三次元のグラフィックと三機のR。新たな一歩を刻んだ『R-TYPE Δ』のシューティングとしての完成度の高さ。
2018年3月5日 更新

三次元のグラフィックと三機のR。新たな一歩を刻んだ『R-TYPE Δ』のシューティングとしての完成度の高さ。

『R-TYPE Δ』は、1998年にアイレムソフトウェアエンジニアリングから発売された、プレイステーション用シューティングゲームです。完全家庭用オリジナル作品ですがシューティングとしての質は非常に高く、音や絵による演習面も含めての全体的なゲームとしての完成度の高さから、アーケード派のシリーズファンも唸らせた名作です。

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―ヲカエリ、ケダモノ―

『R-TYPE Δ』パッケージ

『R-TYPE Δ』パッケージ

※本来のタイトル表記は『R-TYPE⊿』ですが、環境依存文字を含む為、以下は『R-TYPE Δ』と表記します。
『グラディウス』『ダライアス』と並ぶ横シューティング御三家の一つである、高難易度横スクロールシューティング『R-TYPE』シリーズ。その開発元、「アイレム」は1994年にゲーム業界から事業撤退します。『R-TYPE III』が完結編と銘打たれていた事もあり、誰もが『R』の続編を絶望視していました。 しかし1997年、アイレムソフトウェアエンジニアリングが設立され、過去作の移植『R-TYPES』に続いて完全新作『DELTA』の制作が発表されました。

『R-TYPE III THE THIRD LIGHTNING』に引き続き、『R』は再び完全家庭用オリジナルとして再臨を果たしたのです。

メインシリーズの4作目にあたりますが、ストーリーは『I』と『II』の間に起きた事件という設定です。

概要

概要
舞台設定は、第一次バイドミッション(『R-TYPE』時点での作戦)終結から約1年後、2164年の地球圏・及び太陽系周辺。

今作から自機や敵、背景などをすべて3Dポリゴン表現で制作している。ただし自機の移動および当り判定処理はすべて画面でのXY平面上で行われており、今までのシリーズとほぼ変わりないゲーム性、操作感を実現している。ゆえに、サイドビューシューティングのジャンルに当たる。

前作『R-TYPE III』のフォース選択システムから昇華された「出撃機体の選択」が行えるようになっている。機体ごとに、波動砲・フォース・ミサイル全ての性能が異なっており、プレイスタイルの幅が広がっている。機体の派生(『R-TYPE III』では、R-9の直系ではあったものの、後続機の図解がある)というこの設定は、「Rの系譜」と呼ばれており、後の『R-TYPE FINAL』では大幅に設定が追加されることになる。

また、本作よりフォースの添加兵装として「Δウェポンシステム」(後述)が追加され、任意での機体スピード調整が可能となった他(前作まで存在したスピードアップアイテムの廃止)、ビットの振り回しが不可能になる、地形接触によるミスが廃止されるなど、前作からの変更点は意外に多い。なお地形接触によるミスが廃止された経緯は、開発段階で実際にどちらが良いか実験した結果、地形アウトは単純かつ簡単に難易度をあげる材料となるが、地形アウトにならない場合は、特に難易度が下がる訳でもなく、むしろ新しい方向性の戦略が必要となるとの観点からであった。難易度選択やハイスコア記録、GALLERYなどのオプション機能も本作以降、採用されたファクターである。

ゲームミュージックはUSPが担当しており、その評価も高く、途中でミスを犯して途中地点から再スタートしたときに、その時点からのBGMが流れるようになっている点も、ステージの統一感に一役買っている。さらに、機械系ボスか生体系ボスかによって2種類あるボスBGMが選択される。

なお、『R-TYPES』で公開されたプロモーション映像と比べると、ステージの大幅な変更があったことがわかる。

新たなる系譜。第4の『R』

本作『R-TYPE Δ』は1998年11月19日にアイレムソフトウェアエンジニアリングから発売された『R-TYPE』シリーズ第4作目です。

『R-TYPES』に於いて書き直された設定に基づいており、『III』までとの違いを明確化させているのが特徴の一つです。また、従来のシリーズには無かった試みがいくつも為されており、旧作のファンでなくても楽しめる作品となっております。

ストーリー

第一次バイドミッションを成功に導いたR戦闘機「R-9・アローヘッド」は、任務遂行後、無事に宇宙要塞「アイギス」に帰還する。
その後、対バイド兵器の凍結作業が進む中でも、同機は特に改修もされず放置されていた。
年が明けた3月、アイギスは少数の管理部隊を残して閉鎖される。それが新たな惨劇の原因となるとは誰も予想できなかった。

