーを設定、歌詞を書いていったという。

なお、ボイスチェンジャーを用いて音程を調整するだけではこの様な可愛らしい歌声にはならず、オープンリールデッキ等の様に速度制御が出来る特殊な録音機材が必要であるという。

実川はこれ以外にも更なる録音上の工夫があると述べているが、その詳細については「企業秘密」として明らかにしていない。

キテレツ大百科 OP 「はじめてのチュウ」

オープニングバージョン
シャドーアーティストとして活動し、普段表舞台には姿を現さない実川だが、1999年にはフジテレビ「快進撃TVうたえモン」に出演している。そこでなんと加工した声と地声で『はじめてのチュウ』を披露した。
ただ、司会を務めた今田耕司に対してのリアクションで”変わったおじさん”扱いされるという結果となった(笑)出演理由は不明である。

また、2011年にもフジテレビの番組に出演。木村拓哉と『はじめてのチュウ』を弾き語りデュエットしている。その後は分かっている限りでは、一切公の場所での仕事は受けていない。

下記動画がその際の映像。ゲストの多くが感動している様子が見て取れる。

- はじめてのチュウ( 実川俊晴 木村拓哉

数多くのカバー曲が存在!ハイスタの『はじめてのチュウ』は名曲!!

山崎まさよし、BUMP OF CHICKENの藤原基央等、錚々たるミューシャンがカバーしている『はじめてのチュウ』。
また、国内のミュージシャンだけでなく、クレモンティーヌやラスマス・フェイバー、アンドリューW.K.ら国外アーティストにもカバーされている。

そうした中でも、秀逸なのは90年代後期のパンクブームの先駆け的存在のバンド・ハイスタ(Hi-STANDARD)のカバーではないだろうか。
ハイスタは同曲の歌詞を英訳し、「My First Kiss」として2000年4月に「Love Is A Battlefield」を発売した。スマッシュヒットとなり、オリコン週間3位、2000年の年間48位となった(4曲入りのためアルバム扱い)。

ちなみに1箇所だけ「はじめての」と日本語で歌っている箇所がある。それもまた英語詞を引き立てる実に巧みな表現方法であった。

Hi-STANDARD×コロ助 My first kiss はじめてのチュウ

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