『バビル2世』(1971年から1973年・週刊少年チャンピオンに連載 / 1973年・NET(現・テレビ朝日)系列で放送) 元祖「超能力アニメ」
それまで日本の漫画界では見られなかった”超能力”を主題にしたエポックメイキングな作品であり、その後も脈々と続く「超能力もの」の礎を築き上げた。
バビル2世 Op & ed - YouTube
横山光輝は後年、ムック(『横山光輝グッズコレクション』講談社刊・2002年8月発行)のインタビューで「バビル2世と三つのしもべの関係は西遊記の三蔵法師とお供の孫悟空らをイメージして作った」と語っている。
この作品を描いた理由については「アメリカンコミックでは超能力者を主人公にした作品があるのに、日本にはまだなかったから」と答えている。
宇宙人・バビル(バビル1世・初代バビル)
宇宙人・バビル(バビル1世・初代バビル)
故郷へ帰ることをあきらめて地球人と結婚したバビルは、破壊されたバベルの塔を子孫に託そうと決心する。彼は宇宙船の機器をもとに、いつの日か生まれるであろう自分と同じ体質を持つ子孫を探し出す装置と三つのしもべを作り上げた。この遺産を受け継ぐ人間が自分の2世になるのである。バビルは自分と同じ超能力をもった子孫にそれを託すことができるのを幸せだと考えた。
宇宙人・バビル(バビル1世・初代バビル)
彼が残した遺産・バベルの塔と三つのしもべを受け継いだ超能力者・浩一が、世界征服を企む悪の超能力者・ヨミと戦う物語。
バビル2世と三つのしもべ
バビル2世
ごく普通の中学生の少年だったが、バベルの塔が発する電波を感じ取ることができ、塔のコンピュータに正当な後継者=2世と認められた。
5000年前に地球にやってきた宇宙人・バビルの遠い子孫であり、バビルと同じ体質を持ち超人的な知力と体力、様々な超能力を発揮する。バベルの塔と三つのしもべを受け継いで世界の平和を乱すヨミと対決していく。
アニメ版(1作目)では、エネルギー衝撃波や電撃を駆使してヨミとその配下達と戦うアクションシーンも多く、また第8話からブルーの戦闘服を着用し、自らバビル2世号を操縦して現地に向かうなど、よりヒーローらしさが強調されている。
バビル2世の三つのしもべ
原作において、2世と同質のテレパシー能力を持つヨミの命令も受け付けてしまう弱点が露呈。以降、ヨミのいる場所ではしもべを呼べなくなり(2世とヨミの命令が拮抗すると行動不能に陥る)、苦しい戦いを強いられる。
ポセイドン
巨人ロボット。攻撃力は三つのしもべ中最強で、指にレーザー砲、腹部に魚雷を装備している。大型船の船底を一撃で打ち抜くパンチ力・キック力を誇る。海中を高速で移動し海を拠点とするが、陸上でも活動できる。目のランプを点滅させて信号を送り、バビル2世と会話することが出来る。
アニメ版(1作目)ではロプロスと共に最終回まで活躍、無表情なものの、特に後半は僅かではあるが、仕草で意思表示をする描写も見られている。
ロプロス
主に戦闘や移動などに活躍する。
原作第4部ではバビル2世をかばい、水爆ミサイルの直撃を受けて破壊された。
アニメ版(1作目)では最終回まで活躍、また、後半ではそのメカニックな外見にも関わらず、倒れたロデムの姿に悲しげに俯く描写などもあり、バビル2世の大事な仲間であることが強調されていた。
ロデム
スライム状の不定形生命体。普段は黒ヒョウの形態を取る。どんな姿にも変身することができるため、囮や諜報活動、また側近としてバビル2世の保護を受け持つ。
ロプロスやポセイドンと違い、バビル2世とテレパシーで会話することが出来る(ヨミと会話できるかは不明)。バビル2世やヨミのエネルギー衝撃波には弱く、活動不能に陥るので戦闘にはあまり向いていない。
アニメ版(1作目)では、不定形生命体という説明は特にされず、むしろ変身能力を持つ黒豹という扱いであり、後半でエネルギーを消耗して倒れてしまった際も黒豹の姿のままであった。
また、原作版と違って普段から黒豹か女性の姿で付き従い、積極的に戦闘に参加しているばかりか、バビル2世に変身した時は、バビル2世と共にエネルギー衝撃波を使っており、万能ぶりを発揮している。
ヨミ
ヨミ
強大なカリスマ性を備え各地に秘密基地を建設して多くの部下を従えており、その種類も科学者・技術者・超能力者・サイボーグ工作員と多岐にわたる。
各国の要人に改造人間を送り込んでいるため、国家をも意のままに操ることができる。三つのしもべに対抗してさまざまなロボット兵器を作り出してバビル2世に戦いを挑む。
実は後継者候補としてバベルの塔に呼ばれたこともあったが能力が不適合だったため、その記憶を消されていた。バビル2世との直接対決で何度倒されても復活する。
部下想いの面もあり、バビル2世を倒すチャンスを犠牲にしても部下の救出を優先したり、有用な作戦提案を即採用する度量の深さをしばしば見せる。
その一方で、バビル2世を倒すチャンスのために部下を見殺しにする非情さも併せ持つ。原作者の横山はヨミの年齢について、110歳くらいをイメージしていると述べている。
はるかな昔、地球に不時着して帰れなくなり住み着いた宇宙人・バビル。彼が残した遺産・バベルの塔と三つのしもべを受け継いだ超能力者・浩一が、世界征服を企む悪の超能力者・ヨミと戦う物語。
漫画『バビル2世』
1971年から1973年にかけて週刊少年チャンピオンに連載されていた。単行本全12巻。
『バビル2世』は当初、連載は3か月程度で完結する予定だったという。しかし、あまりの人気に2年半もの長期連載となり、何度倒されてもヨミが復活するというパターンが繰り返された。
テレビアニメ『バビル2世』
NET(現・テレビ朝日)系列で1973年(昭和48年)1月1日から同年9月24日まで毎週月曜日19時00分から19時30分に放送。全39話。
本作は声優・神谷明の初主演作品であり、技の名称を叫ぶ演技は以後、彼のトレードマークとなった。
最新科学装備のバビルの塔(漫画版におけるバベルの塔)に住む正義の超能力者バビル2世が悪の超能力者ヨミの陰謀を粉砕するために三つのしもべとともに戦うという基本設定は同じ。これに加えてアニメ独自の事件が起きる。
原作との最大の違いは、主人公・浩一がバビル2世となったため、幼少時から10年間育ててもらった叔父母の古見一家と心ならずも別れたという設定である。浩一にほのかな恋心を抱く従姉妹(古見夫妻の娘)由美子が浩一を探すのだが、毎回、現場にたどり着く直前に浩一は次の戦いに備えてその地を去るために逢えないというすれ違い描写が物語を盛り上げた。
第27話以降は舞台とサブキャラクターを一新し、主人公の服装も変わった。バビル2世は北海道のワタリ牧場の居候として平和な生活を営みながら、復活したヨミと戦うという展開になる。
出典 バビル2世 - Wikipedia