2025年8月6日 更新
有名人の最期の地となったホテル~~アジア・オセアニア編~
世界各地の名だたるホテルで、有名人が静かに、あるいは衝撃的な形で人生の幕を下ろした。名声とともにその人生を終えた著名人たちデビッド・キャラダインやレスリー・チャン、新井将敬、加藤和彦、沖雅也、テレサ・テンなどの足跡と、彼らの最期の舞台となったアジアやオセアニアの高級ホテルについて紹介する。
マイケル・ハッチェンスの最期の地──シドニー「リッツ・カールトン・ホテル(現ダブルベイ・ホテル)」
オーストラリアを代表するロックバンド「INXS」のフロントマン、マイケル・ハッチェンス(Michael Hutchence)は、1960年1月22日にシドニーで生まれた。彼は圧倒的なカリスマ性とセクシャリティを武器に、1980〜90年代にかけて世界的な成功を収め、INXSは「Need You Tonight」などのヒット曲で知られるバンドとなった。
しかし、その栄光の裏で、彼の私生活は常にメディアの注目を浴び、精神的にも不安定な状況が続いていた。1997年11月22日、マイケル・ハッチェンスはシドニーの高級ホテル「リッツ・カールトン・ホテル」(現インターコンチネンタル・シドニー・ダブルベイ・ホテル)の客室で遺体となって発見された。享年37歳であった。
警察の発表によると、死因は自殺。部屋にはアルコールや薬物の痕跡が確認され、当時の彼の精神状態は極めて不安定だったとされている。一方で、一部では「オートエロティック・アスフィキシア」」(自己発情窒息)の可能性も報じられたが、公式には自殺として処理された。
このホテルは現在、「インターコンチネンタル・シドニー・ダブルベイ・ホテル」として営業を続けており、リゾート地としても知られるダブルベイの中心に位置している。しかし、音楽ファンの間ではここが“INXSのボーカル、マイケル・ハッチェンスが最期を迎えた場所”として今も語り継がれている。
デビッド・キャラダインの最期の地──タイ・バンコク「スイスホテル ナイラート パーク ホテル」
アメリカの俳優デビッド・キャラダイン(David Carradine)は、1936年12月8日に生まれ、2009年6月4日にタイ・バンコクで死去した。彼は1970年代に放送されたテレビドラマ『燃えよカンフー』(原題:Kung Fu)で主人公クワイ・チャン・ケインを演じ、一躍スター俳優となった。また、2000年代には映画『キル・ビル』シリーズでのビル役によって、再び国際的な注目を集めた。
そんな彼の最期の地となったのが、バンコクにある高級ホテル「スイスホテル ナイラート パーク ホテル(Swissotel Nai Lert Park Hotel)」である。2009年6月4日、同ホテルの客室内で、キャラダインは首と腰にロープが巻かれた状態で死亡しているのが発見された。享年72歳であった。
タイ警察は当初、自殺の可能性を示唆したものの、現場に遺書はなく、状況から「オートエロティック・アスフィキシア(性的興奮を高める行為中に偶発的に発生する窒息)」による事故死の可能性が高いと報道された。キャラダインは当時、映画『ストレッチ』の撮影のためバンコクに滞在しており、仕事中は元気な様子だったという。
遺族は自殺説を否定し、FBIに調査を依頼したものの、最終的な死因は断定されていない。
現在、「スイスホテル ナイラート パーク ホテル」は営業を終了し、「ナイラート・パーク・ヘリテージ・ホーム」として再開発されているが、この場所は今もなお“名優デビッド・キャラダインが最期を迎えた地”として記憶され続けている。
テレサ・テンの最期──タイ・チェンマイ「メイピンホテル」
アジアを代表する歌姫テレサ・テン(Teresa Teng/鄧麗君)は、1953年1月29日に台湾・雲林県で生まれた。1970年代から1990年代にかけて、日本・中国・東南アジア全域で絶大な人気を誇り、日本でも「時の流れに身をまかせ」「つぐない」などのヒット曲で知られる存在となった。
そのテレサ・テンが最期を迎えたのは、タイ北部の都市チェンマイにある「メイピンホテル(Mae Ping Hotel)」である。1995年5月8日、滞在中の同ホテルにて、ぜんそく発作による呼吸困難で倒れ、病院に搬送されるも死亡が確認された。享年42歳であった。
テレサ・テンは当時、病気療養と静養を兼ねてタイを訪れており、旅行中の突然の訃報はアジア全域に衝撃を与えた。報道によれば、発作時には吸入器が手元にあったものの、間に合わなかった可能性が指摘されている。
テレサの死を受け、日本・台湾・香港・中国各地で追悼の声が相次ぎ、葬儀は台湾で国葬に準じる形で執り行われた。彼女が最期を迎えたメイピンホテルは現在も営業しており、ファンの間では「聖地」として知られ、今なお多くの人々が訪れている。
レスリー・チャンの最期──マンダリン・オリエンタル香港での突然の死と残されたメッセージ
レスリー・チャン(張國榮、1956年9月12日生まれ)は、香港出身の人気歌手・俳優である。1983年に山口百恵の『さよならの向う側』をカバーした『風繼續吹』が大ヒットし、香港ポップス界のトップスターとしての地位を確立した。1989年には歌手引退を宣言し、カナダへ移住するも、半年後に香港に戻り、俳優として芸能界に復帰。1999年には日港合作映画『もういちど逢いたくて/星月童話』で常盤貴子と共演し、日本でも広く知られる存在となった。
-
コメントはまだありません
コメントを書く
※投稿の受け付けから公開までお時間を頂く場合があります。
マイケル・ハッチェンス
MP3 ダウンロード