ソルトシェイカー『水戸泉』強力な右上手投げを武器に平幕優勝を成し遂げた人格者
2016年12月17日 更新

ソルトシェイカー『水戸泉』強力な右上手投げを武器に平幕優勝を成し遂げた人格者

豪快な塩まきで人気を博し、ソルトシェイカーと呼ばれた大相撲の元関脇『水戸泉』。怪我に悩まされながらも平幕優勝を成し遂げた実績と人柄、現在の活動について紹介。

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豪快な塩まきで人気を博した『元関脇 水戸泉』現・錦戸親方

水戸泉 政人(みといずみ まさと)

水戸泉 政人(みといずみ まさと)

生年月日:1962年9月2日
出身地:茨城県水戸市
生涯戦歴 :807勝766敗162休(136場所)
最高位:東関脇
三賞:7回、幕内優勝:1回
身長194cm、体重192kg(最高200kg)
愛称は「水戸ちゃん」、「イズミちゃん」など
幼少の頃に父を亡くし弟の昭二(元十両の梅の里)とともに母1人の手で育てられた。
茨城県水戸市立飯富中学時代には母の勧めで柔道に打ち込み初段になる腕前の持ち主だった。

1977年、貴ノ花のサイン会だと思って力士のサイン会に行ったが実は高見山と富士櫻のサイン会だった。
この時髙見山に「大きね~!お相撲さんにならないかい。」と勧誘される。
数日後には高砂親方からも勧誘され、入手困難だった29cmの靴をもらって高砂部屋への入門を決めたという。
また、「幼い頃から苦労をかけた母に少しでも親孝行がしたいと思い力士になった」と常々語っていた。

水戸泉の四股名は出身地の水戸、本名の小泉、そして「枯れることなき泉のごとく出世を」という願いを込めて髙砂が命名した。
1978年3月場所に初土俵

1978年3月場所に初土俵

初土俵時の水戸泉

豪快な塩まきが生まれた理由と、愛称「ソルトシェイカー」の由来

新十両の場所の8日目から付人をつとめていた奄美富士に「勝ち星に恵まれないときはせめて塩だけでも景気よくまいたらどうですか」と進言され、大量の塩を撒くようになった。

初めの頃は1回目から大きく撒いていたが、後に制限時間いっぱいの時にのみ大きく撒くようになった。
1回にとる塩の量は何と600gにもなったという。

イギリス巡業で「ソルトシェイカー」と紹介され、日本でも「水戸泉といえば豪快な塩まき」として定着した。
同時代で同様に大量の塩を撒く力士には朝乃若がおり、対戦した際には豪快に撒き上げる水戸泉と叩きつける朝乃若の両者の塩撒きに観客が沸いた。

高砂部屋で、朝潮や小錦とともに巨漢トリオを形成した水戸泉。

水戸泉は194cm、体重192kg(最高200kg)という日本人離れした体格を持ち、早くから将来を期待されていた。
また、同門には朝潮・小錦という巨漢もおり、巨漢トリオとも呼ばれた。
朝潮太郎 (4代目)

朝潮太郎 (4代目)

身長183cm、体重183kg
近畿大学で2年連続してアマチュア横綱のタイトルを獲得し、高砂部屋に入門。
「大ちゃん」の愛称で人気を博す。
最高位:大関
朝潮とは部屋の同期であり、水戸泉は手ごろな稽古相手と目をつけられていた。
二度の学生横綱を獲得した朝潮との稽古は、中学卒業間もない少年にはつらいものだったが、これが後々の財産にもなったという。
朝潮とのエピソードは数多く残り、洗濯して干していた朝潮のパンツを神社に置き忘れて叱られた逸話などが伝わっている。
1979年9月ごろに大相撲での挫折に耐えかね相撲に見切りをつけようとした朝潮に対し、「今日稽古はどうしたんですか?」とさりげなく声を掛けて立ち直らせたとも伝わっている。
小錦 八十吉

小錦 八十吉

身長187cm、体重275kg(最重量時は285kg)
外国人力士として初の大関として活躍した。
幕内での優勝回数は3回。
最高位:大関
外国人力士である小錦は入門当初に兄弟子からいじめを受けたこともあったという。
しかし、「入門当時、水戸関だけは差別なく優しく僕に接してくれた」と水戸泉に対する感謝を述べている。

吊り気味の寄りと、右上手投げを武器に活躍

得意の左四つ右上手の体勢になった際の強さは圧倒的なもので、パワフルな吊り気味の寄りから「走る起重機」の異名をとった。
「走る起重機」と呼ばれた寄り

「走る起重機」と呼ばれた寄り

右上手投げの威力も絶大であり、横綱貴乃花を投げ飛ばしたこともある。
このため水戸泉と対戦する力士らは総じて右上手を警戒しており、その攻防が取り口の中で最大の見せ場といえる。
ただし水戸泉も右四つが不得手というわけではなく、懐の深さを活かした引き、相手の差手を極めるなどの対抗策をしばしば見せている。
豪快な右上手投げ

豪快な右上手投げ



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