2021年5月27日 更新
剣道人口の増加にも貢献したマンガ「六三四の剣」は、正統派の剣道マンガ。まっすぐな剣道少年の成長が描かれています。
1981年から「少年サンデー」で連載された「六三四の剣」は、剣道シーンの描写も高く評価された、正統派の剣道マンガです。岩手に生まれた少年が、剣道を通して、ライバルや仲間たちと成長していく姿が描かれ、剣道を始める子供たちも増えたと言われています。マンガ「六三四の剣」をもう一度振り返ります。
六三四たちのその後
マンガでは、高校3年生の全国大会までが描かれています。その後、六三四は教師を、修羅は医師を目指すことを手紙で伝え合うところで完結します。
それぞれの登場人物が、それぞれの人生と理想を求めてまっすぐに努力をしていく姿は、子供の頃には分からなかった深い部分で、大人になって改めて感動することができる、とても魅力的な作品です。
「六三四の剣」の主な登場人物
夏木 六三四(なつき むさし)
剣道一家に生まれた「剣道のサラブレット」として、幼少期から剣道を始めます。腕白な暴れん坊でしたが、父栄一郎を尊敬する指導者「大石巌」と出会い、人間的にも剣道の実力的にも成長していきます。
夏木 佳代(なつき かよ)
六三四の母で、全日本女子選手権優勝を経験し、「東北の鬼ユリ」の異名を持ちます。小学校教諭として、栄一郎が警察を退職した後も家計を支えます。六三四の高校時代に剣道を再開し、全国大会に出場して準決勝まで進みます。全国大会後、同僚の八重樫と再婚します。
夏木 栄一郎(なつき えいいちろう)
六三四の父で、「岩手の虎」と呼ばれる剣道の達人。全日本選手権で先輩の東堂から受けた突きが原因で亡くなりますが、六三四にはただ強いだけではなく、人間的にも大きな人物になってほしいと思っています。
亡くなった後も、岩手県警の警察学校の剣道場には、上段の構えの写真が飾られています。
東堂 修羅(とうどう しゅら)
六三四の親友であり、最大のライバルです。興福寺の阿修羅像から名づけられました。礼儀正しく心優しい人物ですが、剣道になると一転、激しい剣さばきを見せます。
父東堂国彦には、その厳しさから反感を持ちます。母の死に際して、強くなることを誓います。
東堂 国彦(とうどう くにひこ)
六三四の父栄一郎の先輩で、最大のライバルです。冷静かつ正確無比な剣を使います。息子の修羅や妻の朝香にきつくあたったため、修羅から憎まれたこともあります。六三四も、父のかたきと憎みますが、対戦を申し出た六三四に、自分の剣の道を歩めと諭します。
轟 嵐子(とどろき らんこ)
六三四の幼いころからの剣友で、親友です。嵐の日に生まれたので嵐子と名付けられました。負けず嫌いで才能に恵まれていますが、やや怠け癖があります。
六三四の小学時代
剣道を知らない子供たちを夢中にさせた「六三四の剣」の魅力
六三四、修羅が親の死を乗り越え、互いをライバルとして切磋琢磨し剣道に打ち込む姿は本当に純粋であり、また、その他の日高、乾などの生き様も真っ直ぐで熱い。そして、最後は礼に始まり礼に終わるという剣道の精神が具現化されており、勝者も敗者も相手に敬意を表する形で終わっているところが素晴らしい。
武道の「道」を究めること
剣道、柔道など、日本発祥のスポーツは「道」という文字がついています。相撲でも横綱などがよく「相撲道」という言葉を口にします。
勝ち負けよりも、その精神性を尊ぶということでしょうか。単なる根性論ではなく、努力する姿や相手を敬う心、勇気や年長者に対する尊敬など、いわゆる礼節と言われる部分が重視されているように感じます。
柔道や相撲など、海外に広がると同時に、その根本的な部分が変わってきているのが現実ですが、剣道に関してはまだ礼節の部分が残されていると思います。
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