弘済出版社発行 時刻表 1980年9月号。
1980年の東海道線東京口は、新幹線が開通していたとはいえ、まだまだ近・中距離移動に便利なように、「急行」電車がいくつか走っていました。
新幹線ではものすごい速さで到着してしまう便利さもありますが、在来線を、各駅停車より若干速く、手頃な料金で乗車できた急行。
そのような中で「急行東海」「急行ごてんば」は、どのような意味を持っていたのでしょうか。
新幹線ではものすごい速さで到着してしまう便利さもありますが、在来線を、各駅停車より若干速く、手頃な料金で乗車できた急行。
そのような中で「急行東海」「急行ごてんば」は、どのような意味を持っていたのでしょうか。
165系急行車両。
via ja.wikipedia.org
それでは、急行の時刻表を見てみましょう。
編集の都合で、見にくい点はご容赦ください。(画像をクリック・タップしていただけると多少拡大されるようです。)
当時は急行「東海」号が東京ー静岡を結び、それに併結して、急行「ごてんば」号という電車が走っていました。
国府津で切り離して、御殿場線経由で御殿場まで行く電車です。
当時は急行「東海」号が東京ー静岡を結び、それに併結して、急行「ごてんば」号という電車が走っていました。
国府津で切り離して、御殿場線経由で御殿場まで行く電車です。
ライバル・小田急ロマンスカー「あさぎり」。
via ja.wikipedia.org
時刻表を見ると、急行「ごてんば」号は東京駅を7:15に発車していますが、同じく都心から御殿場に向かう電車に、「急行あさぎり」という電車がありました。
こちらは、私鉄の小田急新宿駅を7:45に発車しています。
松田(小田急線は新松田)から国鉄御殿場線に乗り入れしていますが、御殿場到着はほぼ雁行しており、急行ごてんばの12分後に急行あさぎりは御殿場に到着しています。
東京駅から御殿場に用がある人は、急行「ごてんば」を使い、新宿駅から御殿場に行く人は、「あさぎり」を使うというように、うまくこの時代は住み分けが出来ていたのではないかと思います。
こちらは、私鉄の小田急新宿駅を7:45に発車しています。
松田(小田急線は新松田)から国鉄御殿場線に乗り入れしていますが、御殿場到着はほぼ雁行しており、急行ごてんばの12分後に急行あさぎりは御殿場に到着しています。
東京駅から御殿場に用がある人は、急行「ごてんば」を使い、新宿駅から御殿場に行く人は、「あさぎり」を使うというように、うまくこの時代は住み分けが出来ていたのではないかと思います。
静岡までなら新幹線でいいんじゃね?という皆さまへ。
比較のため、東京駅を発車して静岡駅に停まる2本の新幹線の時刻も調べてみました。
さすがに新幹線は速い。
急行東海1号の23分後に東京駅を発車して、途中新横浜のみに停車するひかり191号に乗車すると、静岡には8:48に到着。
対する急行東海1号は、静岡には10:03着です。
1時間以上速く到着。
こだま号だと、7:43に発車して、静岡には9:16着。
いずれも圧倒的な速さです。
さすがに新幹線は速い。
急行東海1号の23分後に東京駅を発車して、途中新横浜のみに停車するひかり191号に乗車すると、静岡には8:48に到着。
対する急行東海1号は、静岡には10:03着です。
1時間以上速く到着。
こだま号だと、7:43に発車して、静岡には9:16着。
いずれも圧倒的な速さです。
「急行東海」の意義 その1。
急行東海号の存在意義は2つあります。
1つは、東京から一直線に静岡だけを目指すのであれば、新幹線が圧倒的優位です。
しかし、当時は東海道新幹線の品川駅はまだ形もない時代。
例えば、品川から静岡に行く場合は、一旦東京駅までさかのぼって新幹線に乗る必要があります。
その場合、乗車券はいったん品川ー東京間を購入し、さらに東京ー静岡間の乗車券を二重に購入しなければなりません。
品川でさえそうなので、川崎や横浜、大船などから、例えば清水に用がある場合は、東京駅から静岡駅までの新幹線乗車券を購入して、さらに静岡から清水までの乗車券が別途必要になります。
これはどう考えても不経済。無駄があり過ぎます。
新幹線駅からの乗り換えの手間もあります。
しかし、そこで急行東海を使えば、乗り換えなしで目的地へ一直線です。
1つは、東京から一直線に静岡だけを目指すのであれば、新幹線が圧倒的優位です。
しかし、当時は東海道新幹線の品川駅はまだ形もない時代。
例えば、品川から静岡に行く場合は、一旦東京駅までさかのぼって新幹線に乗る必要があります。
その場合、乗車券はいったん品川ー東京間を購入し、さらに東京ー静岡間の乗車券を二重に購入しなければなりません。
品川でさえそうなので、川崎や横浜、大船などから、例えば清水に用がある場合は、東京駅から静岡駅までの新幹線乗車券を購入して、さらに静岡から清水までの乗車券が別途必要になります。
これはどう考えても不経済。無駄があり過ぎます。
新幹線駅からの乗り換えの手間もあります。
しかし、そこで急行東海を使えば、乗り換えなしで目的地へ一直線です。
急行東海の意義 その2。
急行東海の意義は、もう1つあります。
新幹線は確かに速いですが、誰もが速さだけを望んでいるわけではありません。
少し冷静になってみると、ひかり号と急行東海の静岡到着の時間差は1時間15分。
ひかり号はより遠くまで行く乗客も多数乗っていますので、自由席で座れる可能性はあまりありません。
座ろうと思えば、東京駅の入線前から並ばなくてはならないでしょう。
新幹線は確かに速いですが、誰もが速さだけを望んでいるわけではありません。
少し冷静になってみると、ひかり号と急行東海の静岡到着の時間差は1時間15分。
ひかり号はより遠くまで行く乗客も多数乗っていますので、自由席で座れる可能性はあまりありません。
座ろうと思えば、東京駅の入線前から並ばなくてはならないでしょう。
700円 VS 1700円。
東京ー静岡までの急行料金は700円。
それに対し、新幹線自由席の特急料金は1700円。
その差は1000円。
1980年という時代を鑑みると、今の1000円より多少なりとも1000円の差は大きかったのではと想像できます。
先ほど書いたように、ひかり号でさえ静岡駅到着の時間差は1時間15分。
1時間15分の差で1000円浮くんだったら、のんびり在来線の急行で、浮いた1000円で東京駅で駅弁を買って、旅気分を満喫するのもいいんじゃない?と思う人も、いるはずです。
それに対し、新幹線自由席の特急料金は1700円。
その差は1000円。
1980年という時代を鑑みると、今の1000円より多少なりとも1000円の差は大きかったのではと想像できます。
先ほど書いたように、ひかり号でさえ静岡駅到着の時間差は1時間15分。
1時間15分の差で1000円浮くんだったら、のんびり在来線の急行で、浮いた1000円で東京駅で駅弁を買って、旅気分を満喫するのもいいんじゃない?と思う人も、いるはずです。