昭和の雑貨! なつかしの「万年筆 」編
2016年10月16日 更新

昭和の雑貨! なつかしの「万年筆 」編

趣味性の強い雑貨から普通に使っていたなつかしの雑貨まで幻の「B-LIFE」元店長がお送りするディープワールドです!

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世界の懐かしの万年筆メーカーを国別にご紹介します。

万年筆。子供の頃、使っている人を見るとその人は「大人」に見えませんでしたか?入学祝、就職祝の筆頭にプレゼントとしても贈られていましたね。そもそも万年筆の歴史を辿ると、紀元前2400年頃のエジプトまで遡ります。葦のさきを使ったものだと言われています。その後700年頃になると「羽根ペン」が出現し、これから1000年も使用されることになります。過去の名作家達も愛用したと言われました。1700年代には、金属のペン先は生まれ、1809年にイギリスの「フレデリック・B・フォルシュ」が、インキの空気交替を考慮しインキを貯められるペンを考案し特許を取得し、今日の万年筆の礎となるのです。日本では、明治末期に「セーラー」が、大正になると「パイロット」「プラチナ」が創業されます。そして、昭和の30年代末から昭和40年代の高度成長期に、国内大手三社と海外ブランドの万年筆がブームとなっていきます。しかし、ワープロの登場等で万年筆自体を使う人口が徐々に減っていきました。メーカーは、敷居の高かった万年筆をより身近にする為廉価な物で尚且つ性能の良いものを開発し、裾のを広げ人気回復を図り、そしてよりいいものは、それを極めコレクターや愛用者に支持を得て現在に至ります。それでは、国産物も輸入物も色々あった中、国別で有名な万年筆メーカーを紹介いたします。

ドイツの万年筆

モンブラン(Montblanc)

モンブラン(Montblanc)

1906年にドイツ発祥「モンブラン」は長年、万年筆のロングセラーとして愛され、初心者にも人気があり使いやすく万年筆に詳しくない方でもこの名前は有名だと思います。特に1924年に発売された「マイスターシュテュック」は長年愛された1本です。モンブランを持っていると「大人」になった感があります。元々、日本では入学祝や就職祝いのプレゼントとしても昔は多かったですね。モンブランの人気は、なめらか差やアフターサービスの充実、そして三連リングのデザインもモンブランらしさですよね!ペン先にはモンブランの標高である「4810」の刻印がされており、「マイスターシュテュック」の最高峰「149」は世界で調印式に使用されたりする逸品となっています。
ペリカン(pelikan)

ペリカン(pelikan)

1832年にインクと絵の具の工場として設立され、1929年には筆記用具の製造を開始しました。ドイツの万年筆の老舗メーカーとして有名であり、インクカートリッジではなく「吸入式のインク補給」に拘っていました。それは、インク量が多い事とメンテナンスの良さに優れ、その結果幅広い年齢層のファンがいると言うことに繋がっているようです。最近では、廉価版が好まれますがやはり「ペリカン」と言えば最高級モデルの「トレド」が有名です。スペインの古都である「トレド」がネーミングの由来と言われ、スターリングシルバーを使ったデザインにも拘った装飾も素敵です。又、シリアルナンバーが刻印され特別な万年筆として「持つことを憧れる万年筆」とも言われています。
ラミー(Lamy)

ラミー(Lamy)

1930年にドイツで創業したラミー(LAMY)はパーカーの営業担当であった「カール・ヨーゼフ・ラミー」がOrthos社を買収したことによってスタートしました。1952年にはラミーブランドの製品販売を始めましたが、パーカーの影響を強く受けた製品がほとんどであまり、ラミー独自の製品が少なかったような気がします。1962年に創業者であるカール・ヨーゼフ・ラミーの息子「マンフレート・ラミー」が社長に就任し、同業他社との差別化が図られました。ここからが、皆さんのよく知っていられるラミーなのかも知れませんね。「機能によって形造られるデザイン」というブランドコンセプトを掲げ、革新的な筆記具メーカーとしてラミーは新たなスタートを切ります。この結果、「ラミー27」という革新的な万年筆を発表し、先進性の高さと革新的なデザインからラミーは筆記具ブランドとして確固たる地位を築きました。現在では、カラフルな機能的な万年筆「サファリ」や「アルスター」等が有名です。

アメリカの万年筆

シェーファー(SHEAFFER)

シェーファー(SHEAFFER)

