大河ドラマで複数回主演を演じた7人の俳優
2023年3月3日 更新

大河ドラマで複数回主演を演じた7人の俳優

1963年から始まったNHK大河ドラマ。1990年代までの38作品に主人公として出演した7人の俳優に注目してみました。

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はじめに

1963年から放送が始まったNHK大河ドラマですが、1990年代までの38作品放送されました。その中で、主人公として一度ならず二度以上出演した俳優に注目し紹介していきたいと思います。

主演「石坂浩二」

NHK大河ドラマ常連俳優の一人で、計11回の出演をしている石坂浩二。3作品で主演しています。

初主演は「天と地と(1960年)」の上杉謙信役です。この作品は大河ドラマカラー作品の第一作でした。2回目の主演は「元禄太平記(1975年)」の柳沢吉保役を演じました。さらに3回目の主演が「草燃える(1979年)」で源頼朝を演じ、北条政子を演じた岩下志麻とともに主演を務めています。

その他出演作品は、
  花の生涯(1963年) NHK大河ドラマ第1作品に役無しで出演
  赤穂浪士(1964年) 役無し
  太閤記(1965年)  石田三成役
  天と地と(1969年) 主演 上杉謙信役
  元禄太平記(1975年)主演 柳沢吉保役
  草燃える(1979年) 主演 源頼朝役
  徳川家康(1983年) 納屋蕉庵役
  八代将軍吉宗(1995年)間部詮房役
  元禄繚乱(1999年) 吉良義央役
  新選組!(2004年) 佐久間象山役
  江〜姫たちの戦国〜(2011年)千利休役
天と地と

天と地と

NHK大河ドラマ第7作品の「天と地と」は、1969年1月5日から12月28日まで放送されました。

原作は、海音寺潮五郎の同名小説。上杉謙信の半生を描いた作品で、武田信玄との川中島の戦いでの対決がクライマックスとなっています。
元禄太平記

元禄太平記

NHK大河ドラマ第13作品目の「元禄太平記」は、1975年1月5日から12月28日まで放送されました。

忠臣蔵をテーマにした大河ドラマとしては、1964年の「赤穂浪士」に続き2作目になります。石坂の起用について、サードディレクターを務めた大原誠は、討ち入りを否定する柳沢には彼なりの論理があり、そうした人物を演じるのに「非常に端正な顔をした、ハンサムな男が悪をやって、初めて悪の怖さが出る」というディレクターの考えのもとに石坂浩二が起用されました。
草燃える

草燃える

NHK大河ドラマの第17作品目の「草燃える」は、1979年1月7日から12月23日まで放送されました。

永井路子の「北条政子」「炎環」「つわものの賦」「相模のもののふたち」「絵巻」などの小説や随筆を原作に、源氏3代による鎌倉幕府樹立を中心とした東国武士団の興亡を描いています。源頼朝が中盤で死んだ後は、北条政子に主人公が移行する形がとられ、ダブル主人公の作品となっています。このスタイルは、大河ドラマでは「国盗り物語」以来でした。

また、セリフ面も現代語や現代語調が多用され、本作以降、現在の語調となっています。

主演「緒形拳」

「太閤記(1965年)」の主役に抜擢された緒形拳。

この作品がNHK大河ドラマ初出演・初主演で、新国劇のホープであったため、新国劇の活動を兼務しながらの出演でした。さらに翌1966年の「源義経」で弁慶役で出演し、2作品続けて役付きで出演するのは稀なことでした。2度目の主演は「峠の群像(1982年)」の大石内蔵助役でした。

出演作品は、
  太閤記(1965年) 主演 豊臣秀吉役(初出演・初主演)
  源義経(1966年) 武蔵坊弁慶役
  新・平家物語(1972年)  阿部麻鳥役
  風と雲と虹と(1976年)  藤原純友役
  黄金の日日(1978年)   豊臣秀吉役
  峠の群像(1982年)  主演 大石内蔵助役
  太平記(1991年)   足利貞氏役
  毛利元就(1997年)   尼子経久役
  風林火山(2007年)   宇佐美定満役
太閤記

太閤記

NHK大河ドラマ第3作品目の「太閤記」は、1965年1月3日から12月26日に放送されました。

原作は豊臣秀吉の半生を描いた吉川英治の小説「新書太閤記」です。この作品は、スター総出演の前2作とは違い、メインキャストに新人(緒形拳)を抜擢しているのが特徴です。秀吉役には「若くて猿っぽい顔」を求めていたところ、「新国劇にサルに似たヤツがいる」という情報をもとに緒形拳が選出されたそうです。
峠の群像

峠の群像

NHK大河ドラマ第20作品目の「峠の群像」は、1982年1月10日から12月19日に放送されました。

赤穂事件を題材とした作品で、主役をベテランの緒形拳を起用する一方、当時人気絶頂にあったたのきんトリオのひとり野村義男をはじめ、三田寛子、小泉今日子、錦織一清、薬丸裕英など、次世代のアイドルが多数起用されました。また大河ドラマにおいて過去の作品と同じ主人公が描かれたのは、この作品が初めてです。

