登場人物が全員架空の異色の大河ドラマ「いのち」。舞台は近代!
2021年3月13日 更新

登場人物が全員架空の異色の大河ドラマ「いのち」。舞台は近代!

大河ドラマといえば歴史上の人物を描いた作品が多いですが、近代を舞台にした作品もいくつか存在します。中でも最も近代を描いたドラマ「いのち」を見ていきましょう。主演は三田佳子さん、脚本は橋田壽賀子さんです。

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「いのち」は戦後が舞台!

「いのち」が放送されたのは1986年。今まで大河ドラマといえば戦国時代や幕末などを舞台にした作品がほとんどでしたが。1984年の「山河燃ゆ」、1985年の「春の波涛」と近代を舞台にしたドラマにシフトチェンジしようとしていたのです。「いのち」は終戦直後が舞台になっています。前作の「春の波涛」のラストが戦後だったので時代としてはちょうどつながっていたんですね。

ですが、近代路線になってから大河ドラマの視聴率は低迷していました。そのテコ入れをするために、「おしん」「おんな太閤記」などでNHKでの実績のある橋田壽賀子さんが脚本をすることになりました。初めは司馬遼太郎さん原作の明治時代を舞台にしたお話を依頼していたのですが、橋田先生がオリジナル脚本にこだわり、戦後の話になったそうです。物語は1945年から1986年まで。ちょうど当時の現代まで描かれています。大河ドラマ史上最も新しい時代を舞台にした作品です。

「いのち」の平均視聴率は29.3%で悪くはなかったのですが、前の2作品の視聴率が悪かったこと、評判は良かったけれど「連続テレビ小説と変わらない」という意見もあったことから、跡2年、5年間続くはずだった近代シリーズはこの作品で終了。「大河近代三部作」と呼ばれるようになりました。戦後スタートですと連続テレビ小説の中でも現代よりなくらいですもんね。

この次の作品は「独眼竜政宗」。2021年現在大河ドラマ最高視聴率を記録している作品です。やはり大河ドラマは歴史もの、というファンが多かったんでしょうね。

「いのち」のキャスト

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「いのち」のキャストは以下の通りです。

高原未希→岩田未希:三田佳子
高原正道(未希の父):丹波哲郎
高原千恵(未希の母):久我美子
高原佐智→中川佐智(未希の妹):石野真子
中川邦之(佐智の夫):渡辺徹
工藤清吉(高原家の使用人):大坂志郎
工藤イネ(清吉の妻):赤木春恵

岩田剛造(未希の夫):伊武雅刀
岩田テル(剛造の母):菅井きん

坂口一成(外科医):宇津井健
坂口美代(一成の妻):野際陽子
村中ハル(未希の親友):泉ピン子
浜村直彦(未希の初恋の相手):役所広司

主演は当時すでにベテラン女優だった三田佳子さん。橋田先生の希望によるキャスティングです。「庶民派大河」というのを意識したキャスティングだったので若手俳優やアイドル、芸人なども出ていない地味な印象ですね。実力のある俳優さんだけが出演したという印象です。

歴史ものに比べて登場人物も少ないので。キャスティングの予算が例年の大河に比べてかなりおさえられたそうです。その分高原家のセットを本建築で建てるなどでバランスをとったそうです。

ちなみに、音楽は坂田晃一さんでした。橋田先生が担当した「おんな太閤記」、「春日局」の音楽も坂田さんが担当しているので、橋田先生のセク品はすべて坂田さんの音楽ということになります。

「いのち」のあらすじ

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ドラマは1945年8月18日からスタート。終戦を知った高原未希・佐智姉妹は、東京の自宅が焼けてしまったため、故郷の弘前に向かうため汽車に乗っていました。佐智は空襲で足が不自由になってしまっていました。この電車で未希の親友となる、村中ハル、佐智の夫となる中川邦之と出会います。

弘前に戻り、両親や使用人たちと再会。そんな中母の癌が発覚。まもなくなくなってしまいました。未希はこれをきっかけに医者を目指すことになり、女子医専へ進学します。

一方高原家は農地改革の被害を受けてしまいます。父がシベリア抑留だったことから地主不在とされてしまい、すべての土地を失います。

未希は女子医専を卒業後。地元に帰り医者になります。佐智も看護師の資格を取り、手伝っていました。シベリアから父が戻ってきますが、長い拘束などが原因で余命僅か。佐智は父親が生きているうちの結婚をします。が、その結婚式の日に父は他界してしまいました。

ある日未希は幼馴染の岩田剛造の妊娠中の妻初子を診察したのですが、誤診をし母子ともに亡くしてしまいます。医者としての自信を失った未希はアメリカへ留学。

戻ってきてなんと剛造と結婚。自分の妻を誤診で亡くした医者と結婚なんていくた幼馴染とはいえないなと思うのですが・・・。その通り周囲からは反対されていました。特に結婚した後も姑とは確執がありました。

その後、地元での経営が上手くいかなくなり、1年限定で東京の病院で働くのですが医師不足だった東京でそのまま医師として働くことに。剛造は農業を営んでいるので別居生活となります。そのことで家族といざこざがおこっては解決するというのを繰り返していました。

自分が必要とされているところで働きたいという意志を貫き、最後は離党の意思になっています。

あらすじを追っただけでも面白いのは分かりますが、大河というより連続テレビ小説という感じですね。


逆に歴史ものが苦手な方でも見やすい作品にはなっているので視聴率は良かったんでしょう。
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