その昔、音楽記録メディアといえば、カセットテープ一択だった
爆笑問題・田中が高校の放送部だった頃、自ら立ち上げた、田中の、田中による、田中のためだけのオリジナルラジオ番組『ウーチャカ(田中のあだ名)大放送』を校内放送し、後年、その音源が収められたカセットテープを、太田と一緒に車に乗るたびに、無理やり聞かせていたというのは有名な話。これほど極端なケースはないにしても、カセットテープに自分の声や歌を録音し、それを親・友人に聞かれて恥ずかしい想いをしたという人は、けっこういるのではないでしょうか?
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今でこそ、録音も再生も「MP3」が当たり前となっていますが、『ウーチャカ大放送』が鳴り響いていた80年代前半の音声記録&再生媒体といえば、コンパクトカセット、通称「カセットテープ」がもっぱら主流でした。
カセットテープのメリットといえば、自分の好きな曲を好きな順番で録音できるところ。ラジオでかかる好きなミュージシャンの楽曲を録りためて、自分だけのオリジナルアルバムをつくっている人なんかもいました。今みたいに、曲順を編集したり、ランダムで再生したりなんかできない時代だから、出だしの曲を何にしようか、とか、残りあとちょっとしかないテープになんの曲を入れようかとか、無駄に頭を悩ませていたのも、今となってはいい思い出です。
カセットテープのメリットといえば、自分の好きな曲を好きな順番で録音できるところ。ラジオでかかる好きなミュージシャンの楽曲を録りためて、自分だけのオリジナルアルバムをつくっている人なんかもいました。今みたいに、曲順を編集したり、ランダムで再生したりなんかできない時代だから、出だしの曲を何にしようか、とか、残りあとちょっとしかないテープになんの曲を入れようかとか、無駄に頭を悩ませていたのも、今となってはいい思い出です。
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ニュー・ウェイヴミュージックの流行に一役買った『カセットブック』
このように、カセットテープが一般に普及した背景には、安価で扱いやすく、また長時間の録音&再生が可能なメディアだったからに他なりません。
そんなコスパの良さもあって、1980年代、書籍・雑誌にカセットテープが付属した『カセットブック』なるものが流行したのです。今だとDVDやCDが付録としてついてくる本がよく書店で売られていますが、そのカセット版といったところでしょうか。
おりしも時は、ニュー・ウェイヴミュージック全盛の時代。YMOやシーナ&ザ・ロケッツ、ムーンライダーズといった独自のスタイルを打ち出したアーティストたちが、若者の間で新たなムーブメントとなっていました。彼らのフィロソフィーを、音はもちろんのこと、ビジュアル・文章をまじえて、あますところなく伝えたい…そんな意図も働いて、ニュー・ウェイヴミュージックを取り扱ったカセットブックが数多く発刊されたのです。
そんなコスパの良さもあって、1980年代、書籍・雑誌にカセットテープが付属した『カセットブック』なるものが流行したのです。今だとDVDやCDが付録としてついてくる本がよく書店で売られていますが、そのカセット版といったところでしょうか。
おりしも時は、ニュー・ウェイヴミュージック全盛の時代。YMOやシーナ&ザ・ロケッツ、ムーンライダーズといった独自のスタイルを打ち出したアーティストたちが、若者の間で新たなムーブメントとなっていました。彼らのフィロソフィーを、音はもちろんのこと、ビジュアル・文章をまじえて、あますところなく伝えたい…そんな意図も働いて、ニュー・ウェイヴミュージックを取り扱ったカセットブックが数多く発刊されたのです。
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スタイリッシュな表紙が魅力的だったニュー・ウェイヴ系カセットブック『TRA』
もっともポピュラーだったニュー・ウェイヴ系カセットブックが、『TRA』です。『タモリ倶楽部』の空耳アワーでお馴染みのイラストレーター・安斎肇もアートワークに関わっているこの雑誌は、見た目からして、ひじょうにスタイリッシュでオシャレ。ニュー・ウェイヴとはなんたるか、その世間一般におけるイメージ構築の一助になったといって、差し支えないでしょう。
80年代のインディーズデモテープ、高価買取いたします。
— FLOWER RECORD (@FLOWER_RECORD) November 22, 2017
マイナーなものでも大歓迎です。https://t.co/ilvPGuJg6S
apples@flower-record.com pic.twitter.com/bOQV1LHs1j
TRA Vol.2 (Winter 1982) Side-A pt.1
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また、『TRA』は音楽雑誌でしたが、ニュー・ウェイヴ系アーティストが、アルバムを収録したカセットを同梱して発売するというパターンも珍しくなく、有名どころだと、遠藤ミチロウの『ベトナム伝説』(JICC出版局)、坂本龍一の『Avec Piano』(思索社)、P-MODELの『SCUBA』(JICC出版局)などが、挙げられます。
いずれも、アルバム扱いなのに、レコード会社ではなく出版社が発売元となっているのが、なんとも、面白いところです。こうした流れの背景には、出版社発行のカセットブックはレコード会社の管轄外となるため、アーティストがより自由闊達な創作活動を展開できるという利点があったことも見逃せません。
いずれも、アルバム扱いなのに、レコード会社ではなく出版社が発売元となっているのが、なんとも、面白いところです。こうした流れの背景には、出版社発行のカセットブックはレコード会社の管轄外となるため、アーティストがより自由闊達な創作活動を展開できるという利点があったことも見逃せません。
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ヌード写真集と登場モデルの声を収録したカセットブックも!
もちろん、カセットブックは、ニュー・ウェイヴミュージックだけのものではありません。さまざまな音源を収録した雑誌・書籍が販売されていました。特に多かったのが、名作文学の朗読系冊子。太宰治や森鴎外といったかつての文豪が残した名著を、ナレーターや俳優がじっくり読み聞かせるというやつです。他にも、漫画作品を収録したものや童話を収録したもの、果ては、ヌード写真集とその登場モデルの声を録音した『マドンナメイトカセット』なるものまで発売され、まさに百花繚乱状態でした。
時を経て2017年現在。今やMP3プレイヤーの天下で、すっかり過去のメディアとして忘れさられていたかに思われていたカセットテープが、ここに来て突如、脚光を浴びているといいます。カセットテープをリアルタイムで利用していた30~40代が昔を懐かしんで使用しているのはもちろんのこと、10代~20代にもひそかなブームが来つつあるようであり、なんでも、アナログな音質やめんどくさいところが逆に好評なのだとか。ということで、ここ数年、見かけなくなっていたカセットブックですが、まさかの再ブレイク、あるかも知れません!
時を経て2017年現在。今やMP3プレイヤーの天下で、すっかり過去のメディアとして忘れさられていたかに思われていたカセットテープが、ここに来て突如、脚光を浴びているといいます。カセットテープをリアルタイムで利用していた30~40代が昔を懐かしんで使用しているのはもちろんのこと、10代~20代にもひそかなブームが来つつあるようであり、なんでも、アナログな音質やめんどくさいところが逆に好評なのだとか。ということで、ここ数年、見かけなくなっていたカセットブックですが、まさかの再ブレイク、あるかも知れません!
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(こじへい)
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