昭和の子供たちにとって、昆虫の標本は夏休みの自由研究の定番だった。そこで役にたったのが『昆虫採集キット』で、12色の絵の具セットぐらいのケースに注射器や虫眼鏡、ピンセット、虫ピン、そして緑か青に着色された防腐剤とと赤い殺虫剤が入っていた。
なつかし駄玩具 1970年代 昆虫採取セット ① - YouTube
この防腐剤と殺虫剤の正体はメタノールが3パーセント程度入ったただの水だった(笑)。
発売中止になってしまいましたが、80年代前半まで駄菓子屋なんかで見かけたそうだ。
昭和42年(1967)に昆虫採集セットの注射針が飛んで少女が失明するという事故が発生し、かねてから注射という行為自体を危険視していたPTAの抗議や学校での購入禁止の指導が相次いだ結果、徐々に製造業者が減っていったということだ。
日本薬局方で定められた局方ホルマリンとして市販されているのは、35~38%ホルムアルデヒド水溶液で、安定化剤(にごり防止)として10%以下程度のメタノールが加えられている。一般にはこれを5~10倍程度に希釈して用いる。例えば、これを10倍希釈したものを、10%ホルマリンと呼ぶが、この溶液中のホルムアルデヒドの含有量は3.5~3.8%に相当する。
完全に消えてしまったのには、現代ならではの理由があるのだ。何だろうか? 察しのいい人や身に覚えのある人なら直ぐに分かることだけど、覚せい剤の使用防止のためだ。昆虫採集のためだったものが40年で覚せい剤を打つ道具に変わっちゃったわけで、イヤハヤ、恐ろしい時代になっちゃったもんだよね
虫眼鏡
ピンセット
虫ピン
防腐剤
殺虫剤