1978年に公開された動物映画の元祖「キタキツネ物語」
2017年11月23日 更新

1978年に公開された動物映画の元祖「キタキツネ物語」

1978年、日本初の動物を扱ったドキュメンタリー映画として公開された『キタキツネ物語』。北海道の大自然にいきる野生のキタキツネの親子を4年間にもわたって追いかけた同作について、振り返っていきたいと思います。

317 view

ムツゴロウさん監督の『子猫物語』とは対極に位置する作品

「動物を扱った映画」というと、何を思い浮かべるでしょうか?

有名どころだと、「ムツゴロウさん」こと畑正憲が監督した『子猫物語』があげられるでしょう。茶虎の牡猫チャトランとパグ犬のプー助を主役にした同作は、1986年7月12日に全国東宝系で公開され、配給収入約54億円・観客動員数約750万人という歴史的大ヒットを記録。協力監督・市川崑、音楽監督・坂本龍一、詩・谷川俊太郎、詩の朗読・小泉今日子といった、豪華なクレジットも、当時大いに話題となりました。

いうまでもなく、この作品はフィクション。後にムツゴロウさんがネコを虐待していたのでは?との黒いうわさも流れましたが、チャトランとプー助を主役としたほのぼのとした作風は、『ムツゴロウとゆかいな仲間たちの』THE MOVIEといった感じで、多くの観客に受け入れられたものです。
子猫物語

子猫物語

畑正憲 (出演, 監督, 脚本)
これとは対極に位置するのが、本稿で紹介する『キタキツネ物語』です。『子猫物語』が筋立てのしっかりとした物語だったのに対し、こちらはドキュメンタリー。それも日本映画界初の動物ドキュメンタリー映画でした。
キタキツネ物語

キタキツネ物語

ゴダイゴ (出演),‎ 蔵原惟繕 (監督, 脚本)

監督をつとめたのは、日活の娯楽作品を担当していた蔵原惟繕

1978年に公開されたこの作品が描いているのは、その名の通り、キタキツネの生態です。監督・脚本・編集を担当したのは、蔵原惟繕。この人は、『メキシコ無宿』、『銀座の恋の物語』、『憎いあンちくしょう』(いずれも1962年)といった、石原裕次郎・宍戸錠などが出るような日活映画を手掛けていた監督。

1967年に日活を離れてフリーになると、より自由闊達な監督活動へシフト。アフリカ・ケニアで行われるサファリラリーに挑戦するレーサーを描いた『栄光への5000キロ』(1969年)やオランダ・アムステルダムを舞台に繰り広げられる恋愛映画『雨のアムステルダム』(1975年)など、多彩な作品を生み出していきます。その中の一つが1978年に公開された『キタキツネ物語』だったというわけです。
栄光への5000キロ

栄光への5000キロ

石原裕次郎 (出演)

大自然の中で、たくましく生きるキタキツネの親子を追っている

同作の主人公は、真冬のオホーツク海を流氷に乗って、北海道までやってきたオスのキタキツネ・フレップ。彼はそこで美しいメスのキタキツネ・レイラと出会い、2匹は極寒の中で営巣し、一緒に暮らすようになります。春になると、フレップとレイラの間には、5匹の子ギツネが誕生。順風満帆なフレップファミリー。しかし、キタキツネは人間にとって害獣。感染されると高確率で死に至る寄生虫・エキノコックスを媒介している可能性が高いため、とかく、北海道の人たちから迫害を受けている動物として知られています。
キタキツネ

キタキツネ

フレップ一家も自然の猛威以上に、人間たちの脅威にさらされることに。害獣対策用の罠にかかり一匹の子ギツネが血まみれになったり、キツネ狩りのスノーモービル集団に追い掛け回されたり、ついには、母ギツネのレイラがトラップにかかって死んでしまったり…。なかなかハードなシーンの連続となっています。

が、それこそ、 同作について「ディズニー映画の様にしたくなかった」と述べている蔵原の意図するところ。壮絶な現実を克明に、かつ、ドラマティックに見せており、単に「キタキツネかわいい!」で終わっていないからこそ、この作品は名作の誉れを得ることができたのでしょう。

