露崎主審のかっこいいオーバーアクションをまた見たい
2022年4月27日 更新

露崎主審のかっこいいオーバーアクションをまた見たい

日本のプロ野球を支える影の存在となっているのが審判の皆さんです。華々しい選手に比べてあくまでも影の存在、グラウンド上では石と同じ扱いになっています。その大勢の審判員の中で、大きな注目を浴びた審判員がいました。その人が露崎元弥(つゆざきもとや)、昭和中期から後期にかけて在籍したプロ野球審判員です。

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最高のアクション

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露崎元弥は、その派手なアクションで注目を浴びたプロ野球の審判員です。打者が見逃しの三振をした際には、「ストラッキー!」と叫ぶと同時に左足を上げてジャンプ、その後にボクシングのワンツーを繰り出します。実は、見逃し三振に行うアクションは5段階あったとか。露崎のジャッジを見たくて球場に詰め掛けたファンがいたほどなんです。


これらのアクションは、ボクシングの動きから考え出されたそうで、言わばオーバーアクションと奇声をあげるジャッジは、露崎元弥の専売特許といえますね。これまでに見られなかったコールの仕方によって、あっという間に名物審判員としての人気を得たのでした。

パ・リーグの公式審判員だった露崎が、セ・リーグのファンにも知られるようになったのが1974年のオールスター。第1戦で球審を務めた露崎のアクションジャッジが、大勢のプロ野球ファンの前で披露されることになりました。この時後楽園球場では、試合中にもかかわらず、大勢のファンからの「あの審判は誰?」という問合せ電話が鳴り続けたそうです。

マスコミも注目したノンキャリア審判員

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露崎元弥の審判人生は、在日米軍のアスレチックインストラクターから始まっています。ここでインストラクターに採用されて以降、人々に様々なスポーツを教えながら、野球の審判もするよになりました。露崎に転機が訪れたのが、米軍チームと西鉄ライオンズ二軍の練習試合で球審を務めたこと。この試合を西鉄関係者が見て、採用試験を受けずにプロ野球審判員に採用、1963年のことでした。

現場のたたき上げから誕生した審判員、要するにエリートではなくノンキャリアの審判員だった露崎の名が、全国的に知られるようになった1968年~1969年には、富士ゼロックスと東芝のCMにも出演するように。1974年のオフには、フジテレビ系列のクイズ番組にもレギュラー出演していました。

プロ野球ファンを大切にした人

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露崎元弥を知らない人は、彼のことを奇人だと認識していた人も少なくなかったようです。しかし実際は、ファンをとても大切にする人で、物腰は至って丁寧。ナイトゲームの終了後には、1時間以上もかかって少年ファン達にサインをしたことも多かったそうです。そのため、帰りが午前様になることも度々だったとか。露崎のサインは、絵柄も特徴的で有名だったそうです。

露崎元弥のオーバーアクションや判定などに関して、いろいろと批評もありましたが、多くのプロ野球ファンを引き付け、プロ野球の発展にも大きく貢献したことは間違いのない事実ですよね。ルールや形式にうるさかった時代ではなく、もし現在の試合で露崎元弥が主審を務めたなら、また新たなプロ野球ファンを誕生させ、プロスポーツにおける審判の存在を見直す結果になったのではないでしょうか。

アクションが判定に優先?

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世間でどんどんと話題になっていく露崎。この状況を見ていた他の審判員の評判は、決して芳しいものではありませんでした。そしてアクション先行の露崎の判定は、肝心なジャッジが疎かになっているといって、今でいうイジメのようなことが様々な形で行われて用です。

1977年頃から一軍出場機会が減っていき、その年に球界を去ることになりました。当時審判部長を務めていた道仏訓によると、アクションに気をとられすぎる傾向があって、ストライクとボールの判定ミスが多かった。あまりにも各球団からクレームがついていたので主審から外したということでした。その後、彼は10年世に出るのが早かったと思うと、しみじみと語っています。

こんな逸話も

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露崎元弥は、そのオーバーアクションを最大限に活かすため、パ・リーグで最初のインサイドプロテクターを着用した審判員でした。英語も堪能だったそうで、アメリカの審判事情にも詳しかったそうです。

グラウンド上で起こしたエピソードでは、1970年5月23日の試合で東映フライヤーズの白仁天と大立ち回りをしています。更には、プロ野球で史上唯一の「20秒ルール適用」を行った審判員でもあるんですよ。1972年4月14日、阪急の梶本隆夫投手に対してのことで、抗議に対して露崎は、ストップウオッチを持って計測していたと説明、それを聞いて誰も文句が言えなかったそうです。
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