お菓子系雑誌とブルセラブームに湧いた90年代《2》
2020年5月5日 更新

お菓子系雑誌とブルセラブームに湧いた90年代《2》

本稿では前回に引き続き、90年代当時に人気を集めたお菓子系雑誌を特集します。萩原舞や風野舞子といった懐かしの名前も登場しますので、お楽しみに。

26,863 view
後期には大人のイメージを全面に出していました

後期には大人のイメージを全面に出していました

お菓子系モデルたちのレールが、制服水着、ランジェリー、着エロ、最後はヌードと敷かれるようになると、AV事務所が新人を売り出すためのプロモーションとして利用し始めます。すでにAV出演が決まっているモデルを最初はお菓子系モデルとして登場させ、ランジェリー、ヌード、最後はAVと持っていく流れがプロモーションとして仕組まれるようになりました。そうなると初期の現役女子中高生というコンセプトからは段々とずれていき、最初から仕組まれた戦略によってお菓子系モデルが作られるようになったのです。

各雑誌もあのお菓子系モデルが遂にヌード! AVに! みたいなセンセーショナルな紙面を作ることが出来てはいたのですが、そのうちに仕込みであることが読者にバレてしまうことになります。純粋なお菓子系モデルたちを愛した読者は、少なからず不信感を持ったのではないでしょうか。と同時に児童ポルノ法が施行されたことにより、18歳未満のモデルとヌードグラビアが混在する雑誌に規制(主に自主規制という形でしたが)が入り、お菓子系雑誌はだんだんと衰退の道へと進みました。

お菓子系ライバルの岐路

萩原舞と風野舞子は、ちょっとライバル的な部分がありました。活動時期がほぼ同じだったので出版社も気を使っていました。対応する編集者も分かれていました。こちらからすればライバル心を持ってくれるのはいいことで、雑誌も活性化するってものです。その裏には、もちろんAVに持っていくように仕掛けていた部分もありました。アダルトビデオまで持っていければさらに会社の売り上げに貢献できるからです。

彼女たちの心の奥底まで垣間見ることはできませんが、萩原舞は自分がどのような流れにいるのかを理解していたんじゃないかと思っています。きっとAVまでやることになるのを予感していたのではないでしょうか。風野舞子はちょっと違いました。お菓子系でチョイエロモデルのままずっと続けられると思っていた節があります。しかしセミヌード写真集が出たことにより流れが一気に変わることとなります。ファンもメディアもヌードを望み、最後にはAVに進むことを期待されたのです。

推測ですが、この流れは彼女にとって本位ではなかったんだと思います。セミヌード以降、彼女の表情は暗くなり、世に出るグラビアのほとんどは暗いイメージで撮影されることになります。もしかしたら彼女の心情が誌面に現れたものだったのかもしれません。しばらく彼女はヌードグラビア、ヌードイメージビデオの出演をしていましたが、だんだんと露出は減りひっそりと引退してしまいます。彼女は結局AVをやることはありませんでした。

お菓子系モデルの行き着く先にはタレントにという線はほぼありませんでした。グラビアアイドルにはタレントに行く道があったのですが、なぜなのでしょうね。稀な例として元AKBの大島優子が幼少の頃に、ちょっと怪しいイメージビデオに出演したことがあります。『Growing up!(心交社)』という12歳の時に出したイメージビデオです。心交社は着エロビデオやジュニアアイドルを多く制作する会社で、いわゆるエロ本出版社です。大島優子がジュニアアイドルとして活動していたというのは、ファンでもない限りあまり知られていません。

【放送事故】 AKB48 大島優子 子役時代 ロリビデオ出演映像流出 水着撮影

表には出てこないセクシーなカットもありました
ブルセラ、お菓子系、ジュニアアイドルモデルはマニア物というか、アンダーグラウンドのイメージ、レッテルがあったのかも知れませんね。イメージが重要なアイドル業界で、マニア向け雑誌で活躍した過去があるモデルは問題があったのでしょうか。正直よく分からないというのが本音です。

お菓子系雑誌は無くなったが日本のブルセラは今も続くトレンド

お菓子系雑誌はマニア向けのブルセラ、ロリコン雑誌から、イメージの明るい物として出てきた雑誌でした。90年代はブルセラブームと共に爆発的にブームになり、ブルセラアイドルもたくさん登場します。そしてブームが終わりそうになる頃、ジュニアアイドルなる15歳以下のイメージビデオブームが到来し、ロリコン好事家たちに消費されていきました。
Chu→Boh

Chu→Boh

ジュニアアイドル誌も盛んでした。Chu→Bohの他にS...

ジュニアアイドル誌も盛んでした。Chu→Bohの他にSho→Bohなる雑誌も

モエッコもジュニアアイドル雑誌

モエッコもジュニアアイドル雑誌

毎回繰り返されることですが、初登場時は明るく可愛いイメージでグラビアを作っていても、最後にはエロ要素を出していかないとファンは離れていくようになります。そして内容はハードになり、モデルたちは最後の一線を超えるかどうかの選択を迫られます。

悲しいと言えば悲しいのですが、飽きられたら仕事は無くなっちゃうのがグラビアアイドルの宿命なんですよね。消費された後にはまた次のフレッシュなグラビアアイドルが登場する。人気商売というのは残酷です。
初期のAKBはブルセラの要素ありましたよね

初期のAKBはブルセラの要素ありましたよね

乃木坂46 『制服のマネキン』Short Ver.

