1979年に第1シリーズが放送され、以降断続的に第8シリーズまで放送、そして2011年に感動のファイナルを迎えた学園ドラマの金字塔、である。
と、そんな堅苦しい説明はともかく、ミドルエッジ読者の中にも「自分と同世代の金八先生シリーズに熱中した」という人は多いだろう。そしてドラマを見ているうちに、気がつけば自分も3Bの生徒の1人のような気分になり、悪ガキ男子の振る舞いに苛ついたり学級委員の女子にちょっと胸をときめかせたり。そして最後は金八先生の贈る言葉に涙する、のである。
そんな忘れじの金八先生が幕を閉じてから早5年。果たしてあの頃のボクらのヒロインたちは今何をしているのだろう……。
1995〜1996年に放送された第4シリーズの学級委員長・伊丸岡ルミ役の松下恵さんと蓑田紀美役の藤田瞳子さん。あの頃の思い出、撮影のエピソード、そしてルミと紀美は今どうしているのか……などなど、全3回に渡って金八先生第4シリーズの“マドンナ”が語り尽くします!
2回目はルミ・紀美としてお話をお聞きしました。
蓑田紀美・伊丸岡ルミとしての桜中学での日々を聞きました。
松下さん(ルミ)
そうですね。スポチャン注1 とたこ焼きお守り注2くらい。あとはカレーを作ったりしたよね。スポチャンはとにかく寒かった……。藤田さん(紀美)
荒川はホントに寒かったね。10月から3月までの放送だから、一番寒い時期なんだよね。ルミはスポチャンやったの?松下さん(ルミ)
あまり覚えてない……(笑)。とにかく寒かったことくらい。ずっと端っこに座ってたら、武田さんが「死んだ鶏みたいになってるぞ」と言ってケータリングの豚汁持ってきてくれたんです(笑)。紀美は?藤田さん(紀美)
荒川の土手で犬の散歩をしていたらスポチャンをみんながやっていて、「紀美もやろうよ」って言われて参加したの。だけど、次の日から教室でやることになっちゃって。紀美は「今日もやってるかな」って土手に行くんだけど、誰もいない(笑)。松下さん(ルミ)
寂しい(笑)。紀美は合唱コンクールも参加していないもんね。 校門のところでひとりで歌って、でも入ってはこられない。藤田さん(紀美)
録音のテープをもらってひとりで荒川で練習したり。あれも結構揉めてたんだよね。松下さん(ルミ)
何を歌うのかとか、指揮者を誰にするのかとか。悪ガキの男子が本当にひどくて(笑)。ぜんぜん練習も真面目にやらないの! でもあれくらいからクラスがまとまっていって。藤田さん(紀美)
私はまだ戻れてないんだけどね。注2:桜木伸也が金八先生宛の個人ノートに書いた言葉から派生した受験用のお守り。お互いに激励のメッセージなどが入ったお守り。
藤田さん(紀美)
何か大きなきっかけがあったというよりは、積み重ねですよね。 金八先生が来たときも、最初は「どうせ他の先生と同じでしょ」みたいなのがあったと思うんです。 でも、家に来てくれたり話を聞いてくれたりして、少しずつ「この先生は違うな」と。――:初回でいきなり北先生にもビンタを……。
藤田さん(紀美)
歩と一緒に万引きしちゃうんですよね、スーパーさくら注3で。 それで引き取りに来た北先生にいきなりビンタをされて。松下さん(ルミ)
それでますます来るのが嫌になっちゃったんだ。でも万引きしたらだめじゃん。藤田さん(紀美)
なんかついつい手が伸びちゃったみたいで(笑)松下さん(ルミ)
でもその後少しずつ。先生が歩にプリントを持っていかせたりしていたもんね。 あと真穂注4を連れてきたこともなかったっけ?藤田さん(紀美)
登校拒否になりそうになった真穂を、先生に頼まれて連れて行ったの。 教室の入口まで連れて行って、美香注5に真穂をよろしくって頼んだのかな。それで「私はここで!」って帰る(笑)松下さん(ルミ)
うわ〜、かっこいい(笑)藤田さん(紀美)
学級委員はあまり何もしてくれなかったんですよ(笑)注4:樫木真穂を演じた井上早恵子さん。現在は、長崎で和菓子屋の若女将。:
注5:第4シリーズの主要生徒でもあった広島美香(演:小嶺麗奈さん) 典型的なクラスの女帝役で紀美や歩などクラスメイトに嫌がらせをしていたが…
松下さん(ルミ)
まあ……そういうタイプじゃないからね、ルミは。 それに歩と紀美はセットで放っておけば大丈夫かなって。 他に放っておけないやんちゃな悪ガキがいっぱいいたんですよ。 紀美はクラスに戻ってからもいじめみたいのはあったんだっけ?藤田さん(紀美)
どちらかというと歩がからかわれることが多かった。私が直接いじめられたわけじゃないね。松下さん(ルミ)
歩は大変だったもんね。藤田さん(紀美)
15歳の母の子供だから……。それで小さい頃からからかわれてきていたんでしょう。 3Bに入ってからもそうだけど、それより前から続いていた。だからああいう控えめな子になったんだと思います。松下さん(ルミ)
だけど、紀美の前では自分の気持ちを素直に出せたのかな。 歩と紀美は幼馴染だもんね。紀美は正義感も強いし、歩をずっと助けてきたのかな。藤田さん(紀美)
たぶん、歩をからかってきた子に言い返したりしていたと思う。 ふたりのシーンだと歩が憎まれ口を叩いてくるシーンも結構あるんですよ。 だから、歩にとっては紀美が唯一素直な自分でいられる存在で、紀美も歩のことを放っておけない。そういう関係なんです。。藤田さん(紀美)
おでこに、ですね。最初は歩が口にしようとするんですけど、両親のこととかもあっておでこにチュッと。松下さん(ルミ)
ステキ〜。藤田さん(紀美)
その頃ルミは心の母注6(笑)松下さん(ルミ)
嫌だなあ(笑)。歩とはその後どうなったの?藤田さん(紀美)
別れた。もしかしたら、多分一回突き放したのかもしれないですね。 紀美のほうが強いから、「もっとしっかりしろよ!」と。松下さん(ルミ)
そうね〜、やっぱり歩は弱いイメージがあるよね。 海外に行ったんだよね、歩は。だからもしかしたら海外に行って強くなって、それで再会して?藤田さん(紀美)
あるかもね。 結局は幼馴染だから、恋愛感情どうのこうの以前に切っても切れない何かがあるんだと思いますよ、歩と紀美は。第4シリーズでのもしもカップルをお伺いしました。
松下さん(ルミ)
ルミは信二に一方的に慕われているだけだから、恋愛とかそういうのは全然なかった。 同い年の男の子よりも先生とか先輩に憧れちゃうようなタイプで。だから紀美とか美香をお姉さんグループとして見ていたな。藤田さん(紀美)
結婚していてほしいのは真一と久美子注7! 久美子が阿部先生注8に恋をして、 妄想日記みたいなのを美香に読まれちゃうシーンがあったじゃない?松下さん(ルミ)
ああ、そこで真一が。藤田さん(紀美)
そう、「それでも俺は久美子が好きだ!」みたいに。松下さん(ルミ)
かっこいい! そりゃみんなふたりを応援しますよ(笑)注8:阿部先生(演:前田淳)が 菅久美子に好意を持たれ、それが原因で騒動が起きる。前田淳さんは、前田吟さんの次男。
右)蓑田紀美を演じた藤田瞳子さん