結末を巡って監督が抵抗!
ユニバーサル・ピクチャーズの要求を拒否!
キム・グライストは逮捕のどさくさで死んでしまい、ジョナサン・プライスは洗脳によって気がふれてしまったという救いの欠片もない終わり方である。
もちろん映画の配給会社がこれに納得するはずはなくユニバーサルは「ラストをハッピーエンドに変更するなど数か所のカットや変更」を求めてきた。
そしてそれに激しく反発したテリー・ギリアム監督はユニバーサル社相手にドキュメンタリー本『バトル・オブ・ブラジル』に詳しい内容が載っているいる長く苦しい戦いをすることになる。
修正されたエンディングは、サムとジルが逃亡先で田園生活をはじめるという、いわば「愛は全てに打ち勝つ」といったものであった。このバージョンは、アメリカでテレビ放送され、ギリアム監督を悩ませることになる。
一時94分まで短縮された「ハッピーエンド版」に対し監督自身が再編集を施し、131分の版がアメリカ国内で公開された。興業的には惨敗とみなす意見が多いが、宣伝や公開の方法に問題がなかったわけではない。
今日DVD等で観られるヴァージョンは、ヨーロッパで20世紀フォックスの配給で公開された143分のオリジナル版であるが、ギリアム監督自身「ハッピーエンド版」の雲の上を飛行するオープニングは改善されたと認めている。
NHK-BS2の『衛星映画劇場』では、基本的にオリジナル版だが雲の映像など「ハッピーエンド版」を一部取り入れた折衷版が放映された。
まさに映画のラストシーンを巡る戦いが、皮肉にも物語で表現していた管理社会のようですね。
テリー・ギリアム監督は、その後も映画製作において苦戦を強いられます。
「ドン・キホーテを殺した男」は様々なアクシデントにより製作中止、「ブラザーズ・グリム」ではセットや全米脚本家組合との問題で公開が遅れるなど、とことん映画の神様に見放されます。
しかし、公開すれば熱烈なファンが多く、作品の評価が高いのもまた彼の特徴でもありますね。
世紀を超えてなお愛される「未来世紀ブラジル」の特集でした。
テリー・ギリアム監督は、その後も映画製作において苦戦を強いられます。
「ドン・キホーテを殺した男」は様々なアクシデントにより製作中止、「ブラザーズ・グリム」ではセットや全米脚本家組合との問題で公開が遅れるなど、とことん映画の神様に見放されます。
しかし、公開すれば熱烈なファンが多く、作品の評価が高いのもまた彼の特徴でもありますね。
世紀を超えてなお愛される「未来世紀ブラジル」の特集でした。
ジャック・マシューズ (著)、柴田元幸 (訳)
ダゲレオ出版