映画解説
西暦2001年、アメリカは独裁国家になっていた。国民の不満のガス抜きは年に一度のデスレース。優勝者は国民的ヒーローとして奉られる。昨年の優勝者、フランケンシュタインはレザーのつなぎに黒マスク、黒マントをなびかせた謎の怪人。
これに対するのがマシンガン・ジョー。シチリアン・マフィアの風貌をした、あからさまのワルである。
西部劇から抜け出たようなカラミティ・ジェーンは、長い黒髪にウエスタン・ハットの似合う、小股の切れ上がったいい女。かたや、金髪美女のマチルダ・ザ・ハンはネオ・ナチスの信奉者。ファッションは鉤十字一色で、これはこれでソソるものがある。
そして、まるで『ベンハー』のような衣装のネロ・ザ・ヒーロー。以上、5人のレーサーたちが民間人をドカドカ轢き殺しながら競い合うが、レジスタンスの工作により、一人また一人と抹殺されていく.....。
レーサーたちが個性的なら、轢き殺される方も個性的だ。
まず、最初の犠牲者は道路工事のおっちゃんだが、道路中央でガガガガガッとやってるところに後ろからマシンが現れて、ザックリと股を裂かれる。股間から血が吹き出る特撮は『椿三十郎』以上の衝撃映像だ。
この他にも頭部破壊、肛門潰し等の衝撃映像が随所に見られるが、この映画の凄いところは、こうした人体破壊映像をコメディタッチで描いている点である。バックにはコミカルな音楽が流れ、ブピューッといったコミカルな擬音が重なる。人間の命の尊さとは最も無縁の映画と云えよう。
フランケンシュタインの熱烈なファンの少女は、自ら道の真ん中に立ち、彼の得点に貢献することで命を立つ。一方で、デスレースをおちょくる奴もおり、闘牛士ルックでカラミティ・ジェーンに果敢に挑むも、串刺しにされるバカ。肝試しをして遊ぶ奴らも当然に皆殺しとなる。この他にも、車椅子の老人たちを見捨てて逃げた医者や看護婦たち、間抜けなレジスタンス、やたらとうるさいレポーター、そして大統領に至るまで、ありとあらゆるあらゆる類型の被害者たちが登場する。本当に観ていて厭きない。
無名時代のシルベスター・スタローンが出演していることも、本作がカルト化した要因の一つだろう。ちなみに、彼のギャラはたったの1000ドル。『ロッキー』でブレイクする数ケ月前のことだった。コーマン御大曰く、
「あれはいい買い物だった」。
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レース場に到着したとたん、いきなり客席に向かってマシンガンを乱射するマシンガン・ジョー(スタローン)、冷酷な殺人鬼なのではなく、頭が悪すぎるために何もわかっていない人物として描かれる。
レーサーの乗るレースカー
①「ザ・モンスター号」
覆面を被った主人公「フランケンシュタイン」。ナビゲーターは、「アニー・スミス」(シモーネ・グリフェス)
ザ・モンスター号は、伝説のフランケンシュタインの愛車で最強マシーンでバンパーから飛び出した角が武器
ザ・モンスター号は、伝説のフランケンシュタインの愛車で最強マシーンでバンパーから飛び出した角が武器
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②「雄牛号」
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③「ピースメーカー号」
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④「誘導爆弾号」
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⑤「ライオン号」
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