アカデミー賞受賞を逃してしまった優秀傑作映画、あれこれ!!⑤
2017年7月24日 更新

アカデミー賞受賞を逃してしまった優秀傑作映画、あれこれ!!⑤

アカデミー賞受賞を逃してしまった優秀傑作映画、あれこれ!!④では1978年頃までのアカデミー賞を受賞できなかった「名作・傑作」映画をご紹介したが、その続きを書こうと思う。さて、どんな作品があるのでしょうか!?

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『トッツィー』のパンフ

『トッツィー』のパンフ

『トッツィー』(Tootsie)は、1982年に公開されたアメリカ合衆国のコメディ映画。
売れない俳優が女装した途端に役がつき、一躍人気スターになるが・・・というコメディ・ドラマ。監督はシドニー・ポラック。ラリー・ゲルバートとドン・マクガイアのストーリーを基に、ラリー・ゲルバートとマレー・シスガルが脚本化した。出演はダスティン・ホフマン、ジェシカ・ラング、テリー・ガー、ダブニー・コールマンなど。第55回アカデミー賞では助演女優賞を受賞した。また、作品賞、監督賞、主演男優賞にもノミネートされた。

キャラクターの設定を活かした見事な脚本!!

演技を若い俳優たちにコーチしている中年の男マイケル・ドーシー(ダスティン・ホフマン)。実は彼も俳優なのだが、演出家ともめたりするのでトラブル・メーカーとみられて、役がつかず失業中。ルーム・メイトで脚本家志望のジェフ(ビル・マーレイ)と生活のためにウェイターをしている。

生徒の一人サンディ(テリー・ガー)は、明日の病院ものソープ・ドラマのオーディションに自信がなく、マイケルが個人レッスンを買って出て、翌日TV局までついて行ってやったが、その甲斐もなくサンディは落第。タフじゃないというので、台詞も読ましてもらえなかったのだ。翌日、彼は女装して、TV局へ行きドロシー・マイケルズと名乗る。ディレクターのロン(ダブニー・コールマン)はドロシーを見ただけで、もっとタフな女性が欲しいという。そこでドロシーが怒ってみせると、プロデューサーのリタが気に入ってカメラ・テストをした上で採用。その時、マイクは看護婦役のジュリー(ジェシカ・ラング、)と知りあい一目惚れする。

さて、マイケルはその足で、エージェントのジョージ(シドニー・ポラック)に会いにゆく。始めは彼女がマイケルとわからなかったジョージだが、話を聞いてびっくり。ジェフはマイケルに協力することになった。これもジェフの書いている芝居の公演資金8 000ドルを捻出するためだ。思わぬことでマイケルはサンディとできてしまう。

翌口、TV局に行ったマイケルは、病院理事エミリーの役を難なくこなす。困ったのは、ブルースター医師役のジョン(ジョージ・ゲインズ)が彼女に恋心を燃やし出したことと、ジュリーがロンとつきあっていること。ロンは横柄な男で、ジュリーをまるで恋人扱いしていない。ある日、ジュリーに台本の読み合わせを頼まれたマイケルは彼女の家へ。そこで、彼女が未婚の母であることを知る。

女同士仲良く会話をしているうちに、今晩はサンディと夕食の約束をしていたことを思い出して、サンディのアパートに行く。もうサンディはカンカンになっていた。やがて、ジュリーは父親レスを紹介し、レスはドロシーにいかれてしまう。そのうち、ドロシーに人気が出て来た。ロンは相変わらず人を人とも思わぬ態度で、ドロシーにトッツィー(可愛い子ちゃん)と呼び掛けたりする。ジュリーはドロシーに感化されてロンと別れると言い出す。そんな彼女にキスしようとして、レズビアンと思われてしまった。しかも、レスからは求婚されるし、ジョンがアパートに強引に入りこんでくる。

やっと彼を追い出したところヘサンデーが来た。彼女に「他に好きな人ができた」とうちあけると、彼女はカンカンに怒る。もう女優であることに耐えられなくなったマイケルは、番組のライヴ放送の時、エミリーは本当は男であったと暴露。その後、マイケルは男としてジュリーに会い、彼女も彼の愛を受け入れる。

ダスティン・ホフマンの初コメディ作品!!

個性派俳優として名を馳せるダスティン・ホフマンの初コメディ作品。同じようなものとしてロビン・ウィリアムスの『ミセス・ダウト』があり、どちらも甲乙付けがたい作品であるが、それぞれの体格に合わせた変身ぶりは不思議な魅力であり、一度観たらその存在感が消えることはない。

この2作が誰にでも楽しめるところは、女装する理由に必然性があるからであり、女になりたいという願望とはかけ離れているという部分だろう。『Mr.レディMr.マダム』や『プリシラ』という作品には、その業界の人たちが持つ独特の哀愁と毒気が漂い、非日常的な世界観に触れるという細かなディティールを観る部分に魅力はあるのだが、役者の個性とシナリオ中心で構成されるところでは、中身の濃さが全く違う希有な作品であると思う。
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