世界最速を誇った旅客機「コンコルド」はなぜ廃止に追い込まれた??
2016年6月24日 更新

世界最速を誇った旅客機「コンコルド」はなぜ廃止に追い込まれた??

「コンコルド」と聞けば、私たち世代は世界最速の旅客機と記憶しています。しかしこのコンコルド、2003年には全機が撤退してしまっていたんですよね。「世界最速の翼」としてその名を轟かせたコンコルド、懐かしい機体映像と共に、その経緯を追いましょう。また、2019年に復活と噂されている件にも触れてみます。

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日本にも来ていた「コンコルド」

関西国際空港(KIX)1994.9.5-1コンコルド記念フライト - YouTube

「世界最速の翼」コンコルド

「世界最速の翼」コンコルド

「世界最速の翼」コンコルド

コンコルド(Concorde)は、イギリスとフランスが共同開発した超音速旅客機(SST; supersonic transport)で。2003年に全機が退役した。
イギリスのBACとフランスのシュド・アビアシオンなどが共同で開発した超音速旅客機。
初飛行は1969年3月1日で20機が製造された。

高度5万5,000から6万フィートという、通常の旅客機の飛行高度の2倍もの高度を、マッハ2.0で飛行した。定期国際運航路線に就航した唯一の超音速民間旅客機でもあった。

開発当時は世界中から発注があったものの、環境問題や開発の遅滞、価格の高騰、また大量輸送と低コスト化の流れを受けてその多くがキャンセルとなってしまう。

2000年7月25日に発生した墜落事故、2001年9月11日に発生したアメリカ同時多発テロによって、低迷していた航空需要下での収益性改善が望めなくなった事で、2003年5月にエールフランス、同年10月24日にブリティッシュ・エアウェイズが営業飛行を終了、2003年11月26日のヒースロー空港着陸をもって全機が退役。

しかしながら超音速飛行を追求した美しいデザインや、ほぼ唯一の超音速旅客機だったこともあり、現在でも根強い人気を持つ。

開発の歴史

イギリス、フランスによる共同開発だった「コンコルド」

イギリス、フランスによる共同開発だった「コンコルド」

1962年に英仏両国がそれまで独自に行っていた超音速旅客機の研究開発を共同で行う方針に転換。
開発の主導権や名称などについて2国間での対立はあったものの、1969年3月2日に原型機が初飛行に成功、同年10月1日には音速の壁を突破。

オージー翼を採用した独特の形状を持ち、高迎え角になる離着陸時に下方視界確保のため機首が折れ曲がるなどの特徴を持ち、マッハ2の超音速で巡航するコンコルドの勇姿は未来を感じさせた。

なお同時にアメリカでも超音速旅客機の開発が行われ、ボーイングやロッキード、マクドネル・ダグラスなどによる提案が行われた結果、より高速、大型のボーイング2707の開発が進んでいたが、その後開発がキャンセルされた。

残念ながら商業的には失敗に終わる

最速の翼だったが、商業的には採算に乗らなかった

最速の翼だったが、商業的には採算に乗らなかった

英仏の航空会社向けの量産16機(これ以外に原型機が4機)のみが行われたに過ぎず、商業的には失敗。
開発当時は「250機で採算ラインに乗る」ともいわれたが、採算ラインに乗ることはなく1976年11月2日に製造中止が決定された。不人気だった理由には以下のようなものがある。

通常よりも長い滑走距離を必要とすること、またその騒音およびソニックブームの影響を避けるために航路や乗り入れ先を選ぶコンコルドは、限られた航路に就航できたにすぎなかった。さらに「ソニックブームを発生させるため」との理由でアメリカをはじめとするいくつかの国では、超音速飛行を海上でしか認めなかった。

「ソニックブーム」とは

主に戦闘機などの超音速飛行により発生する衝撃波が生む、...

主に戦闘機などの超音速飛行により発生する衝撃波が生む、轟く様な大音響

超音速で飛行する物体が上空を通過した際に、何かが爆発したような2つの不連続な音として観測される。
1960年代には高高度を飛行すれば衝撃波は減衰し、地表でソニックブームは発生しないと楽観視されていたものの、ノースアメリカン XB-70 が高度約21,000mを飛行した際、地上で強力なソニックブームが観測され、減衰度は従来の予想よりもはるかに小さいことが判明。
結果、技術的には十分可能な超音速旅客機や超音速輸送機の実用化を妨げる要因になっている。
飛行距離が短いことに加えて上記の諸事情から、大西洋は飛び越せても途中給油無しでは太平洋を越えられず、日本や香港などへの極東路線を開拓できなかった。

乗客の定員が100人と少なく、運賃は他機種のファーストクラスの約20%増しと高額であったため、乗客はごく限られていた。経済的にも収益が上がらない上、オイルショックによる燃料価格の高騰がこれに拍車をかけた。

旅客機による飛行が、エグゼクティブ層向けから運賃が安くなることで大衆化するにつれ、航空業界はボーイング747のように低コストでかつ大量輸送が可能な機体を重視するようになった。

これらの理由により、最終的にエールフランスとブリティッシュ・エアウェイズの2社のみによる運行にとどまった上、1990年代には需要と収益性が高い大西洋横断路線への定期運行に集約された。これらの定期便は飛行時間短縮を望む富裕層や準富裕層顧客を中心に利用されたほか、余剰機材も団体客向けのチャーター便や、英仏両国の政府専用機としてチャーターされた。

わずか2社により十数機が使用されていたのみだが人気を博したため、エールフランスとブリティッシュ・エアウェイズの2社ともに両社のイメージリーダーとして各種広告に使用した。さらに高い人気を受けて、1990年代後半には、21世紀に入っても継続使用できるように様々な近代化改修を行うことも検討された。

事故の影響もあり終焉へと向かう

残念な事故もあって、2003年に退役したコンコルド

残念な事故もあって、2003年に退役したコンコルド

2000年7月25日、エールフランス機(Model No.101、登録番号F-BTSC)がパリのシャルル・ド・ゴール国際空港を離陸時に、滑走路上に落ちていたコンチネンタル航空のマクドネル・ダグラスDC-10型機から脱落した部品により主脚のタイヤが破裂し、タイヤ片が主翼下面に当たり燃料タンクを破損、直後に漏れ出た燃料に引火、そのまま炎上・墜落、地上で巻き込まれた犠牲者を含め113人が死亡するという大惨事になった。

エールフランスは即日、ブリティッシュ・エアウェイズもイギリスの航空当局がコンコルドの耐空証明を取り消すことが確実視されたことにより8月15日に、運航停止を決定した。

2003年4月10日、ブリティッシュ・エアウェイズとエールフランスは同年10月をもってコンコルドの商用運航を停止することを発表した。

エールフランス機は5月、ブリティッシュ・エアウェイズ機も2003年10月24日に最後の営業飛行を終え、後継機もなく超音速旅客機は姿を消した。
以後、民間人が航空路線で超音速飛行を体験する事は不可能になった。

なお、航空路線でなければ民間人向けに超音速戦闘機の体験飛行が行われているため、超音速飛行を体験すること自体は可能ではある。また、2011年6月20日エアバスの親会社が2050年をめどに新たな音速を超える航空機を開発することを発表した。

美しい機影、圧倒的な飛行速度と飛行高度

コンコルド-搭乗~離陸、巡航 - YouTube

コンコルド-巡航~着陸 - YouTube

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