アメリカを代表する高級万年筆ブランドの「シェーファー」は1913年に設立された「W. A. シェーファー・ペン・カンパニー」という小さな宝石店がスタートでした。創業者である「ウォルター・A・シェーファー」によって、使いづらい自動吸入式万年筆を改良し、革新的なレバー充填式万年筆が開発されたことによってシェーファー独自の画期的なアイデアとなり躍進が始まります。このレバー充填式万年筆だけではなく、構造上の故障であれば永久保証する「ライフタイムペン」など、「シェーファー」は画期的な機能の万年筆を開発し、機能的であり且つ高品質な万年筆として絶大な人気を博しました。又、シェーファーの万年筆の人気や信頼は「ロナルド・レーガン」等のアメリカの歴代大統領にも愛用されたことによる影響も大きかったのではないでしょうか?国際会議などの署名、調印式にも多く用いられています。代表的な「ヴィエルアール」はオーソドックスな黒を基調としたスタイリッシュなデザインで、クリップ上部に描かれたホワイトドットマークが特徴的です。私の勝手なイメージだったのですが「万年筆=ヨーロッパ製」を覆してくれたシェーファーです。
クロス(CROSS)

クロス(CROSS)

クロスとは、1846年に創業されたアメリカで最も長い歴史を誇る高級筆記具ブランドです。イギリス出身の「アロンゾ・タウン ゼント・クロス」によって創業されたクロスは当初、鉛筆用の装飾を施したケース作りから事業を始めましたが、筆記具への強い情熱から生み出した「スタイログラフィック万年筆」というボールペンの原型となる筆記具を開発するなど、筆記具の発展に大きく寄与しました。私も「クロス」と言うとボールペンのイメージが強かったです。クロスのブランドコンセプトは「筆記具を通して情熱や創造力、技術力を世界中にもたらし、人々の物を書くという認識に革新を与えること」です。この思想は現在のクロスにも受け継がれており、「スタイログラフィック万年筆」だけではなく、シャープペンシルの先駆けとなった「繰り出し式ペンシル」などの発明を次々と行い、世界中の筆記具に革新を与えてきました。クロスの万年筆は、流れるような流線型のデザインが特徴的です。有名なボールペンの影に隠れ、薄い印象のあるクロスの万年筆ですが、初心者にも書きやすく書き心地にも優れていると高い評価を受けている万年筆です。その証拠にオバマ大統領を始め著名人にも愛好家が多くその裏付けとして、高い技術力に対して強い自身があるので、機構上の故障に関しては永久保証が付いている点も特徴です。使用年数にかかわらず、保証が付いているので安心して末永く使える万年筆です。

フランスの万年筆

ウォーターマン(WATELMAN)

ウォーターマン(WATELMAN)

ウォーターマンの歴史は、万年筆の歴史とも言われていて、1883年に世界で初めて「毛細管現象」を応用したインクシステムの開発に成功し、万年筆を開発しました。それは、創始者の「LE.ウォーターマン」が保険のセールスマンをしていた頃、客と契約書を交わす時にインキのボタ落ちで書類を汚して顧客を失ってしまい、それから万年筆の発明に取り組んだという話はあまりにも有名です。この事により「毛細管現象」の応用した万年筆の発明によって世界を席巻し、万年筆の歴史が始まったと言っても過言ではありません。もともとはアメリカ生まれのブランドでしたが、アメリカ法人は消滅してしまい、「ウォーターマン」はフランスの高級筆記具ブランドとして名を馳せています。 ウォーターマンは斬新な発明を万年筆に組み込んでいきます。1905年に発売した「クリップ付きキャップ」や1927年に発売した「カートリッジインク」など、現在では当たり前に使用されている機構を開発してきました。又、魅力的な美しいデザインが特徴なんです。ウォーターマンの万年筆は、洗練されたパリ(元はアメリカだっだのに)を彷彿とさせる美しいデザインが魅力であり「ライティング・ジュエリー」と称されています。ウォーターマンの万年筆はペン先が硬めであり、軸の重さが他のメーカーよりも重いという特徴もあります。ですから、万年筆に慣れていない初心者でも使い易いのです。
デュポン(S.T. Dupont)

デュポン(S.T. Dupont)

1872年、「シモン・ティソ・デュポン」より高級皮革製品のメーカーとして設立されました。どちらかと言うとライターメーカーとしての地位を早々と築き、筆記具の製造販売を始めたのは約100年後の1973年になり、遅咲きの万年筆メーカーとなります。ライターでは高級素材を駆使したものが多く、その技術のひとつである「ゴールド」「シルバー」「純正漆」の素材を筆記具にも採用し他社との差別化を図ろうと努力しました。特に、胴軸部分はすべて金属製であり、単に金属を加工するのではなく、貴金属工芸を駆使して金属の塊からくり抜いて作られています。デュポンの万年筆を愛する人は、万年筆だけではなくライターも含め、「デュポン」と言うブランドを愛しているのかも知れませんね。

イギリスの万年筆

パーカー(PARKER)

パーカー(PARKER)

