どうしてこれが別冊少女コミックに!?新井理恵『× ―ペケ―』
2019年11月17日 更新

どうしてこれが別冊少女コミックに!?新井理恵『× ―ペケ―』

新井理恵の『× ―ペケ―』は、1990年から1999年まで連載された4コママンガです。掲載されたのは別冊少女コミックという少女向け雑誌なのに、過激なネタからシュールなネタ、そして下ネタが満載。マンガ好きには懐かしい、そんな傑作ギャグマンガをご紹介します。

2,944 view

新井理恵『× ―ペケ―』

× -ペケ- 全7巻完結 [マーケットプレイスセット] | 新井理恵 |本 | 通販 | Amazon (2148827)

新井理恵の『×―ペケ―』(以下『ペケ』と表記します)は、1990年から1999年まで連載されていた4コマギャグマンガです。連載されていたのは小学館の別冊少女コミックという雑誌でした。単行本は全7巻です。文庫版は全3巻。

作者の新井理恵は1971年生まれ。1990年に『ご笑覧ください』でデビューしています。なお同作は『ペケ』の後半に収録されています。以降、4コママンガだけではなく、ストーリーマンガも手がけました。中には『ケイゾク/漫画』のような原作付き(『ケイゾク』は中谷美紀が主演していたドラマです)もあります。

『別冊少女コミック』とは?

1970年に『少女コミック』の別冊として創刊。やや高い年齢層をターゲットにしており、その作風も幅広い。1975年から萩尾望都の『11人いる!』、フジテレビでドラマ化もされた1983年からの川原由美子『前略・ミルクハウス』、アニメ化もされた1985年からの吉田秋生『BANANA FISH』など個性的な作品が多いのも特徴。
新井理恵の『ペケ』と同時期の作品には、アニメ化もされている1990年からの田村由美『BASARA』などがある。
現在の誌名は『ベツコミ』。
小学館eコミックストア (2148829)

ベツコミ 2019年11月号(2019年10月12日発売)

『ペケ』というタイトルの由来

なかなかインパクトのあるタイトルなのではないでしょうか? しかし、やはり『×』一文字で『ペケ』と読ませるのは難し過ぎると判断したのか、『× ―ペケ―』と振り仮名を付けることになったのではないかな、と思いました。
「×」を「ペケ」と読めるなと思ったのは「ペケペケ」から。一文字でかっこいいなと思ったのは「エックス」から。まぁ両方あたりだね。
via 『ペケ』1巻32ページ
と、読者からタイトルの由来を聞かれて答えています。
ちなみに「ペケペケ」とは奥田民生がメンバーのバンド、UNICORNの曲のことです。1988年発売の2枚目のアルバム『PANIC ATTACK』に収録されていました。
「エックス」とは、ToshiやYishikiがメンバーのバンドであるX、現在のX JAPANのことです。

質問の答えなのですが、以下のように続いていました。
タイトル考えたときって34コくらい考えた中から一番いいのを担当さんがえらんでくれたってかんじだからそんな深く考えてつけたわけじゃないね
via 『ペケ』1巻32ページ
ここら辺の、やる気の無さ具合(本当はそうではないと思うのですが)が、新井理恵というマンガ家の持ち味だと思います。

他のマンガと違った『ペケ』の特徴

4コママンガの中には作品タイトルの他に、各本に小タイトルが付いているものがあります。例えば、1986年から連載しているいがらしみきお『ぼのぼの』では、それぞれ1本1本に「シマリスくん」「お父さんが遊んでくれた」などの小タイトルが付いています。1988年から連載していた森下裕美『少年アシベ』では「ゴマちゃんが家に来た日」や「我が家の朝」などなど。
しかし『ペケ』では、1本の4コママンガは長いシリーズの一部であり、そのシリーズであれば小タイトルはすべて同じものが付けられているのです。
例えば、白鳥瞳と彼女の奇行に振り回される出川俊夫という高校生を描いたシリーズは、すべて「君の瞳は10000ボルト」。
心優しく真面目な高校生なのだが、見た目は不良である山本晃司を主人公にした4コママンガの小タイトルは、すべて「高校落書」。
 (2148831)