劇中の音楽をタケカワユキヒデが担当した

キタキツネ物語 サントラ

キタキツネ物語 サントラ

北海道のオホーツク海沿岸をメインに、北見市・釧路市・網走市・紋別市・小清水町で約4年もの歳月をかけて撮影されたこの力作はたいへんな評判を呼び、1978年7月15日に公開されるや否や大ヒットを記録。配給収入は9億7000万円で、フジテレビで放送されると、なんと44.7%という驚異的な視聴率をマークするに至ったのでした。

このドキュメンタリーに彩りを加えたのが、ゴダイゴや朱里エイコ、町田義人らの歌唱や楽曲。特にゴダイゴのタケカワユキヒデは主題歌である『赤い狩人』の作曲をはじめ、劇中歌を数多く手がけており、同作を盛り上げるのに大きく尽力しました。

キタキツネ物語 赤い狩人(歌詞付)

2013年には、ナレーションに西田敏行、父キツネ・フレップ役に佐藤隆太、母キツネ・レイラ役に平野綾を据えて、公開35周年記念のリニューアル作品として蘇っている『キタキツネ物語』。未公開分を含む膨大なフィルムから再編集し直し、ハリウッドのラボで高画質化までなされた本作も一見の価値ありです。
キタキツネ物語―35周年リニューアル版

キタキツネ物語―35周年リニューアル版

西田敏行 (出演),‎ 佐藤隆太 (出演),‎ 三村順一 (監督)
(こじへい)
19 件

思い出を語ろう

     
  • 記事コメント
  • Facebookでコメント
  • コメントはまだありません

    コメントを書く
    ※投稿の受け付けから公開までお時間を頂く場合があります。

あなたにおすすめ

関連する記事こんな記事も人気です♪

猿・豚・河童が繰り広げる冒険ストーリー『西遊記』

猿・豚・河童が繰り広げる冒険ストーリー『西遊記』

70年代に放送されたドラマの中で一際注目を浴びいていたのが西遊記です。何度もリメイクされていますが、やはり元祖の西遊記が一番人気ですよね。懐かしの西遊記をご紹介します!
まろにぃ | 14,545 view
「夢想花」とんでとんでとんでとんでとんででお馴染みにの【円広志】の代表曲を振り返る

「夢想花」とんでとんでとんでとんでとんででお馴染みにの【円広志】の代表曲を振り返る

円広志さんの「夢想花」といえば、あの頭から離れないサビですよねぇ(^^)/ 1978年にリリースされポプコンでも世界歌謡祭でもグランプリを受賞した名曲中の名曲を、今回は振り返ってみたいと思います!
つきねこ | 349 view
1979年の10月にリリースされた【ゴダイゴ】の名曲「ホーリー&ブライト」を聴き直そう

1979年の10月にリリースされた【ゴダイゴ】の名曲「ホーリー&ブライト」を聴き直そう

1979年にリリースされた【ゴダイゴ】の「ホーリー&ブライト」を覚えてますか? 私は小学生の頃によく聴いていたのを覚えています。今回はそんな「ホーリー&ブライト」に焦点を当ててみたいと思います。
つきねこ | 827 view
泥棒市場から『ドン・キホーテ』への変貌のあれこれ!!

泥棒市場から『ドン・キホーテ』への変貌のあれこれ!!

実は歴史が古く1980年に1号店がオープンし40年近くたつ『ドン・キホーテ』。実はそれよりも前に原点と呼ばれるお店がありました。そんなドン・キホーテのあれこれをまとめてみました。
ギャング | 4,951 view
あのエロSF映画の迷作「フレッシュ・ゴードン」がコミカライズされていた!エロ満載なその内容とは?

あのエロSF映画の迷作「フレッシュ・ゴードン」がコミカライズされていた!エロ満載なその内容とは?

往年の人気ヒーロー『フラッシュ・ゴードン』のパロディポルノ映画として製作された本作は、『スター・ウォーズ』への憧れと、SF映画の魅力に目覚めてしまった世代にとって、文字通り大注目の作品。日本公開時に奇跡的に雑誌掲載されていた、この『フレッシュ・ゴードン』コミカライズ版を紹介しよう!
滝口アキラ | 5,076 view

この記事のキーワード

カテゴリ一覧・年代別に探す

あの頃ナウ あなたの「あの頃」を簡単検索!!「生まれた年」「検索したい年齢」を選択するだけ!
リクエスト