白井義男 世界のチャンピオン
2016年11月25日 更新

白井義男 世界のチャンピオン

日本人初の世界チャンピオンになり、敗戦後、自信を失っていた日本人に勇気と歓喜を与えた。その白井義男が世界チャンピオンになった5月19日は「ボクシングの日」になっている。

27,112 view

白井義男

 (1628158)

白井義男は
日本フライ級、バンタム級2階級制覇
日本人としてはじめて世界チャンピオンとなり
水泳の古橋廣之進や
ノーベル物理学賞の湯川秀樹と同様
敗戦後の暗い時代に
日本人に明るい話題をもたらした

世界チャンピオン 白井義男 Yoshio Shirai Boxing World Champion - YouTube

出典 youtu.be

vs カンガルー

 (1628142)

白井義男は関東大震災の年に東京で生まれた
小学校のとき
サーカスが来て
カンガルーとボクシングをすることになった
カンガルーが左腕を下げたので
思わずその手をみていると
下げた位置からフリッカージャブを出して
顔面にもらった
痛くて涙が出た
「こんちきしょー」
白井は突進し
無我夢中で腕を振り回した
力いっぱい振った右フックがこめかみに当たり
カンガルーはコーナーに吹っ飛んで
「キュー、キュー」
と鳴いた
「大丈夫かな」
とのぞきこんだ瞬間
シッポのバネを利かせたパンチが股間の急所に炸裂
白井はダウンした
結局「反則勝ち」でお菓子の袋をもらった

「さあ殴り合え」

 (1628141)

白井が
東京・御徒町のガード下にあった「拳道会」に入門した日
同じように7人の入門希望者がいた
そして師範にいきなり
「さあ、順番に殴り合え」
といわれ白井はKO寸前まで殴りつけた
そして30分ほど縄跳びをしてこの日は終わった
次の日は4人になっていた
手に木剣を握った師範がいった
「いいか
前進あるのみ
打って打って打ちまくれ
退るやつは卑怯者だ
そんなやつは俺がぶっ飛ばす」
すでに戦火は日本近海に及んでおり
ボクシングだけでなく日本のすべてが「前進こそすべて」だった

入門2週間でプロデビュー

 (1628145)

入門1週間後のこと
試合を控えた先輩のスパーリング相手をやらされ
力いっぱい打った右ストレートが先輩のチン(アゴ)に命中
先輩はダウンし口から泡を吹いていた
師範はいった
「お前が壊してしまった
この状態で試合は無理だ
仕方ない
白井、お前が試合に出ろ」
 (1628134)

8日後、
試合は日比谷公会堂で行われた
戦闘帽に国民服、足にはゲートルのレフリーが選手をコールした
「シラーイ、12貫800(48kg)」
「ウミヤマー、16貫(60kg)」
英語は禁止されていた
そして2人の選手をに呼んでいった
「いいか
逃げたりしやがったらやめさせるぞ」
2人を握手させた後
「さあ殴り合え」
で試合が始まった
白井はこの後なにがどうなったか覚えていない
気がつけばリング中央に立っていて
相手は寝ていた
こうしてデビュー戦は打倒(KO)勝ちだった
手渡された2つの封筒には
ファイトマネー20円と
打倒賞として軍事国債5円が入っていた
デビュー戦、14日後の2戦目もKO勝ち
その後も勝ち続け8戦8勝7KO

戦争の影

 (1628137)

このころの日本は
ガダルカナル島の戦いに敗れ
マリアナ沖海戦でも敗れ
フィリピンでカミカゼ特攻が行われた
しかしアメリカ軍の日本進攻は進んだ
やがてボクシングは禁止された
やっとつかみかけた青春の光を摘み取られ
白井は暗い気持ちに陥った
この時代を生きた若者の悲しい宿命だった
 (1628135)

軍隊では
飛行機整備兵として全国を転々とした
仕事は特攻機の整備だった
昼間は
わき目もふらず敵艦に体当たりする訓練に取り組む特攻隊の隊員の
夜、すすり泣く声が心を打った
87 件

思い出を語ろう

     
  • 記事コメント
  • Facebookでコメント
  • コメントはまだありません

    コメントを書く
    ※投稿の受け付けから公開までお時間を頂く場合があります。

あなたにおすすめ

関連する記事こんな記事も人気です♪

平仲明信  琉球のサムライが天下をとったオキナワンドリーム

平仲明信 琉球のサムライが天下をとったオキナワンドリーム

「具志堅の仇をとってやる」とボクシングをはじめ、「沖縄から世界へ」という夢をつらぬき「くぬはがぁ」とコブシをふるった男。こんなボクサーは絶対にいない。
RAOH | 10,832 view
【はじめの一歩】熱かった数々の試合を振り返る!宮田一郎VSアーニー・グレゴリー

【はじめの一歩】熱かった数々の試合を振り返る!宮田一郎VSアーニー・グレゴリー

現在も連載中でミドルエッジ世代から圧倒的な人気を誇るボクシング漫画『はじめの一歩』。 今回の記事では、主人公・一歩のライバルであり、憧れの存在である宮田一郎が東洋太平洋タイトルに挑戦する試合について振り返っていきます。対戦相手でありながら紳士的な戦いぶりをみせるアーニーにも好感がもてる対戦です。
tsukumo2403 | 45 view
【修羅の門】アメリカ×ボクシング編!エドワード・ヒューズとの対談!

【修羅の門】アメリカ×ボクシング編!エドワード・ヒューズとの対談!

前回の記事では第三部の始まりを紹介させていただきました。テディを口説いて、九十九はアリオスを対戦するため、とうとうアメリカでボクシングのリングに上がることになります。しかし、ここからも一筋縄では進まず、世界一の大富豪であるエドワード・ヒューズの助けは必要不可欠です。それではヒューズと九十九の対談の内容について振り返っていきましょう。
tsukumo2403 | 831 view
【はじめの一歩】熱かった数々の試合を振り返る!鴨川源二VSラルフ・アンダーソン

【はじめの一歩】熱かった数々の試合を振り返る!鴨川源二VSラルフ・アンダーソン

ミドルエッジ世代の青春といえるボクシング漫画『はじめの一歩』。今回は主人公・一歩の師匠といえる鴨川会長の若き日のエピソードを振り返っていきます。現代のボクシングでは絶対にありえないマッチメイクですが、だからこそ熱くなってしまい、惹き付けられる魅力があるように思えます。
tsukumo2403 | 878 view
【修羅の門】アメリカ×ボクシング編!テディ・ビンセントの口説き文句!

【修羅の門】アメリカ×ボクシング編!テディ・ビンセントの口説き文句!

前回までの記事では第一部・第二部の内容を網羅するかたちで振り返ってきましたので、ここからは第三部に突入して、さらに熱い展開を迎えるボクシング編を紹介していきます。主人公・九十九がただ単にボクシングをするのではなく、本場のアメリカでプロボクサーとなり、ヘビー級のリングに上がるというのですから驚きですよね。
tsukumo2403 | 790 view

この記事のキーワード

カテゴリ一覧・年代別に探す

あの頃ナウ あなたの「あの頃」を簡単検索!!「生まれた年」「検索したい年齢」を選択するだけ!
リクエスト