原作の鬼太郎作品には当初「妖怪」は登場しておらず、「妖怪漫画」として定着するまでには幾つかの経緯が存在する。作中で明確に妖怪が現れてくるのは、1961年の貸本版『鬼太郎夜話』の2巻からである。ここでは柳田國男の『妖怪談義』に収録された「妖怪名彙」に載る妖怪が現れるが、名前だけで姿はほとんど描かれていない。
やがて、1965年から『週刊少年マガジン』に「墓場の鬼太郎」の掲載が始まるが、この段階でも妖怪はほぼ登場しない。戦う敵は吸血鬼や夜叉といった怪奇的フィクションのキャラクターや怪物などが多い。妖怪が特に登場し始めるのは「妖怪大戦争」の回を経た1966年から、テレビアニメ化を翌年に控えた1967年に掛けてである。水木しげるは、この時期に藤沢衛彦の『妖怪画談全集』や鳥山石燕の『画図百鬼夜行』に出合ったとされる。そして、鬼太郎は徐々に妖怪との対決路線へ変化し、「ゲゲゲの鬼太郎」改題後はより顕著となる。また、その際に先の「妖怪名彙」に載っていた妖怪に姿を与え鬼太郎の味方に、『画図百鬼夜行』の妖怪に物語を与えて敵役の妖怪へと登用していった。
一方で、水木はこの頃について「まだ妖怪といったものが、皆さんに分かっていなかったから大変だった。もっぱらヒーローの敵として御登場願うしかなかった。」と回想しているように、連載当初は妖怪という言葉も概念も一般的には余り知られていなかった。妖怪が浸透し始めたのは、鬼太郎より前にテレビ化を果たした『悪魔くん』や当時の怪獣ブーム等の下地を経て、大伴昌司により『少年マガジン』を中心にして展開された「妖怪画報」等の影響が大きかったとされている。
鬼太郎のヒットとメディア戦略の足並みが揃ったことで妖怪の概念は波及し、妖怪ブームや鬼太郎の長期シリーズ化へと繋がっていった。
「妖怪マンガ」のジャンルを切り拓いたのは「ゲゲゲの鬼太郎」。
綿密なメディアミックス戦略で不動の地位を築いた「妖怪ウォッチ」といったところでしょうかね。
綿密なメディアミックス戦略で不動の地位を築いた「妖怪ウォッチ」といったところでしょうかね。