ご存知ですか?エルビス・コステロのパンク時代。
2016年9月20日 更新

ご存知ですか?エルビス・コステロのパンク時代。

エルビス・コステロといえば、映画「ノッテングヒルの恋人」の主題歌であるラブ・バラード「She」を思い浮かべる方が多いかもしれませんね。とても美しく、大人のロマンティックな曲です。そのイメージしか持っていないようでしたら初期のエルビス・コステロを聴くと驚いてしまうかもしれません。初期のパンクの香り漂うエルビス・コステロをご紹介します。

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Elvis Costello

Elvis Costello

Elvis Costello

イギリスが生んだ偉大なるメロディメーカーというと、60年代を代表してポール・マッカートニー、次いで70年代を代表するとなるとエルトン・ジョンでしょうか。そして続く80年代となると、それはもうエルビス・コステロ。
日本においてはエルビス・コステロの知名度こそポール・マッカートニー、エルトン・ジョンには劣るかと思いますが、メロディメーカーとしての才能は二人と肩を並べる存在です。

因みにイギリスでは“キング・エルビス”というとプレスリーではなく、コステロを指すほどです。

そのエルビス・コステロは1954年8月25日にロンドンに生まれました。本名をデクラン・パトリック・アロイシャス・マクマナスと言います。

パンクムーブメント真っただ中の1977年にニック・ロウのプロデュースでシングル「レス・ザン・ゼロ(Less Than Zero)」でデビューしています。
本人はパンクとは一線を引いているといった発言をしていますが、当時を知る人によればエルビス・コステロはパンクそのものだったようです。

それではエルビス・コステロが大御所と呼ばれるようになる前、パンクの香り漂う初期を見ていきましょう。

My Aim Is True

全英14位となったエルビス・コステロのデビューアルバム「マイ・エイム・イズ・トゥルー」です。スティッフ・レコード から発売されました。
バック演奏は後にヒューイ・ルイス&ザ・ニュースとなるクローバーが担当しています。

パンクの時代とはいえ、粗削りでありアルバムとしての統一感もまだまだといえますが、初期衝動に貫かれた素晴らしいデビュー・アルバムです。
ニック・ロウのプロデュースもよかったのでしょう。

パンクを感じさせる勢いのある曲がある一方で、リンダ・ロンシュタット等にカヴァーされたエルビス・コステロを代表するバラード「アリスン」が収録されており、早くもメロディメーカーとしての片りんをのぞかせています。
マイ・エイム・イズ・トゥルー

マイ・エイム・イズ・トゥルー

1977年リリース

【収録曲】
1.ウェルカム・トゥ・ザ・ワーキング・ウィーク - Welcome to the Working Week
2.ミラクル・マン - Miracle Man
3.ノー・ダンシング - No Dancing"
4.ブレイム・イット・オン・ケイン - Blame It on Cain
5.アリスン - Alison
6.スニーキー・フィーリングス - Sneaky Feelings
7.レッド・シューズ - (The Angels Wanna Wear My) Red Shoes
8.レス・ザン・ゼロ - Less Than Zero (Album Version)
9.ミステリー・ダンス - Mystery Dance
10.ペイ・イット・バック - Pay It Back
11.アイム・ノット・アングリー - I'm Not Angry
12.ウェイティング・フォー・ジ・エンド・オブ・ザ・ワールド - Waiting for the End of the World
いや‾、やっぱこれは名盤でしょう。
1977年のロンドンに現れた、ちょっと陰険そうな黒ブチメガネ君ロケンローラー。
そんなダサめのルックスの下に燃える、熱いパンク魂!
しかし彼がそこいらの若僧パンクスと決定的に違っていたのは
ド派手な芸名と深い音楽的造詣、そしてありあまる才能だった…。
素晴らしいソングライティングで描き出す醒めた視点と激しい怒りのテンションは、
発表から30年!経っても十分に強烈だ。

Elvis Costello - Red Shoes (Live TOTP 1977)

レッド・シューズ
天使が俺の赤い靴を持って行ってしまうと歌われる「レッド・シューズ」。バックコーラスとの掛け合いも楽しい軽快な曲ですが、歌詞は政治的なことを皮肉っているそうです。
一聴しただけではよくわからないシニカルなところが、いかにもエルビス・コステロといえます。

そして一般にはこの曲があるがためにこのアルバムは売れ続けているともいえます。大名曲と言ってもよいでしょう。「アリスン」です。

ELVIS COSTELLO Alison 1977

因みに本作のオリジナル・レコードの裏ジャケットは色違いが何種類もあります。まさにコレクターズ・アイテムですが、集めてみるのも楽しそうです。
裏ジャケット

裏ジャケット

「マイ・エイム・イズ・トゥルー」裏ジャケットの一部です。他にも色違いがあります。

This Year's Model

全英4位を記録した1978年発表のエルヴィス・コステロ&ジ・アトラクションズのアルバム「ディス・イヤーズ・モデル」です。
レコード会社を移籍し、RADERSCOPEからのリリースとなっています。

このアルバムで特筆すべきことは、この後くっ付いたり離れたりしながらも長い付き合いとなるジ・アトラクションズとの初共演ということです。

ジ・アトラクションズのメンバーはピート・トーマス(ドラム)、ブルース・トーマス(ベース)、スティーヴ・ナイーヴ(キーボード)の3人です。

先行シングルは「(I Don't Want to Go to) Chelsea」、2ndシングルは「Pump It Up」。そしてイギリス盤のアルバムには未収録だった「Radio Radio」がそれぞれヒットしました。
ディス・イヤーズ・モデル

ディス・イヤーズ・モデル

1978年リリース

【収録曲】
1.ノー・アクション - No Action
2.ジス・イヤーズ・ガール - This Year's Girl
3.ビート - The Beat
4.パンプ・イット・アップ - Pump It Up
5.小さな引き金 - Little Triggers
6.オレのお前 - You Belong to Me
7.ハンド・イン・ハンド - Hand in Hand
8.チェルシー - (I Don't Want to Go to) Chelsea(アメリカ版を除く)
9.リップ・サービス - Lip Service
10.天国の生活 - Living in Paradise
11.流行のリップスティック - Lipstick Vogue
12.ナイト・ラリー - Night Rally
13.レイディオ、レイディオ - Radio Radio
シンガーソングライター然としたたたずまいの中にもパンクの洗礼を受けたゴツゴツ感が突き刺さる1stに較べて、
パーマネントなバックバンド、アトラクションズを結成したおかげでヒリヒリした攻撃性としなやかなスピード感も5割増し。
録音中にストーンズやフ-やキンクスを参考にした、いわばブリティッシュ・ビートの78年ヴァ-ジョン!
今作は他のアルバムと違って後々までコステロのステージで
歌い継がれる、いわゆる『名曲』は少ないんだけど、このつっぱらかったカッコよさは最高。
それはバックのアトラクションズの演奏の魅力によるところが大きい

Elvis Costello - I Don't Want To Go To Chelsea ( Live )

チェルシー
曲はもちろんカッコいいですが、ジ・アトラクションズのタイトな演奏は素晴らしいですね。エルビス・コステロとの相性バッチリでしょう。

そして第2弾シングル「パンプ・イット・アップ」です。なんと強力なビートなんでしょう!
カッコよすぎます。
因みにプロモーション・ビデオのエルビス・コステロの奇妙な動きは身障者のマネだそうです。

Elvis Costello & The Attractions - Pump It Up

パンプ・イット・アップ
後にシングルとして日の目を見たとはいえ、何故この曲をイギリスのオリジナル盤に収録しなかったのか不思議でなりません。「レイディオ、レイディオ」いい曲です。
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