ムツゴロウさん監督の『子猫物語』とは対極に位置する作品
「動物を扱った映画」というと、何を思い浮かべるでしょうか?
有名どころだと、「ムツゴロウさん」こと畑正憲が監督した『子猫物語』があげられるでしょう。茶虎の牡猫チャトランとパグ犬のプー助を主役にした同作は、1986年7月12日に全国東宝系で公開され、配給収入約54億円・観客動員数約750万人という歴史的大ヒットを記録。協力監督・市川崑、音楽監督・坂本龍一、詩・谷川俊太郎、詩の朗読・小泉今日子といった、豪華なクレジットも、当時大いに話題となりました。
いうまでもなく、この作品はフィクション。後にムツゴロウさんがネコを虐待していたのでは?との黒いうわさも流れましたが、チャトランとプー助を主役としたほのぼのとした作風は、『ムツゴロウとゆかいな仲間たちの』THE MOVIEといった感じで、多くの観客に受け入れられたものです。
有名どころだと、「ムツゴロウさん」こと畑正憲が監督した『子猫物語』があげられるでしょう。茶虎の牡猫チャトランとパグ犬のプー助を主役にした同作は、1986年7月12日に全国東宝系で公開され、配給収入約54億円・観客動員数約750万人という歴史的大ヒットを記録。協力監督・市川崑、音楽監督・坂本龍一、詩・谷川俊太郎、詩の朗読・小泉今日子といった、豪華なクレジットも、当時大いに話題となりました。
いうまでもなく、この作品はフィクション。後にムツゴロウさんがネコを虐待していたのでは?との黒いうわさも流れましたが、チャトランとプー助を主役としたほのぼのとした作風は、『ムツゴロウとゆかいな仲間たちの』THE MOVIEといった感じで、多くの観客に受け入れられたものです。
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これとは対極に位置するのが、本稿で紹介する『キタキツネ物語』です。『子猫物語』が筋立てのしっかりとした物語だったのに対し、こちらはドキュメンタリー。それも日本映画界初の動物ドキュメンタリー映画でした。
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監督をつとめたのは、日活の娯楽作品を担当していた蔵原惟繕
1978年に公開されたこの作品が描いているのは、その名の通り、キタキツネの生態です。監督・脚本・編集を担当したのは、蔵原惟繕。この人は、『メキシコ無宿』、『銀座の恋の物語』、『憎いあンちくしょう』(いずれも1962年)といった、石原裕次郎・宍戸錠などが出るような日活映画を手掛けていた監督。
1967年に日活を離れてフリーになると、より自由闊達な監督活動へシフト。アフリカ・ケニアで行われるサファリラリーに挑戦するレーサーを描いた『栄光への5000キロ』(1969年)やオランダ・アムステルダムを舞台に繰り広げられる恋愛映画『雨のアムステルダム』(1975年)など、多彩な作品を生み出していきます。その中の一つが1978年に公開された『キタキツネ物語』だったというわけです。
1967年に日活を離れてフリーになると、より自由闊達な監督活動へシフト。アフリカ・ケニアで行われるサファリラリーに挑戦するレーサーを描いた『栄光への5000キロ』(1969年)やオランダ・アムステルダムを舞台に繰り広げられる恋愛映画『雨のアムステルダム』(1975年)など、多彩な作品を生み出していきます。その中の一つが1978年に公開された『キタキツネ物語』だったというわけです。
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大自然の中で、たくましく生きるキタキツネの親子を追っている
同作の主人公は、真冬のオホーツク海を流氷に乗って、北海道までやってきたオスのキタキツネ・フレップ。彼はそこで美しいメスのキタキツネ・レイラと出会い、2匹は極寒の中で営巣し、一緒に暮らすようになります。春になると、フレップとレイラの間には、5匹の子ギツネが誕生。順風満帆なフレップファミリー。しかし、キタキツネは人間にとって害獣。感染されると高確率で死に至る寄生虫・エキノコックスを媒介している可能性が高いため、とかく、北海道の人たちから迫害を受けている動物として知られています。
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フレップ一家も自然の猛威以上に、人間たちの脅威にさらされることに。害獣対策用の罠にかかり一匹の子ギツネが血まみれになったり、キツネ狩りのスノーモービル集団に追い掛け回されたり、ついには、母ギツネのレイラがトラップにかかって死んでしまったり…。なかなかハードなシーンの連続となっています。
が、それこそ、 同作について「ディズニー映画の様にしたくなかった」と述べている蔵原の意図するところ。壮絶な現実を克明に、かつ、ドラマティックに見せており、単に「キタキツネかわいい!」で終わっていないからこそ、この作品は名作の誉れを得ることができたのでしょう。
が、それこそ、 同作について「ディズニー映画の様にしたくなかった」と述べている蔵原の意図するところ。壮絶な現実を克明に、かつ、ドラマティックに見せており、単に「キタキツネかわいい!」で終わっていないからこそ、この作品は名作の誉れを得ることができたのでしょう。
劇中の音楽をタケカワユキヒデが担当した
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北海道のオホーツク海沿岸をメインに、北見市・釧路市・網走市・紋別市・小清水町で約4年もの歳月をかけて撮影されたこの力作はたいへんな評判を呼び、1978年7月15日に公開されるや否や大ヒットを記録。配給収入は9億7000万円で、フジテレビで放送されると、なんと44.7%という驚異的な視聴率をマークするに至ったのでした。
このドキュメンタリーに彩りを加えたのが、ゴダイゴや朱里エイコ、町田義人らの歌唱や楽曲。特にゴダイゴのタケカワユキヒデは主題歌である『赤い狩人』の作曲をはじめ、劇中歌を数多く手がけており、同作を盛り上げるのに大きく尽力しました。
このドキュメンタリーに彩りを加えたのが、ゴダイゴや朱里エイコ、町田義人らの歌唱や楽曲。特にゴダイゴのタケカワユキヒデは主題歌である『赤い狩人』の作曲をはじめ、劇中歌を数多く手がけており、同作を盛り上げるのに大きく尽力しました。
キタキツネ物語 赤い狩人(歌詞付)
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2013年には、ナレーションに西田敏行、父キツネ・フレップ役に佐藤隆太、母キツネ・レイラ役に平野綾を据えて、公開35周年記念のリニューアル作品として蘇っている『キタキツネ物語』。未公開分を含む膨大なフィルムから再編集し直し、ハリウッドのラボで高画質化までなされた本作も一見の価値ありです。
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(こじへい)
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