アカデミー賞受賞を逃してしまった優秀傑作映画、あれこれ!!④
2017年7月2日 更新

アカデミー賞受賞を逃してしまった優秀傑作映画、あれこれ!!④

アカデミー賞受賞を逃してしまった優秀傑作映画、あれこれ!!③では1970年頃までのアカデミー賞を受賞できなかった「名作・傑作」映画をご紹介したが、その続きを書こうと思う。さて、どんな作品があるのでしょうか!?

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日本のテレビ界もすっかり視聴率が気になって番組の劣悪振りが明らかになっているが、そのような背景を批判した社会派作品。視聴率の1パーセントの差が年200万ドルの差になって表われるアメリカのテレビ業界の熾烈な競争と生き残り社会のひずみがモロに現在のアメリカのダメさを考えると非常に意味深な映画になっている。
 このような映画が1970年代に作られているが30年以上を経た現在においても充分に通用しすぎることにテレビ界の進歩の無さが理解できる。しかも当時は絶対だと信じていたアメリカの資本主義社会への痛烈なメッセージも込められているが、今のアメリカのダメさの元凶を既にこの時代に描いてしまう事にシドニー・ルメット監督の偉大がよくわかる映画です。
ちなみに、この年のアカデミー賞・作品賞は、ジョン・G・アビルドセンが監督し、シルベスター・スタローン、タリア・シャイアなどが出演した『ロッキー』だった。

UFOや宇宙人といった「未知」と人類のコンタクトを描いた『未知との遭遇』

『未知との遭遇』の一場面

『未知との遭遇』の一場面

『未知との遭遇』(みちとのそうぐう、Close Encounters of the Third Kind)は、1977年に公開されたアメリカ映画である。世界各地で発生するUFO遭遇事件と、最後に果たされる人類と宇宙人のコンタクトを描いた。製作はジュリア・フィリップスとマイケル・フィリップス、監督・脚本は「JAWS・ジョーズ」のスティーブン・スピルバーグ、音楽はジョン・ウィリアムス、出演はリチャード・ドレイファス、フランソワ・トリュフォ、テリー・ガー、メリンダ・ディロンなど。

異星人とのコンタクトを真正面から捉えた『未知との遭遇』

バミューダトライアングルで行方不明になった戦闘機群や巨大な貨物船が、砂漠に失踪当時の姿のまま忽然と姿を現した。謎の発光体が米国内外で目撃され、原因不明の大規模停電が発生。発電所に勤めるロイ・ニアリーも停電の復旧作業に向かう途中、不可思議な機械の誤作動を起こす飛行物体と遭遇。それが放つ閃光を浴びて以後理由も判らないまま、憑かれたようにUFOの目撃情報を集め出し、枕やシェービング・クリームに漠然と山のような形を見出すようになる。インディアナ州に住む少年バリー・ガイラーは家の台所に入り込み冷蔵庫を漁っていた「何者か」と鉢合わせするが、恐れる様子も無く後を追い掛け、その母のジリアンも深夜外に出て行った息子を連れ帰ろうとする途中で飛行物体の編隊と遭遇し閃光を浴び、ロイ同様に山の姿を描くようになる。
飛行物体の群れにバリー少年が連れ去られる(アブダクション)など謎の現象が続く中、フランス人UFO学者のクロード・ラコームは異星人からの接触を確信し、「彼ら」と直接面会する地球側の「第三種接近遭遇」プロジェクトをスタートさせる。「彼ら」からのデータ送信をキャッチしそれが地上の座標を示す信号で、ワイオミング州にあるデビルスタワー(悪魔の塔)という山を指し示していた。軍も出動し有毒ガス漏洩を偽装して住民が退避させられるがニュースで報じられた事によってロイとジリアンは探し求めていた奇妙な形の山がデビルスタワーである事を確信。州境を越えデビルスタワーを目指す。
デビルスタワーに陣取ったラコームらプロジェクトチームの目前に飛行物体の編隊が現れ、チームが送った信号に反応を示して飛び去った。関係者達は歓声を上げるが、直後山の背後から「彼ら」の母船とみられる巨大な円盤が重低音を響かせながら出現する。

スティーヴン・スピルバーグ流SFの原点!!

もはや世界的巨匠となったスティーヴン・スピルバーグ監督。今でこそ大衆向けのSFファンタジーを得意としているイメージがあるが、実は「未知との遭遇」はあの「ジョーズ」の直後の作品。その前の作品は「激突!」くらいしかないので、どちらかといえば恐怖映画監督というポジションの頃の作品なのです。そんな彼のヒューマニチック、およびロマンチックな性格を存分に発揮したのがこの作品と言えるだろう。人類にとって最もロマンチックな夢である「異星人との遭遇」を描いている今作の成功がなければ、後の「E.T.」は生まれなかった事でしょう。
アカデミー賞・撮影賞、特別業績賞(音響効果編集)の2部門で受賞したほか、英国アカデミー賞のプロダクションデザイン賞も受賞したが、作品賞にはノミネートすらされてない。
ちなみに、この年のアカデミー賞・作品賞には、ウディ・アレンが監督・出演した『アニー・ホール』が受賞した。

奇しくも『スター・ウォーズ』は『未知との遭遇』と同年に公開された。

『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』の一場面

『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』の一場面

『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』(スター・ウォーズ エピソードフォー/あたらなるきぼう、原題:Star Wars: Episode IV A New Hope)は、1977年に公開されたアメリカ映画。
アメリカでは、『スター・ウォーズ』が1977年5月25日に、『未知との遭遇』1977年11月16日と半年ほど遅くに公開されたが、日本では、『未知との遭遇』が1978年2月25日、『スター・ウォーズ』が1978年7月1日と逆になって、公開された。
製作はゲイリー・カーツ、監督・脚本は「アメリカン・グラフィティ」のジョージ・ルーカス、音楽はジョン・ウィリアムス、出演はマーク・ハミル、ハリソン・フォード、キャリー・フィッシャー、ピーター・カッシング、アレック・ギネス、アンソニー・ダニエルス、ケニー・ベイカー、ピーター・メイヒュー、デイヴィッド・プラウズなど。シリーズ化に伴い、後に『エピソード4/新たなる希望』と副題が追加された。
原作者でもあるジョージルーカスは当初から9部作でスターウォーズの構想を練っていたが、エピソード1〜3は当時の技術では制作することは難しいということからエピソード4から制作され、まずはヒットさせることを念頭に撮影が進められたそうだ。

舞台は宇宙全体に及ぶ壮大な物語が始まる!!

