スバル初の多人数車、ドミンゴ
当時、同社の普通車はレオーネしか発売しておらず、2車種目の普通車でもあった。しかし、一からの開発ではない。ベースとなったのは、前年にフルモデルチェンジした軽1BOXカーのスバル・サンバー。ノーズを伸ばしただけのボディなのは、外観から一目で分かった。
エンジンは直列3気筒1000cc・48馬力。駆動方式は2WD(RR)と、当時の1BOXでは珍しい4WD(パートタイム式)が用意された。ただし変速機は5MTのみである。車内は7人乗りで、前から2+2+3人掛けのレイアウトだった。
家族は多いけど自家用車の予算を抑えたい人、車庫は狭いが普通車がほしい人、山里の小道の先にある旅館の送迎用など、このサイズならではの需要に応えた。
初のフルモデルチェンジで2代目に
そして、初代の登場から11年を経た1994年、ようやく2代目に移行した。引き続きベースはサンバーであるが、安全性の向上が社会問題になっていた時期のため、シャシーを強化して前面衝突に対する安全性能を強化。前後ともに大型バンパーが採用された一方、ボディはサンバーのままとなった。
サンルーフ&サンサンウィンドゥは、サンバーと同様に運転席上部をガラスとし、サンルーフ部分は肩部から開口するサンサンルーフに変更された。シート配置は引き続き2+2+3列配置を採用。上級グレードには回転対座シートが引き続き設定されたが、3列目中央のアームレストは廃止された。
ライバル不在のまま2代15年製造される
15年間ライバル不在で、独自のポジションを築いたドミンゴだったが、製造中止をした翌99年には、ドミンゴと同様に軽1BOXをベースにした7人乗りが各社から発売された。三菱・タウンボックスワイド、スズキ・エブリイ+(プラス)、さらに2000年発売のダイハツ・アトレー7である。これらは、軽自動車の規格変更で普通車エンジンを搭載するようになったもので、ドミンゴとは逆のスタンスであった。
1983 SUBARU DOMINGO Ad
その後、1980年代後半にRVブームとなるが、バブル経済とともに訪れたため、格安のミニミニ1BOXは残念ながらヒット作とはなれなかった。当時はトヨタ・タウンエースや三菱デリカのような200万円以上の1BOX車、さらには三菱パジェロやトヨタ・ハイラックスサーフのような300万円以上のクロカン四駆がよく売れていた。
一方でトヨタ・カローラや日産ブルーバードのような100万円台のセダンがまだまだ元気だったため、予算やサイズによほどの制約がある人でない限り、ドミンゴを買う理由はなかったのである。
しかし、状況が大きく変わった現在、ホンダ・フリードとトヨタ・シエンタがミニミニバンの二強としてしのぎを削る市場にスバル・ドミンゴがあったら、どう評価されるだろうか……?