『地球へ…』1980年 超能力者のミュウと人類の共存を目指す
『地球へ…』(1980年)ED - YouTube
マンガ少年別冊「地球へ…」第1部総集編
当初は3回で終了する予定でスタートし、第4話で一旦第1部が完結。その後、断続的に第4部まで3年半にわたり連載が続いた。竹宮は夢に見た“涙を流すナキネズミ”のイメージを元に第1部を描き、初期構想では第1部のみの短編にするつもりだった。また、当初は竹宮とメカデザイン担当ひおあきらとの合作になる予定であったが、「地球へ…」と同じソノラマのコンバトラーV単行本〆切をひおが半年遅らせており、担当が許可しなかったために合作は幻に終わった。
マンガ少年に最終回が掲載されたのは1980年5月号で、その直後の1980年4月26日にアニメ映画が公開された。単行本化の際には、雑誌掲載の原稿に加筆、修正がなされた。第4部には大幅な修正が行われ、S.D.の解釈などが雑誌掲載時と異なっている。
ジョミー・マーキス・シン(13歳→45歳) ソルジャー・ブルーの後継者『ソルジャー・シン』。健常者として最強の超能力を持つミュウ。
声 - 井上純一 / 斎賀みつき / 富山敬(ラジオドラマ版)
本編のミュウサイドの主人公。育英都市アタラクシアの出身。潜在的なミュウとして14歳まで生きてきた。感情過多であるため、幾度かESPチェックを受けてきたが、“無い”とまで自嘲する太い神経、タフな精神と潜在的な強い思念波のお陰で潜り抜けてきた。
他のミュウとは違い、欠けている部分のない健常者であり、人類の太く短い生命力とミュウの細く長い能力を兼ね備えた存在であることからソルジャー・ブルーに見出され、余命わずかの彼の後を継ぎ、ミュウの新しい長『ソルジャー・シン』となる。そしてブルーの遺志を継いで、ミュウが長年目指してきた地球(テラ)へ向かうこととなる。
ソルジャー・ブルー 余命が短いミュウの長
声 - 志垣太郎 / 杉田智和 / 石原良(ラジオドラマ版)
ミュウの中で最も長く生き、長としてミュウ達を束ねてきた。虚弱体質で聴覚に障害があり、耳にはヘッドフォン型の補聴器を付けている。TVアニメ版では、さらに銀髪に赤い瞳というアルビノの特徴が加わっている。ただし、第1期オープニングの一部では目が青色である。これについては、原作者も正しい決まりはないと言っている。補聴器は彼の記憶が記録されており、後にジョミーに託された。3世紀もミュウとして生きたといわれるが、青年としか思えない外見を保っている。若く見せたがるのはミュウ全体に見られる傾向だと称する。
ジョミーに、ミュウが発生する原因が成人検査にあることを告げ、自身が実験体として悲惨な日々を送り続けてきたことを告白している。寿命が潰える直前にその意思をジョミーに託し、ジョミーの能力を開花させる。地球への強い思いを残したままアタラクシアで逝くが、死んでもなおジョミーの中で生き続けている(ジョミーが意識し続けている)。時折束縛された姿でジョミーの心に登場するのは、実験体としての彼の姿である。
TVアニメ版ではミュウ達を一人でも多くナスカから脱出させるため、惑星破壊システム・メギドに潜入。命と引き換えにこれを破壊した。なお、この時残されたヘッドフォン型の補聴器が唯一の遺品となり、“ソルジャーの証”としてジョミーに(TVアニメ版ではトォニィにも)受け継がれる事となる。
フィシス(15歳→96歳) 『無垢なる者』の候補者の一人だった(本来は人類側)。人類とミュウをつなぐ『女神』。
声 - 秋吉久美子 / 小林沙苗 / 池田昌子(ラジオドラマ版)
ミュウの美少女占い師。生まれつきの盲目で予知能力に秀でている。ブルー、ジョミーと歴代のソルジャーに常に仕え、提言を与えている。占いは占い用のターフル(オランダ語でテーブルの意)で行われ、占いの結果は概ね当たる。
また、なぜか銀河系や地球の外観を知っている。謎の多い女性で、物語上の重要な意味を担う存在である。キースとは敵同士であるにも関わらず情報を与えてしまい、トォニィを目覚めさせようとして却って逃げられ、能力や知識を吸収され、正体すら暴かれてしまう。しかし、その正体を最初から知っていたソルジャー・ブルーにとって、彼女は『女神』である。
