エロ映画が量産された日本映画界の「ハレンチ・ブーム」の考察:「東映ポルノ」と「日活ロマンポルノ」から「ビニ本全盛期」「AV時代へ」
2016年2月11日 更新

エロ映画が量産された日本映画界の「ハレンチ・ブーム」の考察:「東映ポルノ」と「日活ロマンポルノ」から「ビニ本全盛期」「AV時代へ」

1968年、石井輝男監督のエログロな東映ポルノ『徳川女系図』の大ヒット以降、大映、日活、松竹もヌード映画の製作を開始しました。エロ映画が量産され、日本映画界にセックス旋風が吹き荒れて「ハレンチ・ブーム」に沸きました。そして成人映画から人気女優もたくさん生まれました。日活ロマンポルノ史上もっとも美しい女優「高倉 美貴」や日活ロマンポルノのトップ女優「白川和子」、「警視庁のアイドル」とも呼ばれた「田中真理」、史上最年少のポルノ女優「山川レイカ」(当時16歳)など当時の人気女優も振り返ります。一般家庭にもVHSビデオデッキが普及し、巷にレンタルビデオ店が大量に出現し、低料金でレンタルできるようになった1980年代後半には、成人映画の劇場に足を運ぶ人は減る一方となりました。

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エロ映画が量産された日本映画界の「ハレンチ・ブーム」

エログロな東映ポルノ『徳川女系図』の大ヒットをきっかけ...

エログロな東映ポルノ『徳川女系図』の大ヒットをきっかけに大手映画会社からヌード映画が量産された時代がありました。

エログロなポルノ時代劇や猟奇的な映画がたくさん作られました。
1968年、石井輝男監督のエログロ映画『徳川女系図』の大ヒットにより、大手映画会社の性モラルの防波堤が一気に決壊、日本映画をエロで埋め尽くした。

テレビの攻勢で観客減に悩んでいた邦画大手各社は東映に追随せざる事態に追い込まれ、次々とエロ路線に傾斜していく。

大映、日活、松竹もヌード映画の製作を開始し、日本映画界は「ハレンチ・ブーム」に沸いた。

東映の"エロ映画"には、独立プロ系成人映画から多くの女優が出演し、ピンク女優の五社進出の先駆けとなり以後、独立プロのキャストや手法を取り込む東映のやり方に各社が追随した。

また各社とも大部屋でくすぶっていた新人女優を「脱げば売り出してやる」と甘言で篭絡、要員確保してヌード映画の量産体制を敷いた。
ポルノ映画が上映されている日本のポルノ映画館(客足減少...

ポルノ映画が上映されている日本のポルノ映画館(客足減少で一般映画館がポルノ映画館に転向した映画館の例)

岡田は"エロ映画"を"任侠映画"と並べて興行の重要週間に配置していく。当時の映画は二本立てが一般的であったので、こうした"エロ映画"が"任侠映画"と二本立てになることで、ストイシズムを謳う"任侠映画"の魅力が際立つという一面もあった。

1960年代末の日本映画は瀕死状態となり、暴力とエログロに特化した映画作りに邁進する東映だけがかろうじて映画製作で黒字を出した。
刺激的なキャッチコピーが踊るポルノ映画館の看板

刺激的なキャッチコピーが踊るポルノ映画館の看板

東映ポルノ / 東映ピンキー・バイオレンス

杉作J太郎と植地毅『東映ピンキー・バイオレンス浪漫アルバム』

杉作J太郎と植地毅『東映ピンキー・バイオレンス浪漫アルバム』

杉作J太郎と植地毅が東映のエロ映画と、エロ要素を含んだバイオレンス&アクション映画を"東映ピンキー・バイオレンス"と名付けた。
東映ポルノとは、日本の大手映画会社である東映が1960年代後半から製作を開始したエロティックな映画の総称。

"日活ロマンポルノ"ほど、日本の映画史に於いて定着した名称といえないが、この名称で説明している。"東映ポルノ"という言葉は多くの文献で使われている。

1999年に杉作J太郎と植地毅がこれらのエロ映画と、エロ要素を含んだバイオレンス&アクション映画を"東映ピンキー・バイオレンス"と名付け『東映ピンキー・バイオレンス浪漫アルバム』という書を出した。

これ以降、この"東映ピンキー・バイオレンス"という言葉でこれらを紹介することもある。『東映ピンキー・バイオレンス浪漫アルバム』の中でも"東映ポルノ"という言葉が何度も使われている。製作の始まりは1967年頃、終了は東映を含めた大手映画会社が一本立て興行に移行した1970年代の終わりと見られる。

