さらっと彼氏彼女の事情をすすめてしまったけどとんでもない鬱アニメだってことを失念していた
— 蒼の彼方のOscarhythm (@OscarGroove) August 13, 2017
その鬱展開というのが有馬の過去が判明していく辺りです。
有馬は爽やかなイケメンで学力も高く剣道の腕もインターハイで優勝するほどで、さらに人当りもよく誰にでも優しい完璧すぎる青年です。しかし、そこにはが悲しい過去が関係していました。
有馬は実の両親に育てられていません。実の父親は医者の名家である実家を捨てて失踪しており、一族から息子の有馬まで白い目でみられています。さらには幼少期、実の母親から受けた激しい虐待。この虐待がトラウマになり、有馬は誰のことも信じられず愛せないのです。
それでも愛情深く育ててくれた養父母である伯父夫婦に恩返しをするため、優等生を演じ続けます。虐待のトラウマ、父親のせいで辛く当たった一族への復讐心をひた隠しにしながら。
この鬱な展開と、庵野監督独特のアニメ手法が見事にマッチします。アニメに実写の映像や原作の漫画のカットを盛り込み、「劇メーション」という個性的な描写も使用されました。視聴者の中には「このアニメなんか怖い」と感じた方も多いのだとか。「見たくないけど見たい」という不思議な気持ちになったそうです。
「カレカノ」はロボットが出てこない「エヴァ」!?
まずキャラクターの描き方として似ているのは、優秀であろうと戦う少年少女たちという点でしょう。「エヴァ」の登場人物アスカもかなりの負けず嫌いで常に優秀であろうとします。口が達者で利発そのものですが、実は幼少期に悲しい思いをしておりトラウマを抱えています。
主人公のシンジも自分を捨てた父親に認められたくてエヴァに乗り戦おうとしますね。過去のトラウマ、それを消したくて優秀であろうとする…そんな心模様がどちらも似ています。そしてアニメ終盤にいくほど鬱展開になる辺りもそっくりです。
アニメの手法としてもやはり似ており、そこは庵野監督ワールド全開といえます。時折流れるクラシック、信号機や風景を使ってキャラクターの心象を表現するところなど。キャラクターが悲しい心情を淡々と語ってる時なんかに、バックが夕暮れの風景だったりすると余計切なくなるんですよね。「エヴァ」でもシンジが悩んでる時によく使われていて印象的でした。
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だって制作スタッフもそのまま同じメンバーだし
というのも本当は「エヴァ」終了後、鶴巻和哉監督の新作アニメがガイナックスで制作されるはずだったんです。しかし企画が難航してスタートできず。「エヴァ」で集結したスタッフをそのまま留めておくために急遽持ち上がったのが「カレカノ」のアニメ化だったのです。
そんな訳で時間がなくオリジナル作品は難しかったので、庵野監督としては初めて漫画原作の作品をアニメ化したのだとか。そのせいで「エヴァ」の雰囲気が色濃く残っているのかもしれませんね。パロディも多々見受けられます。
最終回で「は?」ってなる所もそっくり
美容院に行ったら正月企画で三角くじやってて、引いたら1等の高級シャンプーセット(1万円相当)が当たった!エヴァの最終回みたいに店員さん達に囲まれて拍手された!! pic.twitter.com/EX2a9U2WKY
— 田川秀樹 (@tagawatutyo) January 16, 2015
漫画が連載中だったから仕方ないのですが、最終回は「雪野への想いが強すぎて、有馬が精神崩壊…つづく」「完」です。仕方ないけど衝撃的すぎて、意味が分からなすぎて視聴者はもちろん混乱しました。
原作では雪野が高校生で妊娠!
とはいえ、割と本人たちも周囲も「高校生で妊娠、出産」という事態を好意的に受け入れてくれることで暗い終わり方にはなりません。雪野は高校卒業後いったん勉強の道は諦めて主婦になりますが、第二子である双子を出産したあと医大に進学しています。
有馬も過去を清算し、雪野と結婚。子どもにも恵まれ高校卒業後は警察官になり、幸せを掴んでいます。アニメでは曖昧に終了しましたが、原作ではハッピーエンドだったのが救いですね。