ジョミーの願いから、唯一ジョミーを本名で呼ぶ。
キースの遺伝子上の母親。『息子』キースと直接接触した時には、本人の意志に関係なく心を読まれてしまった。
実は『無垢なる者』の候補者として15歳まで人工子宮で育てられ、知識は脳に直接刷り込まれていた。銀河系や地球のイメージも刷り込まれた物である。地球のイメージは『無垢なる者』の候補者が地球に忠誠を誓うために刷り込まれており、『無垢なる者』の候補者の特徴でもある。
ESP能力はすべてソルジャー・ブルーから極秘に与えられたものである。人類とミュウをつなぐ『女神』であってほしいというブルーの願いは、皮肉にも地殻変動で滅びつつあった地球でかなえられることになる。
キース・アニアン(15歳→45歳) 人類サイドの主人公。統治者候補たる「無垢なる者」の1人。
声 - 沖雅也 / 子安武人
本編の人類サイドの主人公。機械(マザー)の申し子・鉄面皮などと評されるエリートだが、喜怒哀楽の内“怒”と“哀”の感情は誰よりも強い。ジョミーの最大のライバル。地球のどこにいても一目置かれ、一線を画される存在である。
育英都市トロイナスの出身となっているが、幼少時代の記憶及び受けたはずの成人検査に関する記憶を一切持っていない。エデュケーショナル・ステーションでの教育を終えた後は「メンバーズ・エリート」に選出され、その頭角を現して目を見張るスピードでエリートコースを昇進していく。ステーションでの教育過程からミュウと遭遇し、幾度も対決していくことになる。さらに、様々な事件のなかで幾度も葛藤を繰り返しながら、マザーが期待していた通りの成長を続ける。そして、最終的には地球の総帥となり、ジョミー達ミュウの前に立ち塞がる。
20年近くにわたるミュウとの対決の中で、自身の出生の秘密やミュウ発生の原因が人類の遺伝子自体にあること、そしてその素因子の排除の可否、さらには地球そのものの秘密を知ってゆくこととなる。その中で、ミュウの女性フィシスに不思議な縁を感じるようになっていく。
背後に立った者を反射的に撃つよう訓練されている。
実は、フィシスの卵子を元に生み出された、遺伝子上の“フィシスの実子”。15歳まで人工子宮で育ち、知識は脳に直接刷り込まれていた。統治者候補たる「無垢なる者」の1人である故に養親はおらず、成人検査も受けていなかった。
『地球へ…』の世界観
人類は出生から成長、死に至るまですべてコンピュータによって完全に管理されていた。無作為に選び出された精子と卵子を受精させ、人工子宮により『赤ん坊』として生きられるようになると、無作為に選ばれた養親によって『目覚めの日』(=14歳の誕生日)まで安心かつ健全、しかも画一化された教育惑星で育てられる。『目覚めの日』前後になると、星のマザーコンピュータによって《成人検査》が行われ、今までの記憶の消去と地球人として生きるための知識の注入を受け、“大人”としての教育を受けるべく、さらに高度な教育が受けられる“エデュケーショナル・ステーション”に送られる。
しかし、成人検査をパスできない人もいる。また、この成人検査の過程で誕生するのは“大人”とみなされた人間だけではない。超能力保持者“ミュウ”も誕生させていたのだ。ほとんどのミュウは、感情過多などの兆候からESP(エスパー)チェックにより深層心理まで分析され、排除されてきた。だが、管理体制の実態を見抜き脱出に成功したミュウ達は集団を作り、人類にミュウの存在を認めるよう働きかけてきた。しかし、その願いは未だ通じていなかった。
『六神合体ゴッドマーズ』(1982年)
『六神合体ゴッドマーズ』(1982年)
当初は半年の放送予定だったが、おもちゃのセールスが好調だったほか、おもちゃの購買層である低年齢層とは別に、女性ファンを中心にアニメファンの人気が高まり、1年以上放映された。ストーリーは、ギシン星編、マルメロ星編、地球編の三部構成。
スタッフは、前番組の『太陽の使者 鉄人28号』からシフトする形で参加。『マジンガーZ』、『宇宙戦艦ヤマト』などで実績のある藤川桂介がシリーズ構成に起用され、ストーリー作りに重要な役割を果たしている。