「ポルノ」の語源は「東映ポルノ」

"ポルノ"という言葉は、この"東映ポルノ"から生まれた言葉である。その他、"東映ポルノ"は多くの先駆的業績を生んでいる。

『大奥㊙物語』(1967年) 大奥もの(大奥に関する作品の一覧)や「女性時代劇」の実質的元祖となった作品

『大奥㊙物語』(1967年)

『大奥㊙物語』(1967年)

『大奥㊙物語』(おおおくまるひものがたり)は、1967年の日本映画。東映製作。主演・佐久間良子、藤純子、岸田今日子。監督・中島貞夫。R-18(成人映画)指定作品。

江戸城大奥を舞台に、女たちの戦いを3部構成で描く。
「大奥」とタイトルに冠された最初の映像作品であり、オムニバス形式で主演級を女優で固めた点や、ナレーターが大奥を説明しながら話が展開するスタイルが今日続く大奥もの(大奥に関する作品の一覧)や「女性時代劇」の実質的元祖となった作品である。

大奥という閉鎖された世界のドロドロとした人間ドラマは、男性上位の時代劇史の中でも特筆すべき女性路線の企画であった。

1967年度の日本映画配給収入でベストテン10位の大ヒットを記録、東映としても久しぶりの時代劇の大ヒットとなった。

本作はふんだんにエロチシズムを取り入れた作品であるが翌1968年に本作をベースにエロ要素を薄め、硬い内容にして制作されたテレビドラマ『大奥』(関西テレビ)も大ヒットした。

以降、テレビドラマや演劇では"硬い大奥もの"が、映画やAVなどでは"エロい大奥もの"が多数制作された。『大奥㊙物語』は、二つの源流になった作品である。
『大奥㊙物語』の第1部のヒロイン、藤純子

『大奥㊙物語』の第1部のヒロイン、藤純子

出演は、ヒロインの第1部に藤純子、第2部に岸田今日子、第3部に佐久間良子。将軍役に、高橋昌也。大奥を取り仕切る御年寄に、東宝・山田五十鈴。その他岩崎加根子、坂本スミ子を始めとする東映の女優が大集結した。

物語の中で重要な役割を担うナレーターは、渡辺美佐子が務める。有名な岸田今日子のナレーターは1968年の『大奥』からである。

『大奥㊙物語』(1967年) 大奥で密かに繰り広げられる女同士のラブシーン - YouTube

1967年公開の東映映画「大奥(秘)物語」より、小川知子さんと岸田今日子さんによる大奥で密かに繰り広げられる女同士のラブシーンのダイジェストクリップです。
『大奥㊙物語』本作はレズシーンなどエロ要素もあるが、女性の裸があるわけではない。

東映専属女優で脱ぐのは三島ゆり子ぐらいしかいなかったためで、岡田はこの後も『続大奥㊙物語』や『尼寺㊙物語』といった「マル秘シリーズ」を自らの発案で仕掛けていくがどちらも不入りに終わる。

「中途半端なことしてたからアカンのや」と、敗因は裸が少ないからと分析し、回りの反対を押し切り、岡田の右腕・天尾完次プロデューサーに「ピンク映画の女優を大量に引き抜いて来い」と指示し、メジャー映画会社として初めて、東映専属ではないピンク女優を大量投入して石井輝男に撮らせたのが1968年の『徳川女系図』であった。

メジャー映画会社初のピンク映画『徳川女系図』(とくがわおんなけいず)(1968年)

『徳川女系図』(とくがわおんなけいず)(1968年)

『徳川女系図』(とくがわおんなけいず)(1968年)

『徳川女系図』(とくがわおんなけいず)は、1968年公開の日本映画。吉田輝雄主演、石井輝男監督。東映京都撮影所製作、東映配給。併映は『前科者』(若山富三郎主演、山下耕作監督)。

日本の大手映画会社が初めて製作したピンク映画。実質的な"東映ポルノ"のスタートで石井輝男監督の"異常性愛路線"と呼ばれるエログロ映画第1作。

『徳川女系図』のあらすじ

徳川五代将軍綱吉は大奥というハーレムで、やりたい放題の生活をしている。女たちは常盤井たちの御台所派と、お伝の方の二派に分れて対立していた。二派の対立は日ごとに深まり、綱吉の乱行もさらにエスカレートしていく。
(出典:Wikipedia「徳川女系図」)
徳川五代将軍綱吉は大奥というハーレムで、やりたい放題の...

徳川五代将軍綱吉は大奥というハーレムで、やりたい放題の生活をしている。

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