かつては平和が保たれていた銀河系も、今では共和国が崩壊し、それにかわって出現した銀河帝国が独裁体制をしき圧政によって銀河系全宇宙を制圧しようとしていた。この帝国独裁に抵抗する少数の人々はアルデラーン惑星のレーア・オーガナ姫(キャリー・フィッシャー)を中心に惑星ヤービンに秘密基地を築いて、帝国打倒を秘かに計画していた。一方、帝国側も最新兵器『死の星(デス・スター)』を建造して反逆者たちの抹殺を計っていた。レーア姫が帝国の親衛隊長ダース・ベイダー(デイヴィッド・プラウズ)率いる宇宙巡航艦にとらえられたのは、『死の星(デス・スター)』の構造機密を盗んで逃げる途中のことだった。抵抗する反乱軍が鎮圧されたとき、1組のロボットCー3PO(アンソニー・ダニエルス)とR2ーD2(ケニー・ベイカー)の乗った球型脱出機が巡航艦から飛び出し、砂漠の小惑星タトゥーインに着陸する。しかし、さまよっているところをジャワ族につかまり、セリ市に出されてしまう。このセリ市でロボットたちを買った若い農夫ルーク(マーク・ハミル)は偶然R2ーD2の映像伝達回路に収められたレーア姫の救いを求めるメッセージを発見し、心を動かされる。他に救助の手を求めるべくルークの許を去ったR2ーD2を追ったCー3POとルークは、砂漠の蛮族タスケン・レーダーズに襲われたところをベン・ケノービ(アレックス・ギネス)と名のる老人に助けられる。彼こそ、共和国のジェダィ騎士団の生き残りで、レーア姫がメッセージの中で助けを求めた勇士オビ・ワンだった。彼はルークが騎士団の仲間の1人の忘れ形見であることを知り、レーア姫救出に協力する。彼らは宇宙船調達のため、タトゥーイン惑星の宇宙空港のある街モス・イーズリーで密輸船長ハン・ソロ(ハリソン・フォード)とその右腕チューバッカ(ピーター・メイヒュー)に会い、彼らの乗る宇宙船ミレニアム・ファルコン号を買い取るが、その時ロボットたちを追跡してきた帝国側の襲撃にあう。ファルコン号に乗りこみ、タトゥーインを緊急脱出するが、追手からのがれるために別の空間にジャンプした時に、帝国の属領総督グランド・モフ・ターキン(ピーター・カッシング)が『死の星(デス・スター)』の偉大さを示すために破壊した惑星の残骸のただ中へと飛び込む。ミレニアム・ファルコン号は『死の星(デス・スター)』の磁力ビームによって捕えられるが、激しい戦斗の末、レーア姫を救出して脱出に成功する。しかしこの戦いで、ベン・ケノービはダース・ベイダーの光線剣(ライト・サーベル)での一騎打ちに敗れ、命を絶ってしまう。反乱軍の基地にレーア姫を連れ帰ったルークたちは、決死隊を組織して『死の星(デス・スター)』を迎え撃つべく飛び立つ。死斗の中、ルークが危機に陥ると、今まで魂だけの存在となったベン・ケノービの声が聞こえ、窮地を救う。ハン・ソロの協力を得、斗いは反乱軍の勝利に終り、大爆発を起こした『死の星(デス・スター)』は消滅するのだった。

SF映画にとって、アカデミー賞は所詮”高値の花”!!

1976年の『タクシードライバー』あたりまでは、アメリカでは「アメリカン・ニューシネマ」と言われるベトナム戦争の影響下にある反体制的で暗い内容の映画が主流だったのが、ベトナム戦争の終焉にともなってアメリカン・ニューシネマも作られくなっていき、逆にアメリカン・ドリームを描く映画が主流となっていく。
このきっかけを生んだのが、『ロッキー』であり『スター・ウォーズ』だった。
よく、映画評論家などは、『スター・ウォーズ』がお子様ランチ的な映画だと小ばかにしてるようだが、私にとっては、この映画は第二のバイブルとなった。映画館で初めて見た時のあの興奮は今でも忘れることができない。
しかし、SF映画にとっては、アカデミー賞は所詮”高値の花”という傾向ががある。
そもそもアカデミー賞の各賞を選出するのは、映画芸術科学アカデミーの会員で、その会員の内訳はハリウッドの映画関連の業界人が殆どで、第三者的な会員は多勢に影響を与える程の人数はいません。そうなるとMPAA(日本で言う映倫のようなもの)との関係は無視出来ず、必然として社会派、文芸的な作品選出され易くなる。SFに限らず、ホラー映画もほぼ選出されないのはその為であろう。
ご他聞にもれず、『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』も1978年の第50回アカデミー賞で美術賞・衣装デザイン賞・編集賞・作曲賞・音響賞・視覚効果賞・特別業績賞の7部門を受賞したが、主要五部門には作品賞などにノミネートされただけであった。
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