剣道人口の増加にも貢献したマンガ「六三四の剣」は、正統派の剣道マンガ。まっすぐな剣道少年の成長が描かれています。
2021年5月27日 更新

剣道人口の増加にも貢献したマンガ「六三四の剣」は、正統派の剣道マンガ。まっすぐな剣道少年の成長が描かれています。

1981年から「少年サンデー」で連載された「六三四の剣」は、剣道シーンの描写も高く評価された、正統派の剣道マンガです。岩手に生まれた少年が、剣道を通して、ライバルや仲間たちと成長していく姿が描かれ、剣道を始める子供たちも増えたと言われています。マンガ「六三四の剣」をもう一度振り返ります。

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多くの子供たちに影響を与えた剣道マンガの名作

1981年には、『週刊少年サンデー』に連載を開始した『六三四の剣』が大ヒットを記録した。テレビアニメ(テレビ東京系)、ゲーム化に加えて、読者層である小学生の間で、剣道が部活動の人気になるほどの剣道ブームが起きたほか、迫力のある試合シーンや個性豊かな登場人物とその成長の過程を丹念に描き出したドラマ性は、子供ならず大人層からも注目を浴びた。
子供たちは純粋に強くなっていく六三四や修羅や嵐子にあこがれ、大人たちは六三四を取り巻く大人たちの生き方も含めて、惹かれるものがあったのだと思います。
剣道家にとってバイブルとも言える作品。
昨今のスポーツ物によく見られる『仲間と共に成長する』といった描写は余り見られません。
一応六三四には仲間と呼べる存在も作品に多く登場します。しかし彼らは同じ剣の道を歩みながらその先に目指す理想や思想はそれぞれ全く違う物を持っています。
それぞれが自分の信じる剣道を『ライバル』と文字通り命懸けでぶつけ合い成長していく。そんな印象です。
しかもただのスポ根で終わらず高校編では修羅や六三四達の見ていてむず痒いような青春も綺麗に描かれています。
自分自身この漫画でさらに剣道の世界にのめり込む事ができました。
実際に剣道をしている方までもが引き込まれてしまう、さらに剣道にのめりこむことができる、連載当時の子供たちのバイブルだったのだと感じます。

「六三四の剣」のあらすじ

岩手県警機動隊員で「岩手の虎」と言われた剣道の達人の夏木栄一郎と、小学校教諭で剣道の全日本女子選手権優勝を果たし「東北の鬼ユリ」と呼ばれた夏木佳代の間に、男の子が生まれました。
6月3日午後4時生まれ、現代の宮本武蔵となれという思いから、「六三四」と名付けられました。
六三四の幼少時代

六三四の幼少時代

3歳の頃から父に剣道の手ほどきを受けるようになる六三四ですが、やんちゃで暴れん坊ですが、弱いものいじめはしない、元気な子供に育っていきます。まだ精神的に未熟な、子供の頃の六三四は、町道場に通うようになっても、ただ強い相手と戦うことを望み、昇級審査に対する不満を口にして、母に厳しくたしなめられたりします。
六三四の幼少期

六三四の幼少期

六三四が小学校1年生の時、全日本選手権準決勝で父栄一郎と、栄一郎の先輩で「天才剣士」とも言われる東堂国彦が対決し、東堂の鋭い突きを受けた栄一郎は、場外に転落しても何とか勝利し、決勝でも勝ったことで二連覇を達成しますがその直後突然倒れ、そのまま亡くなってしまいます。
父が東堂から受けた突きが原因でなくなったことで、東堂に恨みを持つようになり、一時は剣道を忘れたようにスキーに熱中する六三四でした。

六三四の小学生時代

父の死後、六三四は剣道をしようとせず、スキーに転向したように見えましたが、ひそかに「突き」の練習をしていました。4年生になった六三四は、父のかたきうちとばかりに、一人で東堂国彦を訪ね、対戦を申し込み、東堂はあえて対戦を承諾します。3年間練習した「突き」で東堂を倒そうとする六三四ですが、対峙した東堂に対して、打ち込むことができません。
父のかたきと憎む東堂国彦との対決

父のかたきと憎む東堂国彦との対決

東堂国彦の言葉は、栄一郎と東堂の戦いは、ただの勝ち負けを決める勝負ではなく、剣士同士の戦いだったことを伝えています。さらに、修羅にも「突き」が通じなかったことで、つかみかかります。
その後、地元の剣道クラブに入会して、轟嵐子たちと共に全国大会に出場するまでになります。
小学生の六三四と修羅

小学生の六三四と修羅

全国大会の準決勝で対戦することになります。

そして高校生に成長した六三四たち

父が在籍した岩手県警の剣道場、父の大学の剣道部など、いろいろな場所でいろいろな人物に出会い、成長していきます。そうするうちに幼いころのやんちゃぶりも消え、礼儀も身につけます。
高校時代の六三四と修羅

高校時代の六三四と修羅

小学校、中学校、高校と、六三四と修羅はライバルとしてともに成長していきます。

父栄一郎の教え

そもそも六三四の父、栄一郎は六三四に「強くなれ」とは言いませんでした。「大きくなれ、岩手山のような大きな人間になれ」と伝えています。
自分の好きな岩手山のように、どっしりと大きな人間になってほしいという父の願い、信じて見守る母の思いを受け、剣友たちと切磋琢磨しながら、心も体も剣道も強くなっていきます。
父と見た岩手山のシーン

父と見た岩手山のシーン

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  • 2019/6/23 16:23

    本宮ひろ志氏がジャンプの愛読者賞の講評を行った文章の中で、他誌作品の「六三四の剣」に触れ、「少年漫画の最も難しいテーマに挑む勇気を買う」と論じたことがあります。
     改めてみてみるとこの作品は少年誌にありがちなハッタリが極力ない作品であることに驚かされます。舞台は超能力も超科学もない現実世界。スポーツ漫画にありがちな理屈抜きの必殺技もない。強くなるための過程は普段の地味な修練のみで、非常識なハードトレーニングでいきなり強くなったりしない。こういう地味な作風だと、読者に緊張感をもたらしたりカタルシスを与えたりする方法が限られますが、ご都合主義を使わずひたすら王道展開を貫く。これをもって難しいと言ったのだと思います。高校1年での山ごもり特訓はさすがにハッタリかなとは思いますが。

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