日本社会に多大な影響を与えた「吉展ちゃん誘拐殺人事件」
皆さんは「吉展(よしのぶ)ちゃん誘拐殺人事件」をご存知でしょうか?1963年に発生した誘拐殺人事件で、その注目度の高さ及び後の社会に与えた影響から「戦後最大の誘拐事件」とも言われています。この記事では、吉展ちゃん誘拐殺人事件の概要と現在について書いてみたいと思います。
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事件の概要
事件が発生したのは1963年3月31日のこと。東京台東区入谷町に住む村越吉展ちゃん(当時4歳)が、自宅近くの公園で行方不明となり、両親はすぐに警察に通報しました。そして2日後の4月2日、犯人から身代金50万円を要求する電話が入ってきました。
行方不明となった入谷南公園。
日本初の「報道協定」が結ばれる。
誘拐事件と確定した吉展ちゃんの失踪。そこで警察は犯人への刺激を避けるため(1960年に発生した「雅樹ちゃん誘拐殺人事件」でのマスコミの過熱報道の反省もあった)、マスコミに対し報道の自粛を要請。日本初の「報道協定」が結ばれました。
4月7日、身代金の受け渡しが行われる。
犯人からの度重なる電話の後、身代金の受け渡しは4月7日に決定、犯人から「母親一人で金を持ってこい」といった受け渡し方法が指示されました。受け渡し現場に犯人はいなかったものの、吉展ちゃんの靴が置かれていたことから、母親はその場に50万円の入った封筒を置きました。すると近隣で監視していたと思われる犯人は、警察のわずかな隙を突き50万円を奪取し逃亡したのです。それ以降、犯人からの連絡はなく、吉展ちゃんの行方もわからないままとなってしまいました。
想定された犯人像、そして録音テープ。
犯人を取り逃がしてしまった警察。4月19日には、この事件を公開捜査に切り替え、録音に成功していた犯人との電話のやり取りの音声を公開しました。この音声には多数の情報が寄せられ、ズーズー弁(東北方言)に類似したアクセントから、「犯人は南東北から北関東出身ではないか」といった推測もなされました。
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また、電話の声の主の年齢を「40歳から55歳くらいの者」と推定。東北訛りの中年男性という犯人像がプロファイリングされ、全国から目撃情報などが多数寄せられました。しかし、犯人逮捕に結びつく有力な情報はなく、事件は長期化の様相を呈していきます。
公開された犯人の肉声!
吉展ちゃんを探そう
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「吉展ちゃんを返して」という歌が続々と発表される!
なかなか犯人が逮捕されない中、1965年には“吉展ちゃんを返して欲しい”という思いを歌に込めた楽曲「かえしておくれ今すぐに」が発表。当時の人気歌手「ザ・ピーナッツ」「ボニージャックス」「市川染五郎」「芦野宏」の競作という形で発売されました。犯人逮捕までの間はラジオなどで頻繁に流され、メディアも全力を挙げて事件の早期解決を願いました。