1888年に創業したイギリスの万年筆老舗メーカーの「パーカー」は、「ジョージ・サッフォード・パーカー」が、学生時代からの夢だった万年筆への拘りが生んだメーカーと言ってもいいでしょう。その結果、120年以上の歴史を持つ「世界で最も愛されているペン ~The Most Wanted Ped~」という称号を手にした、世界で最も信頼の厚いメーカーです。常に革新的な技術開発にチャレンジし、これまでに無い製品を世に生み出しスピリットは、万年筆業界を牽引してきましたと言っても過言ではないでしょう。ペンファンすべての人と誠実に向き合い、常に作品の精度と品質を改良に邁進し続けています。一部の製品だけが爆発的にヒットするような形態のメーカーが多い中、パーカーが世に送り出す製品はどれも最先端かつ革新的なものばかりです。そういったバランスの良さが=パーカーの良さなんだと思います。しかし、パーカーの良さは、技術力や革新性だけでなく、デザインにも力を入れています。常に先進的でスタイリッシュなデザインを心がけ幅広い年齢層の方に好まれる工夫を怠らないようにしています。そして、あのクリップの部分の「弓矢」のデザインが一目で「パーカー」とわかる伝統的なデザインでも継承し続けています。万年筆ファンでは無くても一度は使ってみたいメーカーではないでしょうか?
デ・ラ・ルー(Da La Rue)

デ・ラ・ルー(Da La Rue)

「デ・ラ・ルー」は、1821年「 トーマス・デ・ラ・ルー」が設立し、文房具商・印刷工・小間物屋として創業されました。1831年 生産するトランプがイギリス王室御用達となり、国内にその名を馳せることになります。1881年に初めて実用的な万年筆を開発したと主張していますが、その真偽は証明するのは困難で、解釈は様々なようです。しかし、イギリスの先導的な万年筆メーカーであったこと事実で、同社の製品はオノト(Onoto)のブランドネームで有名で、日本の万年筆文化にも多大なる影響を与えました。イギリスでの生産は1958年に終了しましたが、さらに数年のあいだはオーストラリアで生産が続けられていたようです。「オノト」は、その独特の「オノトプランジャ方式」で、日本のインク止め式万年筆を昇華させた形態と言われていますが、実はオリジナルはオノトなんです。経年変化により、ラバーパーツの硬化等で吸入不良が起こる欠点もありますが修理可能です。しかし、修理には熟練を要し日本では数社しか対応していません。「夏目漱石」はオノトを愛用していたことは有名で、漱石が使っていたオノト万年筆を再現した「漱石」を3本限定で後年販売もしています。マニアックなメーカーかも知れませんね。

イタリアの万年筆

アウロラ(AURORA)

アウロラ(AURORA)

1919年にイタリアの古都トリノで創業されたイタリアで最初の万年筆ブランドが「アウロラ」です。イタリアの万年筆の歴史を築いてきた老舗ブランドと言われています。機能性の高さとデザイン性の調和をブランドコンセプトとし、「アルチザン」と呼ばれるイタリアの金細工職人による、イタリアの伝統工芸品の技術を積極的に織り込んだ万年筆の製造を行ってきました。又、著名な建築家やカーデザイナー等の他分野で活躍する有名デザイナーを積極的に起用し、万年筆に最新のデザインを取り込むと言う方法を試みました。機能面に関しても、独自のインク充填機構を開発するなど、アウロラはまさにイタリアの万年筆の歴史を牽引してきたブランドだと思います。代表的な万年筆としては、1930年代に発表した「オプティマ」、1940年代に発表した「88」、1970年代に発表した「アスティル」「テッシー」が特に有名で、後世の文房具に多大な影響を与えた万年筆として世界的にも有名です。そして、アウロラの万年筆はペン先からボディまで全て「メイド・イン・イタリア」である点も特徴です。しかも全てのパーツを自社工場で生産しており、イタリアの伝統と技術を守り抜いている筆記具のトップブランドです。イタリア大好きな方は是非1本持っておきたい万年筆ですね。
ビスコンティ(VISCONTI)

ビスコンティ(VISCONTI)

「ビスコンティ」は1988年にイタリアで設立された高級筆記具ブランドです。他社とはちょっと成り立ちが変わっていて「ダンテ・デル・ベッキオ」と「ルイージ・ポリ」の2人の熱心な万年筆コレクターによって立ち上げられたブランドなんですです。フィレンツェに現存する13世紀の王城に拠点を構えるビスコンティは、1920年代から1950年代の万年筆の黄金時代の再現を目指すと言う他社とは一閃を画したコンセプトで万年筆作りを行っているメーカーです。しかし、ただ単に過去の万年筆のデザインを踏襲するだけではなく、現代ではほとんど使われなくなった30年代のセルロイド等の忘れられた古い素材の生産から始め、昔ながらの伝統的な製法を再現した完全ハンドメイドでの万年筆の作成など、強いこだわりを持って万年筆を作成しているブランドなんですです。又、コンセプトのひとつとして「ビジネス」ではなく「芸術」や「道楽」に近い発想によって作られているという点です。利益という観点からではなく、趣味の延長から美しい万年筆を作るということに、情熱を燃やしているブランドです。ちょっと、変わった万年筆が欲しい方には是非オススメの1本です。

スイスの万年筆

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