小タイトルの横にあるのが、作者のコメントです。
また、それぞれの小タイトルの他に「他人のために生きたり死んだりするって気持ち私わかんない」や「ホントは私は男より女の子を描くのがスキなのに…。」等の作者のコメントが1本ずつに付いています。補足的なものから作品に対する感想、グチ的なものなど多彩で、これを合わせて読むのも楽しかったりします。作者は大変だったようですが。
たくさんの小タイトルが付いたシリーズ作品があるのですが、その中からミドルエッジ世代には懐かしい元ネタがあるものを5本紹介したいと思います。
なお紹介文中の引用は、すべて作者のコメントとなっています。

君の瞳は10000ボルト

作者自身あまりのインパクトの弱さに すでに嫌いになっているこの2人のキャラは実はこのマンガの主人公なんだよ みんな気づかなかったと思うけど…
via 『ペケ』1巻42ページ
45 件

思い出を語ろう

     
  • 記事コメント
  • Facebookでコメント
  • コメントはまだありません

    コメントを書く
    ※投稿の受け付けから公開までお時間を頂く場合があります。

あなたにおすすめ

関連する記事こんな記事も人気です♪

植田まさしの4コマ漫画「コボちゃん」が連載13750回を達成!一般全国紙の最多記録を更新!!

植田まさしの4コマ漫画「コボちゃん」が連載13750回を達成!一般全国紙の最多記録を更新!!

読売新聞の朝刊社会面で長年連載を続けている植田まさしの4コマ漫画「コボちゃん」が、1月7日に連載13750回を迎え、一般全国紙に掲載される漫画の中での連載最多記録を更新したことが明らかとなりました。
隣人速報 | 1,441 view
【話かわるけどさあ】岡田あ~みん『ルナティック雑技団』を振り返らないか?

【話かわるけどさあ】岡田あ~みん『ルナティック雑技団』を振り返らないか?

80~90年代の「りぼん」読者に強烈なインパクトを残したオンリーワンの変態マンガ家、岡田あ~みん。今回は彼女が送り出した三作目の連載マンガ『ルナティック雑技団』を振り返っていきましょう。いけいけ天湖森夜、ドンマイドンマイ天湖森夜!
トロール | 180 view
伝説の不条理ギャグバトル漫画が奇跡の舞台化!『超ハジケステージ☆ボボボーボ・ボーボボ』のキャストと公演詳細が決定!!

伝説の不条理ギャグバトル漫画が奇跡の舞台化!『超ハジケステージ☆ボボボーボ・ボーボボ』のキャストと公演詳細が決定!!

漫画『ボボボーボ・ボーボボ』を舞台化した『超ハジケステージ☆ボボボーボ・ボーボボ』が東京・シアター1010にて10月に上演されます。
隣人速報 | 96 view
めくるとあの名作の主人公…少女少年たちが出現する巨大ピールオフ広告「少女まんがってなんだ?」が新宿駅に出現!!

めくるとあの名作の主人公…少女少年たちが出現する巨大ピールオフ広告「少女まんがってなんだ?」が新宿駅に出現!!

白泉社が発行する少女まんが雑誌『花とゆめ』が5月に創刊50周年を迎えるにあたり、5月27日(月)〜 6月2日(日)にかけてピールオフ広告を東京メトロ丸ノ内線新宿駅メトロプロムナードにて掲出しています。
隣人速報 | 141 view
バレエ漫画の金字塔!有吉京子による人気漫画『SWAN—白鳥―』の特装版などが続々と発売!!

バレエ漫画の金字塔!有吉京子による人気漫画『SWAN—白鳥―』の特装版などが続々と発売!!

平凡社より、有吉京子による人気漫画『SWAN—白鳥―』関連の書籍が現在好評発売中となっています。
隣人速報 | 105 view

この記事のキーワード

カテゴリ一覧・年代別に探す

あの頃ナウ あなたの「あの頃」を簡単検索!!「生まれた年」「検索したい年齢」を選択するだけ!
リクエスト