『機動戦士ガンダム MS IGLOO』
2016年12月28日 更新

『機動戦士ガンダム MS IGLOO』

劇場作品の第1期シリーズ『1年戦争秘録』とOVAの第2期シリーズ『黙示録0079』の各3話ずつ、2期合わせて全6話構成で、いずれも一年戦争を舞台にジオン軍側から描いた内容となっている。本作で登場する試作兵器はどれも1回または数回の実戦試験に供されるのみで開発が打ち切られ、パイロットたちの命と引き替えに少なからぬ戦果を挙げるものの結局は正式採用されずに消えていく、後世の軍事マニアならば「珍兵器」として扱うであろうものばかりである。しかし、それら時代の主流となり得なかった兵器に携わる男たちは全身全霊をかけて試験に挑み、そして散っていく。その生き方を指して監督の今西隆志は、本作のコンセプトを「挫折するプロジェクトX」と表現している。

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黙示録0079 ジャブロー上空に海原を見た

宇宙世紀0079年12月2日から7日にかけてヴェルナー・ホルバイン少尉をテストパイロットとする評価試験が4回実施された。当初、評価試験は604技術試験隊「ムスペルヘイム」で実施されていたが、1回目の試験中ゼーゴックの射出直後に母艦であるムスペルヘイムが撃沈されたため、2回目から4回目の試験は603技術試験隊「ヨーツンヘイム」にて実施された。
1回目の試験ではどのような作戦行動を行ったのかは不明。後にモニク・キャディラック大尉が「戦果ゼロ」と発言している。
2回目の試験は12月3日に行われた。全長60mの大型ミサイル4発(マルチ・ミサイル・パス)を搭載し、上昇中の連邦軍艦船に対して横方向から攻撃した。
3回目の試験ではワシヤ中尉同乗のもと28連装ロケットランチャー「R-1(アール・アイン)」を装備。水平飛行に移りつつある連邦軍艦船に後方から射撃を行おうとしたが、直前にジャブローから発射されたミサイルの迎撃にあい、本機は高度を失う。結果、連邦軍艦船に射程距離外へと逃げられた。評価試験のために、R-1は発射している。
4回目の試験は12月7日に行われた。MA用のビーム砲を改造した拡散ビーム砲「クーベルメ」を搭載し、垂直上昇中の連邦軍艦船とすれ違いざまに下方から攻撃を行った。その際の戦果はマゼラン級戦艦1隻、サラミス級巡洋艦4隻の同時撃沈というそれまでの失敗を払拭する晴れ晴れしいものであった。
しかし、その直後にコア・ブースターII・インターセプトタイプの追撃を受けて回収機のガウが撃墜され、ゼーゴックも被弾し海上に墜落しホルバイン少尉は消息を絶った。
こいつもしかして精神分裂病?チョット不思議なパイロット
ヴェルナー・ホルバイン少尉

ヴェルナー・ホルバイン少尉

MSM-07Di モビルダイバーシステム ゼーゴック

MSM-07Di モビルダイバーシステム ゼーゴック

MS IGLOO 黙示録0079 ジャブロー上空に海原を見た

黙示録0079 光芒の峠を越えろ

一年戦争最末期のア・バオア・クー攻防戦直前にカスペン戦闘大隊の指揮下に組み込まれた第603技術試験隊ヨーツンヘイムに、緊急量産の結果何とか間に合った35機前後が配備され、試験と称する前線配備がなされている。ただし、実戦経験者は大隊長であるヘルベルト・フォン・カスペン大佐のみであり、配属されたパイロットは急遽召集された16〜18歳の学徒兵でしかなかった。志願兵であり士気は高いものの、操縦方法が単純なモビルポッドを前提として訓練時間は150時間という促成兵であった。
戦闘ではボールを手玉に取り、回転する武装を用いた不意打ちや集団攻撃で予想値を上回る機体と称される戦果を挙げたものの、やはりモビルスーツ相手には分が悪く大きな損害を出した。更に配備を急いで量産されたために急造されたパーツの精度が悪く、戦闘中に武装の回転機構に異常をきたしている。
宇宙世紀0079年12月30日と31日に月とア・バオア・クーで2度の実戦投入が行われた。30日にはモニク・キャディラック特務大尉の弟エルヴィン・キャディラック曹長が戦死。翌日にはア・バオア・クー攻防戦に参加した。すでにこの時点で公国軍には劣勢を覆せる力はなく、ヨーツンヘイムに帰還できたのはわずか9機ほどの状態で敗戦を迎えている。
モニク・キャディラック特務大尉の実弟、エルヴィン・キャディラック曹長を筆頭にヨーツンヘイムに搭乗した少年兵達、戦争の意味も戦いの果てにある死も想像すらできていない。ただ祖国のため、愛する家族のため戦う士気のみで試験兵器で決戦に臨む。
エルヴィン・キャディラック曹長

エルヴィン・キャディラック曹長

ヘルベルト・フォン・カスペン大佐

ヘルベルト・フォン・カスペン大佐

MP-02A 駆逐モビルポッド オッゴ

MP-02A 駆逐モビルポッド オッゴ

MS IGLOO 黙示録0079 光芒の峠を越えろ

黙示録0079 雷鳴に魂は還る

急遽乗員に任命された技術士官オリヴァー・マイ技術中尉の手によってア・バオア・クー攻防戦にて投入され、エリアの一角である「Eフィールド」の防衛にあたった。実戦経験皆無のパイロットによる未熟な操作にもかかわらず、最初にして最後の実戦において少なくともボール6機、ジム2機、マゼラン級戦艦1隻、サラミス級巡洋艦5隻というエース以上の大戦果を挙げ、最終的に撃破されるも、その攻撃力の凄まじさを見せつけた。また同機を確認した連邦軍側は、「赤いモビルアーマー、こんなフィールドに!?」と驚愕しており、赤い彗星ことシャア・アズナブルの機体と誤認したとも考えられる。
この後、連邦軍が建て直しのために一時撤退した隙をついて、実戦におけるモビルポッド・オッゴへの補給・修理にも成功している。オッゴがビグ・ラング周辺に集まるのを目撃した連邦軍パイロットは、同機を「ドラム缶の親玉」と揶揄していた。
軍人もここまでくると狂人の部類に入るのでは・・・しかし自分の義務と責任は最後まで放棄したりはしなかった。
オリヴァー・マイ技術中尉

オリヴァー・マイ技術中尉

MA-05Ad 戦闘支援型モビルアーマー ビグ・ラング

MA-05Ad 戦闘支援型モビルアーマー ビグ・ラング

MS IGLOO 黙示録0079 雷鳴に魂は還る

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