競馬で大儲けしたウィリーとエディがモーテルに帰ると、そこにはエヴァから「空港へ行く」との置手紙と大金が置いてあり、彼女の姿はなかった。
エヴァを呼び戻そうと急いで空港へ向かった二人は、エヴァがブダペスト行きの飛行機に乗ったものと思った。
ウィリーはチケットを買って出発直前の飛行機の中までエヴァを呼び戻しに行こうとするが、実はエヴァは飛行機には乗らず、モーテルに戻っていたのだった。
降り損ねたウィリーを乗せて飛行機はブダペストに飛んでいき、エディはそれを地上から見送る。
三者三様にとんだバカンスの結末を迎えたのだった。
エヴァ、お気に入りの音楽 「スクリーミン・ジェイ・ホーキンス」
劇中でエヴァが音楽を流すシーン
Willie: What the fuck is that? I really hate that kind of music.
Eva: It's Screamin' Jay Hawkins, and he's a wild man, so bug off!
ウィリー:なんだその曲は。おれの趣味じゃない。
エヴァ:スクリーミン・ジェイ・ホーキンスよ。文句ある?
──『ストレンジャー・ザン・パラダイス』(1984)
ハンガリーのブダペストからいとこのウィリーをたずねてニューヨークの街を歩くエヴァ。
大きなカバンと一緒にテープレコーダーをぶらさげていて、おもむろにスイッチを入れるとカセットテープから妖しいサックスの音色とともに「I put A Spell On You(おまえに魔法をかける)」とドスの利いた声で絶叫するスクリーミン・ジェイ・ホーキンスが流れます。
なぜジェイ・ホーキンスか?と言いますと、映画ではエヴァが最終的にクリーブランドに住むおばさんをたずねるという設定なのと、ジェイ・ホーキンスの故郷がクリーブランドであるという関連性がちらりと垣間見えたりします。
Screamin' Jay Hawkins - I put a spell on you (Stranger Than Paradise) - YouTube
劇中の映像と使用されたスクリーミン・ジェイ・ホーキンスの「I Put A Spell On You」。
via www.youtube.com
小津安二郎の影響が反映された映画だった
ハリウッド映画ではありえない何の事件も起きないストーリーの展開。この映画では、殺人事件も、強盗事件も、レイプ事件も、運命の出会いも、宇宙からの侵略も、クーデターも、不幸な別れも、戦争も、何も起きません。
これもまた日本映画、特に小津安二郎の作品から強い影響を受けたといわれています。
観客を飽きさせないために次々に事件を起こしドラマを展開させ続けるハリウッド式ヒットの法則。この映画はその対極に位置する映画といえます。
via blogs.c.yimg.jp
ジム・ジャームッシュ監督は、日本の小津安二郎監督のファンを公言している。
エディとウィリーが競馬新聞を見ながらどの馬を買おうかと話している会話の中で、「Tokyo Story」という馬を買おうというシーンがある。これは明らかに小津安二郎の「東京物語」を意識しており、彼へのオマージュとされている。
他の馬の名前も「Late Spring(晩春)」「Passing Fancy(出来ごころ)」と小津安二郎監督の作品から取られている。
また、ジム・ジャームッシュ監督は、小津安二郎映画でも見られる日本人の「間(マ)」における感覚について、自身の作品で表現しているとインタビューで述べている。
彼本人が本作で一番好きなシーンが、第一部のThe New Worldの終わりで、エヴァが去ってしまった後に、ウィリーがエディに何かを言おうとして言えないでいる部分だそう。
言いたいことが言えないウィリーの雰囲気を感じ取り、その点がより強調されるからだと述べている。
エディとウィリーが競馬新聞を見ながらどの馬を買おうかと話している会話の中で、「Tokyo Story」という馬を買おうというシーンがある。これは明らかに小津安二郎の「東京物語」を意識しており、彼へのオマージュとされている。
他の馬の名前も「Late Spring(晩春)」「Passing Fancy(出来ごころ)」と小津安二郎監督の作品から取られている。
また、ジム・ジャームッシュ監督は、小津安二郎映画でも見られる日本人の「間(マ)」における感覚について、自身の作品で表現しているとインタビューで述べている。
彼本人が本作で一番好きなシーンが、第一部のThe New Worldの終わりで、エヴァが去ってしまった後に、ウィリーがエディに何かを言おうとして言えないでいる部分だそう。
言いたいことが言えないウィリーの雰囲気を感じ取り、その点がより強調されるからだと述べている。
via liketimes.me
作品データ
【監督】 ジム・ジャームッシュ
【脚本】 ジム・ジャームッシュ
【製作】 サラ・ドライヴァー
【撮影】 トム・ディチロ
【音楽】 ジョン・ルーリー
【配給】 フランス映画社
【出演】 ジョン・ルーリー、エスター・バリント、リチャード・エドソン、セシリア・スターク
【脚本】 ジム・ジャームッシュ
【製作】 サラ・ドライヴァー
【撮影】 トム・ディチロ
【音楽】 ジョン・ルーリー
【配給】 フランス映画社
【出演】 ジョン・ルーリー、エスター・バリント、リチャード・エドソン、セシリア・スターク
受賞歴
・第19回全米映画批評家協会賞 (1984)
・第37回カンヌ国際映画祭カメラ・ドール(新人監督賞) (1984)
・第37回カンヌ国際映画祭カメラ・ドール(新人監督賞) (1984)
若者の日常を描いたロードムービーだった「ストレンジャー・ザン・パラダイス」。
盛り上がらない会話を、部屋に響くTVの音がより強調していたり、登場人物が手持ち無沙汰のように何かにつけて煙草を吸っていたりと、それらは間(マ)を感じさせる為の演出だったのではないだろうか。
気怠さとゆったりとした展開が魅力だった本作。キャリアの長いジム・ジャームッシュ監督においても、未だに代表作の一つとなっている。
盛り上がらない会話を、部屋に響くTVの音がより強調していたり、登場人物が手持ち無沙汰のように何かにつけて煙草を吸っていたりと、それらは間(マ)を感じさせる為の演出だったのではないだろうか。
気怠さとゆったりとした展開が魅力だった本作。キャリアの長いジム・ジャームッシュ監督においても、未だに代表作の一つとなっている。