ジャミロクワイ「オートマトン」発売記念で田島貴男ら著名人が、90年代を振り返るコメントを公開!
2017年4月9日 更新

ジャミロクワイ「オートマトン」発売記念で田島貴男ら著名人が、90年代を振り返るコメントを公開!

ジャミロクワイの約7年ぶりとなる通算8枚目のスタジオアルバム「オートマトン」の発売を記念して、90年代から活躍している著名人から、当時の思い出や新作の感想コメントが公開されている。

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ジャミロクワイ「オートマトン」発売記念で、90年代から活躍している著名人がコメント!

ジャミロクワイの約7年ぶりとなる通算8枚目のスタジオアルバム「オートマトン」が発売となり、iTunes 週間アルバム・ランキング 2位、オリコン週間アルバムランキング(4月10日付)で 9位を獲得するなど、大ヒットしている。

今回のリリースを記念し、彼が活動を始めた90年代から活躍している著名人から、当時の思い出や新作の感想コメントが寄せられている。

Jamiroquai - Automaton

ジャミロクワイ

ジャミロクワイ

イギリスのバンド。アシッドジャズの世界では最も成功したグループのひとつ。その初期の音楽活動においてインコグニート、ブラン・ニュー・ヘヴィーズ、ガリアーノ、コーデュロイ等のロンドンを本拠地とした面々と共に、1990年代始めのアシッドジャズ界を代表するものとなった。その後のアルバムは、ポップ、ロック、エレクトロニカ等ジャンルを限定しないもので、以前とは違った音楽的方面を模索。世界中で3500万枚以上の売り上げがある。

第一弾コメント

第1弾では、Kyoto Jazz Massiveの沖野修也、ORIGINAL LOVEの田島貴男、NONA REEVESの西寺郷太ら3人がコメント。
沖野修也(Kyoto Jazz Massive)

沖野修也(Kyoto Jazz Massive)

【90年代の思い出】
何を隠そう日本で最初にジャミロクワイをかけたDJは僕。当時のマネージャー、キーロンからデビュー前の12インチを貰ったのでした。初来日時にはThe Roomにも遊びに来てくれて、上にあった中華料理店の裏メニユーをジェイ・ケイに教えたなぁ…。90年代は作り手と聴き手が同じ空間で音楽を楽しんだ希有な時代。ダンス・ミュージックがポップスの世界を席巻する奇跡も目撃した。その経験は色々な意味で僕の財産になっている。

【アルバム「オートマトン」への感想】
初期の素朴な感じに通じるメロディー重視の「クラウド9」に好感が持てる。ちゃんと今っぽいブギーなフィーリングも感じさせてくれるし。ライブではそのファンキーさが強調されるんだろうな。派手さはないけれど、ジェイ・ケイ節が聴けば聴く程沁みて来る!
田島 貴男(ORIGINAL LOVE)

田島 貴男(ORIGINAL LOVE)

【90年代の思い出】
ううーん、なんだろう。サンプラーが一般的な楽器として登場した(笑)。
ポップ・ミュージックの分野では、ヒップホップが新しい音楽をどんどん提示していって、
それに準じて様々なクラブ・ミュージックが台頭して、ロックもその影響をいろいろ受けたりした。様々な音楽が折衷されたりして実験され、多様なストリート・ミュージックが生まれてた時期というか。とにかく馬鹿みたいにレコードとCDばっかり買ってたなあ。みんなそうだったんじゃないかな。

【アルバム「オートマトン」への感想】
「オートマトン」:すっごく久しぶりに聴いたジャミロクワイの新曲だけど、かっこいいエレクトロ・ファンクだね。懐かしい近未来感。センスいい音のカットアップ。踊れる。
「クラウド9」:こちらはかつての彼らを彷彿とさせるレアグルーヴ・ソウル。ジェイ・ケイの歌は相変わらずだなあ。
西寺 郷太(NONA REEVES)

西寺 郷太(NONA REEVES)

【90年代思い出】
92年4月に大学入学で京都から上京。80年代後半はクゥオンタイズされたメカニカルなファンクやニュー・ジャック・スウィングが流行してましたが、90年代で一気にアシッド・ジャズ、生演奏のリヴァイバルが進み時代の潮目が変わりました。その夏フランスに1か月留学したんですが、そこで買ったヤング・ディサイプルズには心酔しましたね。
ブリット・ポップ・ブームも僕にとっては大きかったです。オアシス、ブラーの対立構造。出るシングル、出るアルバムすべてが伝説になり音楽ファンを飲み込んでいきました。パイオニア的存在のストーン・ローゼスのダンサブルな楽曲は、下北沢のライヴハウスが深夜DJイベントになると毎晩爆音でかかっていましたね。
Macも安くなり学生でもギリギリ買えるようになった時代。バンドのロゴやフライヤー、カセットをデザインするのが心から楽しかったことを覚えています。

