「おしりだって洗ってほしい」TOTOウォシュレットを爆発的なヒットに導いた戸川純のCM
2017年1月17日 更新

「おしりだって洗ってほしい」TOTOウォシュレットを爆発的なヒットに導いた戸川純のCM

1982年、不思議系キャラクターの戸川純が「おしりだって、洗ってほしい。」と語るTOTOのCMは大きな衝撃を視聴者に与えた。 温水洗浄便座の普及に絶大な貢献をもたらした歴史的CMについて当時の動画や誕生秘話を紹介。

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TOTOウォシュレットの新聞・雑誌広告

おしりだって、洗ってほしい。

おしりだって、洗ってほしい。

紙じゃ、きれににならないものね。

紙じゃ、きれににならないものね。

実はINAX(現LIXIL)が先行していた温水洗浄便座

「ウォシュレット」は温水洗浄便座の代名詞のように使われることが多いが、ソニーのウォークマン同様にウォシュレットはTOTOの登録商標である。

この秀逸な「ウォシュレット」のネーミングは、当時TOTO宣伝課長だった重岡洋昭によるもの。
「これからはお尻を洗う時代です。さあ洗いましょう」と呼びかける「レッツ・ウォッシュ」を逆さにしたものであったという。

「ウォシュレット」というネーミングの浸透によって温水洗浄便座の元祖はTOTOであると認識している人も多い。
しかし、実は国内で温水洗浄便座を初めて開発・販売したのはTOTOではなくINAX。
INAXは1967年に温水洗浄便座一体型便器の「サニタリーナ61」を発売、1976年にはシートタイプの「サニタリーナF1」を発売していた。
しかし、「お尻は拭くもの」という概念を覆すことができずに苦戦していた。

そこに参入したTOTOは、『コピーライターの神様』仲畑貴志と、『元祖・不思議ちゃん』戸川純によるTOTOのテレビCMによって、『温水洗浄便座=ウォシュレット』というイメージを瞬く間に構築した。

INAXは10年以上のアドバンテージがありながら、TOTO「ウォシュレット」に抜き去られ、「シャワートイレ」の名称で挽回を図ったが今日までその高き牙城を崩せていない。

【CM動画】INAX シャワートイレ(1980年代)

TOTOウォシュレットと同時期に放送されていたINAXシャワートイレのテレビCM。
こちらのテレビCMを覚えている人は少なく、両社の宣伝力の差が強く現れている。

最高のトイレ品質と、最高のトイレ宣伝で世界を獲れ!

ウォシュレットの果敢な宣伝によって、広がった温水洗浄便座。
なんと一般世帯での普及率は81.2%である。
(2014年 出典:内閣府 消費動向調査)

日本のトイレはこうして、その機能性や品質から世界一と言われるようになった。
温水洗浄便座を日本で経験し、病みつきになってしまった訪日外国人も多い。

世界中では水洗式のトイレ自体も先進国のわずかな国しか普及していなく、温水洗浄便座の認知度はかなり低いという。

日本の温水洗浄便座が世界を席巻するためには、機能や品質だけでは難しい。
やはり、効果的な宣伝によって「お尻は洗うもの」という概念を刷り込んでいく必要がある。
そして、TOTOが日本市場の開拓に成功したこの「おしりだって、洗ってほしい。」のCMに大きなヒントが隠されているのではないか。

いつか世界中で日本の温水洗浄便座が使われるようになったとき、その要因の一つとして改めてこのテレビCMが見直される日が来るのかもしれない。

世界一のトイレ ウォシュレット開発物語 (朝日新書) : 林 良祐

778
ウォシュレット、暖房便座、排泄の音を消す「音姫」、脱臭装置に自動開閉のふた、節水機能。
携帯電話と同じように日本独自にガラパゴス的に開発しながら、なぜ日本のトイレは世界で受け入れられるようになったのか。
知られざる開発秘話と世界戦略成功の秘訣をTOTOウォシュレットテクノ社長が語る。

プロジェクトX 挑戦者たち 第VI期 革命トイレ 市場を制す[Kindle版]

108
NHK『プロジェクトX〜挑戦者たち』
古来「ご不浄」と呼ばれ、不潔の代名詞だったトイレのイメージを、「快適」で「清潔」な空間へと変えた革命的な製品「温水洗浄便座」。
その開発の影には、ひたむきにトイレと向き合い続けた技術者たちの姿があった。
数々の困難を克服し、「不潔なトイレ」のイメージを覆した「トイレ革命」を成し遂げた男たちの逆転のドラマを描く。

トイレの歴史に興味を持った方は「TOTOミュージアム」へ

TOTOミュージアム

TOTOミュージアム

日本が世界に誇るトイレ等の衛生器具メーカー「TOTO」の軌跡を学べる施設。
創立100周年記念事業の一環として開設された”水まわりの文化や歴史とともに、TOTOのものづくりへの想い、製品の進化を学べる。

福岡県北九州市小倉北区中島2-1-1
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