暫く後、大気圏に突入する隕石群の中に形を変えることなく落下する物体が観測された後、いくつかの都市で電子制御兵器が暴走を始める。
そして、アイギス内に搭載されていた投下型局地殲滅ユニット・モリッツGが突如として発進する事態が発生。
旧東京に降下し、破壊の限りを尽くすモリッツGの前に現地の軍・民間武装警察は壊滅。地球全土に第一級非常事態が発令され、遂にはテスト段階の新型R戦闘機までもが事態鎮圧のために駆り出されていく。
            バイド
遂に、人造の生ける悪魔<BYDO>が大気圏に侵入したのだ……。

ゲームシステム

基本システム

一撃死・残機制、全7面構成の2D横スクロールシューティングです。ミス時は特定の復活ポイントから再開します。
今回は一周でエンディングへ。難易度は3段階から選択可能です。
また本作から地形に接触してもミスになりません。これは開発段階で「地形ミスは単純に難易度を上げるだけだが、セーフにしてもそこまで難易度は下がらず、むしろゲームに幅が出る」ことが結論付けられたためらしいです。

シリーズ特有のゲームシステム「フォース」「波動砲」「補助装備のビットとミサイル」の3つの要素はそのまま継承。
今回は自機の選択が可能となり、機体ごとに3つの要素に性能差が設けられています(後述)。

メインショットボタン長押しでチャージできる「波動砲」は、全機が2ループチャージ射撃可能です。(チャージするほど威力、範囲などの性能が向上します。)ビットは全機共通です。
スピードアップアイテムが廃止され、任意に自機のスピードを4段階に切り替えられるようになりました。
操作形態は「8方向レバー」と「ショット」「ショット連射」「フォースシュート」「Δウェポン」「加速」「減速」の6ボタン式です(キー配置はオプションで選択可)。

DOSEシステム

本作から、新要素として「DOSEシステム」が登場しました。フォースの接触で敵を倒したり、敵弾を吸収することでDOSEゲージがたまり、MAX状態「ドースブレイク」ではフォースの当たり判定と攻撃力が上昇します。この状態でDOSEボタンを押すとゲージを全て消費して、シリーズ初の所謂ボム『Δウェポン』を発動できます。
ドースブレイク中はフォースで敵を倒したり、敵弾を吸収すると追加点が入るのも特徴です。
ハイスコア狙いでは必然的にこの「DOSE」を意識したプレイが求められます。

貪欲なる力「Rの系譜」

バイド、地球へ…"サタニック・ラプソディ"

バイド、地球へ…"サタニック・ラプソディ"

後に「サタニック・ラプソディ」と呼ばれる事となるこの事件は、地球に於ける初のバイド襲来ともなりました。

R-9aII 「デルタ」

初代『R-TYPE』の自機「R-9・アローヘッド」を模した外見と性能を持つ試作機です。
対空、反射、対地の三色レーザーを発射、分離時は最大4way弾を放つ「スタンダード・フォース」と低威力ながら追尾性に優れる2連式の「追尾ミサイル」を搭載しています。
「波動砲」は貫通力に優れるものの、他機と比べるとやや劣る点が多くみられます。弾速が遅い上に攻撃範囲が狭く、チャージで放てる「拡散波動砲」も攻撃範囲こそ広いですが、他機体に威力で引けを取ります。

決め手に欠け他機体への応用が利きにくいため、残念ながら入門向けとは言えません。どちらかというと過去作品に思い入れがあるプレイヤー向けの機体です。

R-X「アルバトロス」

航空機メーカーと軍が共同開発したという設定故か、R戦闘機には珍しい大型の水平主翼が特徴的な機体です。
高い攻撃力と広い攻防範囲を兼ね備える「テンタクル・フォース」は機体の前進・後退に応じて触手状コントロールロッドが開閉するという特殊な装備です。分離時には敵機を追尾して一方向に収束弾を発射します。
レーザーはどれも癖がありますが攻撃力が高く、ロッドの開閉により広い攻撃範囲もキープできます。
「誘爆ミサイル」は『R-TYPEII』の対地ミサイルに近い性質を持っています。
「炸裂波動砲」「高圧縮波動砲」は発射した瞬間に直線上の敵に着弾、敵の内部で炸裂します。さらに当たった場所から衝撃波が発生し、周囲の敵もを巻き込むことが出来ます。直撃時の威力は全機中最強ですが、大ダメージを与えられるのは直撃した一体だけで、衝撃波は低威力です。

総合的には抜群の安定力を誇るものの、フォースは最高段階まで成長するまで性能が極端に低く、高威力のミサイルや波動砲もそれを補ってはくれないため、ミスからの復活は困難を極めます。
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