このように90年代初期サブカルチャーが流行しコギャルブームと同時期に生まれたブルセラ、お菓子系雑誌、ジュニアアイドルブームは、盛り上がり過ぎたがために児童ポルノ法が生まれ、最終的には終焉を迎えました。しかしその要素を取り込み、新たな流れを作ったのがAKBや乃木坂などではないのかなと思ったりします。メジャーアイドルたちがブルセラ、お菓子系のコンセプトを受け継いだのではないかと思うのです。

日本人男性はロリコンだとよく言われています。巷にあふれるアニメ番組の主人公の男の子たちは、中二病をこじらせたキャラがなぜか美少女たちに囲まれるという物語が大半です。エロコミックの表現は幼児陵辱など、歯止めがかかってないようです。日本人男性のローティーンに対する欲望をどう人の成熟度として判断すればいいのかはわかりませんが、言えるのは、海外ではローティーンを性的欲望で描くグラビアやマンガは、摘発の対象となるということなのです。

日本社会のロリコンカルチャーを見逃す風潮は、地上波テレビや町中でも普通に存在していると思いますが、これらに対して私たちは鈍感になっていて、気付かないだけだったりするのかもしれません。こんな状況を問題とするかしないのかの議論は児童ポルノ法が出来たときのように、また必要になってきているのかもしれませんね。

トダカユースケ《プロフィール》

大学卒業後、英知出版勤務。「べっぴん」「ビデオボーイ」「すっぴん」「Dr.ピカソ」編集部などで勤務。その他にも三和出版、マクセル出版など編集畑を渡り歩く。アイドル写真集を30タイトル以上制作。

出版社勤務を辞めた後、IT関連企業に入り、アイドルDVDのメーカーを立ち上げ50タイトル以上の作品を制作。独立後、携帯コンテンツ、電子書籍、ローカルテレビ、企業広告などの制作を行っている。
トダカユースケ氏

トダカユースケ氏

おすすめの特集記事

40 件

思い出を語ろう

     
  • 記事コメント
  • Facebookでコメント
  • コメントはまだありません

    コメントを書く
    ※投稿の受け付けから公開までお時間を頂く場合があります。

あなたにおすすめ

関連する記事こんな記事も人気です♪

お菓子系雑誌とブルセラブームに湧いた90年代《1》

お菓子系雑誌とブルセラブームに湧いた90年代《1》

バブル崩壊後の90年代。当時創刊されたお菓子系雑誌と女子中高生が主役となったブルセラブーム。本稿ではメディアに度々登場した彼女達に焦点を当てます。
トダカユースケ | 15,716 view
名フレーズが忘れられない!80、90年代に放送された思い出のCM集

名フレーズが忘れられない!80、90年代に放送された思い出のCM集

ドラマやバラエティ番組などの途中で入るCMは、見ていないようで結構印象に残っているものです。何度も放送される分、ドラマの内容より覚えていることもあるのではないでしょうか?今回は80.90年代に放送された思い出のCMたちを抜粋しまとめました。聞き覚えのある名フレーズに記憶が蘇ること間違いなしです。
あやおよ | 476 view
2023年の「大人向け」記事TOP10をご紹介!

2023年の「大人向け」記事TOP10をご紹介!

2023年を彩った数々の「大人向け」記事。アダルト性や露出度の高い記事を集めました。その中からPV数の上位10記事をランキング形式でご紹介します。懐かしい女優やアイドル、グラドルばかりのラインナップとなっております!
「90年代」日本を代表した女性モデルたちは現在進行形で容姿端麗?!

「90年代」日本を代表した女性モデルたちは現在進行形で容姿端麗?!

現在では8等身のモデルさんも多いですが、90年代の日本ではだいぶ重宝されたスタイルだったように思います。90年代を代表する、日本人の女性モデルさんたちを抜粋し5名ほどまとめてみました。日本だけでは留まらずに、パリコレにも出るような世界レベルのモデルさんも今回紹介します。そして現在の姿も見ていきたいと思います。
あやおよ | 1,183 view
創刊50年のカルチャー誌「別冊太陽」が小泉今日子を総力特集!ミドルエッジの80年代アイドル特集も要チェック!!

創刊50年のカルチャー誌「別冊太陽」が小泉今日子を総力特集!ミドルエッジの80年代アイドル特集も要チェック!!

平凡社より、別冊太陽『小泉今日子 そして、今日のわたし』の発売が決定しました。発売予定日は11月1日、価格は1980円(税込)。
隣人速報 | 1,476 view

この記事のキーワード

カテゴリ一覧・年代別に探す

あの頃ナウ あなたの「あの頃」を簡単検索!!「生まれた年」「検索したい年齢」を選択するだけ!
リクエスト