全宇宙の支配を狙うギシン星・ズール皇帝がその魔手を地球に伸ばしてきた。コスモクラッシャー隊の一人として活動していた明神タケルは、戦いの中で自らの出生の秘密を知る。タケル=マーズは、彼を守るため造られた「ゴッドマーズ」とともにズールに立ち向かっていくが、それは血を分けた双子の兄・マーグとの悲しい戦いの始まりでもあった。
[OPED] 六神合体ゴッドマーズ - 愛の金字塔 [アニソン][PV][高音質] - YouTube
マーズ / 明神 タケル(みょうじん タケル)
声 - 水島裕 / 佐々木るん(少年時代)
本作品の主人公。17歳。ギシン星人。超能力者。ズールによって、産まれてすぐに拉致された上で地球に送られた。ガイヤーが地球に到達した際に生まれた明神礁にて、発見者の明神博士に拾われ、我が子として育てられた。戦闘では常人を遥かに上回る身体能力に加え、両手首を交差して発生させる衝撃波や髪の毛を針状にして飛ばすという超能力を使用する。
前述の経歴からアイデンティティーは完全に地球人のそれであり、血を分けた兄マーグと邂逅を果たして実の両親の事や自身にまつわる真実、ギシン星の体制や状況を知った後も、自身は地球の人間という意識を持ち続けていた。これは戦いが終わるまで変わる事がなく、マルメロ星編では異星人に出会った際「俺の名は明神タケル。宇宙名マーズだ」と名乗っていた。
マーグ(超能力者) マーズの双子の兄。
声 - 三ツ矢雄二
17歳。マーズの双子の兄。超能力者。当初、気のふれた振りをして諜報活動をし、その情報をマーズにテレパシーで送っていたが、それがバレた後、ズールに(わざと不完全な状態で)洗脳され、マーズと戦わされることになる。13話でマーズに父の記憶と、母から託されていた六神ロボを操るロケットを渡す。
三ツ矢雄二が声をあてたマーグは主人公以上の人気を集め、本作が多くの女性ファンを獲得する原動力となった。
ロゼ
声 - 鵜飼るみ子
17歳。洗脳改造されたマーグの副官として、第14話から登場した超能力者。実はギシン星人ではなく第四恒星系第八番惑星植民地の出身者。思念による蝶を手から発して攻撃する。暗示と催眠の力にも長けており、マーグの洗脳を補強したり、対象を操ることも出来る。また、変装術も巧みで、単独による破壊工作も行っている。マーグ亡き後、マーズに一騎打ちの決闘を申し込むが、「復讐は復讐を生むだけ」という名台詞の下、マーズの育ての母・静子に和解を促される。
その後、タケルとの再戦に敗れ、彼に助けられた事で己の使命と生きる意味に心が揺らぎ、第22話で(無意識に)故郷に戻り、妹・ルイと再会。そこで妹やマーズの生き方と強さ、そして己がズールにとって単なる道具であることを知ってルイと和解し、ズールの下から離反した後はマーズと共闘。地球編で再登場し、やがて彼を愛するようになる。
ズール皇帝
声 - 納谷悟朗
宇宙支配を目論むギシン星の皇帝であり、恐怖政治を敷き、己に逆らったり、任務に失敗した者を絶対に許さない独裁者。例え僅かでも己に意見した者さえも「反逆者」として一片の慈悲も無く、最も残酷な手段で処断する冷血漢にして、マーズを(強引に拉致して)人間爆弾としてガイヤーと共に地球に送り込んだ張本人。
マント状の上衣に身をやつし、手足を見せず、空中や宇宙空間に出現。『愛』を極度に嫌悪する。
地球編にてメタール、ボーデ、ナッカ、スナッパ、キッカ、ニードの6つの"ゲシュタルト"の合身体と判明。マルメロ星編、地球編でも黒幕として暗躍。
『幻魔大戦』(1983年) 原作漫画は人類の敗北を暗示して終了するが、劇場版は人類が勝利する。
『幻魔大戦』(1983年)
(原作)
高校生の東丈は超能力に目覚め、宇宙を無に帰せんとする幻魔と闘わねばならない現実を知る。幻魔に対抗しようと超能力者を結集するが、幻魔の強大な力にはとても及ばなかった。月が地球に急接近する絶望的なシーンで物語の幕は閉じる。
ラジオドラマ版(1979年)、アニメ映画版(1980年)、テレビアニメ版(2007年)がある。