主演「加藤剛」

大河ドラマには2度の出演ですが、2度とも主演だった加藤剛。

TBSテレビの「大岡越前」は長年(36年間)に渡る当たり役でした。初の大河ドラマは、加藤清正を主人公とした話になる予定でしたがとん挫し、主演に決まっていた加藤剛が「平将門を演じたい」と話したことからドラマの内容が決まったそうです。2度目の大河ドラマは、菅原文太とダブル主演でした。

出演作品は
 風と雲と虹と(1976年) 主演 平将門役
 獅子の時代(1980年)  主演 苅谷嘉顕役
風と雲と虹と

風と雲と虹と

NHK大河ドラマ第14作品目の「風と雲と虹と」は、1976年1月4日から12月26日にかけて放送されました。

原作は海音寺潮五郎の小説「平将門」「海と風と虹と」で、平安時代中期が描かれ歴代大河ドラマの中で扱った時代が最も古い作品です。また、歴代大河ドラマの中で全映像の現存が確認されている最古の作品でもあります。2000年代半ばに全放送回の映像が収録された当時の2インチVTRが発見され、9ヶ月にも及ぶデジタルリマスター処理により修復された上で、全話収録の完全版DVDが発売されています。
獅子の時代

獅子の時代

NHK大河ドラマ第18作品目の「獅子の時代」は、1980年1月6日から12月21日まで放送されました。

1967年の「三姉妹」以来13年ぶりの架空の人物を主人公とした作品です。山田太一によるオリジナル脚本で主人公を会津藩の下級武士である平沼銑次(菅原文太)と薩摩藩郷士の苅谷嘉顕(加藤剛)を主人公としています。明治維新の勝者側となる嘉顕と敗者側の銑次がそれぞれの生き方を貫いて幕末から明治を生き抜く様を描いています。

また、大河では前例のない宇崎竜童(ダウン・タウン・ファイティング・ブギウギ・バンド)によるロック風のテーマ音楽(NHK交響楽団と同バンドの共演によるクロスオーバー的な楽曲)が使用されています。

主演「西田敏行」

NHK大河ドラマに数多く出演する常連俳優の西田敏行。

初出演は「新・平家物語(1972年)」で、近年では「鎌倉殿の13人(2022年)」にも出演しています。初主演は、「山河燃ゆ(1984年)」で、松本幸四郎とのダブル主演でした。その後「翔ぶが如く(1990年)」、「八代将軍吉宗(1995年)」、「葵 徳川三代(2000年)」の4作品で主演を務め、大河ドラマで最多主演となっています。また、三英傑のうち二人以上演じたのは西田敏行だけです。

出演作品は
  新・平家物語(1972年) 北条義時、横山相模介役
  国盗り物語(1973年)   弥八役
  花神(1977年)   山県狂介役
  おんな太閤記(1981年) 豊臣秀吉役
  山河燃ゆ(1984年)  主演 天羽忠役
  武田信玄(1988年)   山本勘助役
  翔ぶが如く(1990年)  主演 西郷隆盛役
  八代将軍吉宗(1995年) 主演 徳川吉宗役
  葵 徳川三代(2000年) 主演 徳川秀忠役
  武蔵 MUSASHI(2003年) 内山半兵衛役
  功名が辻(2006年)   徳川家康役
  八重の桜(2013年)   西郷頼母役
  西郷どん(2018年)   ナレーション、西郷菊次郎役
  鎌倉殿の13人(2022年) 後白河法皇役

お詫び:あまりの出演回数と主演回数の多さに、ついつい1990年代に区切っていたことを忘れていました。
山河燃ゆ

山河燃ゆ

NHK大河ドラマ第22作品目の「山河燃ゆ」は、1984年1月8日から12月23日まで放送されました。

原作は山崎豊子作の「二つの祖国」で、日系アメリカ人二世の天羽兄弟と、その家族を中心に、昭和初期から太平洋戦争前後の激動の時代を生きた人々の愛と苦悩が描かれています。兄の天羽賢治役を松本幸四郎、弟の天羽忠役を西田敏行とし、主人公が二人となっています。
翔ぶが如く

翔ぶが如く

NHK大河ドラマ第28作品目の「翔ぶが如く」は、1990年1月7日から12月9日まで放送されました。

原作は司馬遼太郎の同名小説「翔ぶが如く」です。主人公は、西田敏行が演じる西郷隆盛と鹿賀丈史が演じる大久保利通で、大河ドラマ初の2部構成作品となっています。
八代将軍吉宗

八代将軍吉宗

NHK大河ドラマ第34作品の「八代将軍吉宗」は、1995年1月8日から12月10日まで放送されました。

西田敏行は、吉宗を演じるにあたって当時新進党の議員だった小沢一郎を参考にしたそうです。「ぜいたくに対して税の引き締めをした吉宗と小沢さんの政策意図、政治に対する発言や新進党を作るプロセスが、権謀術数に長けていた2人の生きたさまと重なりました」と後に語っています。
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