70年代のブライアン・デ・パルマ監督作品はカルトの宝庫。
2020年2月23日 更新

70年代のブライアン・デ・パルマ監督作品はカルトの宝庫。

今や巨匠となったブライアン・デ・パルマ監督ですが、70年代の作品はどれも下世話でミステリアス。故にカルト。無条件に面白いのですが謎解きがあったり、どんでん返しがあったりで詳しく内容を言えないところが歯がゆいなぁ。

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ブライアン・デ・パルマ

ブライアン・デ・パルマといえば、トム・クルーズ主演の「ミッション:インポッシブル」やアカデミーをはじめ数々の賞に輝いた「アンタッチャブル」などで知られている映画監督で、今では既に巨匠といってよい存在。
ブライアン・デ・パルマ監督

ブライアン・デ・パルマ監督

本名:Brian Russell DePalma
生年月日:1940年9月11日
出生地:アメリカ合衆国 ニュージャージー州ニューアーク
しかし、それは80年代以降の話です。70年代のブライアン・デ・パルマはちょっと違います。いえ、随分違います。マニア心をくすぐる70年代のブライアン・デ・パルマ作品は最高です!

悪魔のシスター

ブライアン・デ・パルマは1960年から作品を撮り始め、最初に注目を集めたのが1968年の「ブルーマンハッタン」です。この作品は第19回ベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞し、1970年には続編が作られています。苦節10年。やっと実を結んだわけです。そして、ここからブライアン・デ・パルマ栄光の70年代が始まります。

日本未公開の1972年作品「Get to Know Your Rabbit」に次いで1973年に公開された「悪魔のシスター」。これが華麗なる幕開けですね。
悪魔のシスター

悪魔のシスター

監督・脚本:ブライアン・デ・パルマ
製作:エドワード・R・プレスマン
脚本:ルイザ・ローズ
撮影:グレゴリー・サンダー
音楽:バーナード・ハーマン
出演:マーゴット・キダー、ジェニファー・ソルト、チャールズ・ダーニング
原題は「シスター」。「悪魔の」は付きません。タイトルだけを見るとオカルト映画のような感じですが、オカルトよりもたちが悪いと言いますか、コワイです。

内容はネタバレしてしまうと魅力半減、面白さ半減ですので控えますが、ブライアン・デ・パルマ作品の特徴が出ている。つまりこの時点で既に作家として完成されていることに驚かされます。
映像の魔術師とも言われるブライアン・デ・パルマのカメラワーク。大きな特徴として、①スクリプトスクリーン(画面が中央で割れて別々の映像が流れる)、②極端なスローモーション、③長まわしがあります。そして作品テーマとしては、二重人格(人格の分裂ですかね)。それらの要素が既に顔を出しています。
日本においてはリアルタイムでブライアン・デ・パルマ作品を観ることが出来たのは本作が最初になるかと思いますが、この感覚に驚いたことでしょう。

ファントム・オブ・パラダイス

人によってはブライアン・デ・パルマの最高傑作は本作である!と言いきる人多数の「ファントム・オブ・パラダイス」。1974年の公開です。
漫画「ベルセルク」ファンであれば、主人公のコスチュームに見覚えがあるはずです。そう、あれです。また、映画の中には「ジューシーフルーツ」というバンドがでてきます。日本にも同名のバンドがいましたよね。そう、あれです。
日本だけではなく、そして各方面に大きな影響を与えている映画ですね。
ファントム・オブ・パラダイス

ファントム・オブ・パラダイス

監督・脚本:ブライアン・デ・パルマ
製作:エドワード・R・プレスマン
撮影:ラリー・パイザー
美術:ジャック・フィスク
出演:ポール・ウィリアムズ、ウィリアム・フィンレイ、ジェシカ・ハーパー、ジョージ・メモリー
ヒッチコック作品をはじめ様々な作品のオマージュといますか、引用を多用することでも知られているブライアン・デ・パルマ。「ファントム・オブ・パラダイス」でも「オペラ座の怪人」「ファウスト」「ノートルダムのせむし男」などの古典作品からアイデアがとられています。
元になった作品と比べるのもまたブライアン・デ・パルマ作品の醍醐味のひとつなんですよね。

ファントムオブパラダイス

<ストーリー>
気は弱いが天才的なロック作曲家だったウィンスロー・リーチ。しかし、腹黒いレコード会社の社長スワンにより、自分の曲を盗作された上に無実の罪まで着せられてしまう。刑務所を脱走した彼は、レコードのプレス工場に忍び込んだ時、機械で顔半分を押しつぶされてしまった。仮面をかぶった怪人と化したウィンスロー。スワンの裏切り行為に激怒した彼は今や復讐の鬼となった──。
さて、肝心の内容ですが、上記の引用からでは恐ろしいほどに面白さが伝わらないかと思います。いえ、大雑把に言えば内容はその通りで間違いはないのですが、これを読んだだけでは全く観る気がしないですよね?お気持ちは痛いほど分かります。

詳細を記すればネタバレとなるし、観る気は起きなくても、もう、これは実際に観てもらうしかありません。映像の魔術師ですからね。言葉には出来ないのです!

愛のメモリー

ブライアン・デ・パルマのヒッチコック好きはよく知られています。ヒッチコック愛でいっぱいの映画が1976年に公開された「愛のメモリー」です。
日本で「愛のメモリー」といえば、それはもちろん松崎しげる。あの歌声が頭の中いっぱいにかけまわりますが、当然ながら映画とはまったく関係ありません。
そもそも原題は「Obsession」。強迫観念と訳されます。映画のタイトルとしては弱いようにも感じますが、グッとヒッチコック感がでますねぇ。
愛のメモリー

愛のメモリー

監督:ブライアン・デ・パルマ
出演:クリフ・ロバートソン, ジュヌヴィエーヴ・ビジョルド, ジョン・リスゴー
物語は1959年、主人公の妻と娘が誘拐され犯人が逃走中に自動車事故を起こし一緒に乗っていた妻子は死んだと警察から聞かされます。
それから16年後の1975年、主人公は共同経営者とイタリアのフィレンツェを訪れた際、死んだ妻とそっくりの女性に出会います。2人は惹かれあい結婚を決意するのですが、また女性が誘拐されてしまうのです。ふたつの誘拐事件の裏には何があるのか?という実にアルフレッド・ヒッチコック監督の「めまい」を感じさせる内容です。
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