【アルバム「オートマトン」への感想】
思い返せばジャミロクワイの登場は衝撃的でした。「スティーヴィー・ワンダーそっくりのバンドが出て、ヴォーカルがめちゃくちゃカッコいい」と。噂が広まったのはファースト・アルバムの発売前。僕は大学二年生でしたが、音楽サークル中が騒いでましたね。ただ、僕はかなり狂信的なスティーヴィー・フリークでしたから、ファーストの時点ではジャミロクワイをそこまで好きにはなれなかったんです。完全にぶっ飛ばされたのは翌94年9月の「スペース・カウボーイ」。こんな素晴らしい音楽があるでしょうか! 自分は思ったようなバンドが組めず行き詰まってたんです。今もこの曲と「スティルネス・イン・タイム」を聴くと、プロになるにはどうしたらよいのか途方にくれていたあの頃を思い出して胸が痛くなります!
95年3月、恵比寿ガーデンプレイスで初めて彼らのライヴを観ました。前列のど真ん中で。最高の体験でしたね。
その年の5月に意を決した僕はNONA REEVESを始め、徐々にメンバーも集結しデビューに至ります。ジャミロクワイの影響は大きいですね。以後アルバムはすべて聴きこんでますし、アレンジなど研究もしました。少しレイドバックした前作も僕は大好きでした。今回のシングルで言えばエレクトリックな「オートマトン」よりも、肉感的な「クラウド9」の方が好みかもです。成熟したジェイ・ケイは「よりダンサブルなドナルド・フェイゲン」って感じもします。余裕綽々の大人のファンクにはジョージ・マイケルも感じます。完全に「匠」の領域ですね。
これまですべての来日公演を見てますが、時代時代で正直ジェイ・ケイもモチベーションの「波」があったように思います。今回はほんと時代と完全にクロスしてますから、来日公演が楽しみで仕方ないです。

第2弾コメント

第2弾では、小西康陽、田中宗一郎(thesignmagazine.comクリエイティヴ・ディレクター)がコメントをしている。
小西康陽

小西康陽

【90年代の思い出】
ある日の午後、ロンドンはソーホーにあったレコード屋でゆっくりとジャズの中古レコードを見ていたら、店のスタッフとは知り合いらしい若い男性が入ってきて、元気な声で挨拶しながら、肩に掛けた大きなメッセンジャー・バッグから4、5枚のプロモ用12インチを取り出し、店のカウンターにどさりと置くと、またね!みたいな挨拶をして出て行った。1990年代の音楽のことを思い出すときに、なぜかいつも最初に浮かぶ光景です。

【アルバム「オートマトン」への感想】
90年代に大活躍していた頃、ジャミロクワイのレコードをクラブでプレイしたことはなかったのですが、なぜか2015年に7インチを入手してから小さなハコで毎回のように掛けるようになりました。本当に誰もが嬉しそうに踊っている光景を見ると、彼の音楽がいかに愛されているかがわかります。新曲はまさに彼の真骨頂、トレードマークのようなサウンドだと思いました。アナログ盤があるのなら手に入れたいですね。7インチなら言うことなし、です。
田中宗一郎(thesignmagazine.comクリ...

田中宗一郎(thesignmagazine.comクリエイティヴ・ディレクター)

【90年代の思い出】
個人的に90年代というのは20代半ばからの10年間、年に5〜6回は海外に行ってた時期でもあり、好奇心の赴くままありとあらゆる文化の渦中に身を投じていた記憶があります。ただ湾岸戦争が始まった91年1月から音楽業界にかかわるようになったので、すべての中心はポップ音楽でした。マッドチェスター、ザ・ラーズ、グランジ、G-ファンク、シューゲイザー、アシッド・ジャズ、ブリットポップ、トリップ・ホップ、〈モ・ワックス〉、レディオヘッド、ベック、シカゴ音響系、〈グランド・ロイヤル〉、ホンマタカシ、〈花椿〉、〈SNOOZER〉、ドラムンベース、〈K〉、ハード・ミニマル、NUMBER(N)INE、IDM、98年の世代、ビッグ・ビート、クリック・ハウスーー挙げ出すときりがない。何かと出会う度に髪形と服装がコロコロ変わっていた時代ですね。ほぼ毎週末ずっとクラブで遊んでました。あだ名しか知らない友達がたくさんいた時代。恥ずかしい思い出しかないです。

【アルバム「オートマトン」への感想】
「うーん、よくわからない!」というのが第一印象でした。いい意味で。特に「オートマトン」。ポップ音楽の大半がUSメインストリームが牽引するトレンドと何かしら共振する時代にあって、TR-808風のスネアやハット、重低音のキックに耳が慣れすぎているせいもあるかもしれない。でも、「今、何故このエレクトロニクス主体のファンク・ビート?このスネアやキックの音は何?」と頭をひねらずにはいられない。要するに謎なんです。
だからこそ、JKのオリジネーターとしての矜持を強烈に感じます。ここ数年、アデル、エド・シーランという二大メガ・アーティストと、スケプタやストームジーといったグライム勢を除けばさしたる成果を残していない英国ポップ・シーンにあって、なにひとつ現状に媚びることなく、ただひたすら自らの新たなシグネチャー・サウンドを模索している。
アティチュードとして近いものを感じるのはやはりレディオヘッド。ロバート・グラスパーを筆頭に新世代のジャズ界隈が彼らの「アムニージアック」への返答とも言えるサウンドで注目を浴びる中、それをさらりとかわすかのようにコンテンポラリー・クラシックとブリティッシュ・フォークを独自に解釈したサウンドへと向かった彼らの最新作「ア・ムーン・シェイプト・プール」ですね。あの作品もいまだに謎です。
あるいは、ダフト・パンクの「ヒューマン・アフター・オール」。あの歪んだベース・ラインやヒューマナイズさせないジャストなビート/ぎこちないグルーヴにリリース当初は誰もが頭を傾げたものの、まさにあの1枚のアルバムからフレンチ・エレクトロの隆盛が巻き起こった。「ホームワーク」や「RAM」とは別の形で時代を作った作品ですね。
だからこそ、「エウレカ!」という瞬間がやってくるのを楽しみにしながら、この「オートマトン」というアルバムを聴き続けたい。気がつけば、その後ずっと聴き続けることになるディランもマイルスも最初はまったくわからなかったんですから。そんな位相にある作品なんじゃないか。今はそう思っています。
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