正月、お茶の間、時代劇!「大岡越前スペシャル~親子をつなぐ名裁き~」を楽しむために!
2019年1月1日 更新

正月、お茶の間、時代劇!「大岡越前スペシャル~親子をつなぐ名裁き~」を楽しむために!

お正月恒例の時代劇。今回もいくつかのドラマが放映されているが、定番モノとしては1月4日の「大岡越前スペシャル~親子をつなぐ名裁き~」が注目されているようだ。年を経るごとに馴染み深くなっていく〝東山越前〟 こちらのドラマを楽しむための、ちょっとした情報をご紹介しよう。

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 少しドラマの内容にも触れておこう。

 忠相が町奉行として活躍した時期と将軍吉宗が《享保の改革》を行っていた時期はほぼ同じである。
 忠相も様々な行政改革に取り組んでおり、その雰囲気は「暴れん坊将軍」などによく出ていると思うが、あちらに出てくる吉宗と忠相はやはり《江戸》を中心に活動している。

 忠相が江戸以外の場所でも活躍していたことは先述の通りだが、ここでもうひとつの〝町奉行〟の顔に触れておこう。
在任中の享保7年(1722年)には弛緩していた江戸近郊の秩序再建のため、地方御用を拝命して農政にも携わり、役人集団を率いて武蔵野新田や上総国新田の支配、小田原藩領の酒匂川普請などに携わっており、さらに儒教思想を浸透させるため忠孝者への褒賞も積極的に行っている。
 重要なのは中盤の部分。忠相は農政のために地方に赴いているというところ。
 町の警察官、警察署長がまったく別の地域の農業を助けに行く――という話と解釈すると妙かもしれない。
 しかしこれまた先述の通り忠相の経歴を見れば納得のいくことで、彼は遠国奉行として行政、治安維持、裁判を担当していた(町奉行も近いものだが)ので、格としてはともかく忠相は吉宗内閣の大臣的存在だったことがうかがえる配置である。

 ちなみにもうちょっと詳しい記述を持ってくると、
享保7年(1722年)の6月、南町奉行の大岡忠相と北町奉行の中山時春は、関東周辺の農政を掌る関東地方御用掛(かんとうじかたごようがかり)に任命された。地方御用掛として大岡は、地方巧者と呼ばれた治水や灌漑事業などに関する技能を持つ者を多数登用して、農業には不向きな土地の開発に着手する。その役人集団の主な活躍の場が、武蔵野新田であった。
 どうもこの話、北町奉行も絡んでいたらしい。ただでさえ激務(と言われている)町奉行にさらに仕事が割り振られてるから大変だが、まあふたりがかりなら……と思っていたところ、
享保8年(1723年)6月29日、中山時春が町奉行職を辞すると同時に地方御用の役も御免となったため、以後は大岡が1人で務めることとなる
 とのこと。江戸幕府には「担当がひとり減ったから、増やそう」という発想は無かったのだろうか。複雑な気持ちになるエピソードである。

 もっとも、裏を返せばこれらの功績は忠相によるものが大きい、ということでもある。

 この間、関東地方御用掛として忠相がどの程度出向していたかはわからない。
 しかしそういう忙しい時期に限って、江戸で厄介な事件が発生してしまう――というのが今回の見どころである。

 まさかとは思うが、もしかしたら中山時春やそれに近い人物が登場したりするのかもしれない。
 このあたりの時系列や背景を考慮に入れておくと、ドラマがよりいっそう楽しめたりもする。

 いずれにせよ涼しい顔をして業務をこなしている忠相だが、史実でははちゃめちゃに多忙だったということを知っておくと、その落ち着きがとても得難いものに思えてくる。
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