映画の製作裏話
ヘル・レイザーの脚本は、バーカー監督の『ヘルバウンド・ハート』という小説が基になっている。実は以前、自身が書き下ろした『ロウヘッド・レックス』が映画化された際、その出来に相当不満だったようで、「ぞっとするような映画化」から原作を守るために自ら監督になろうとしたのだ。
バーカー監督が脚本や数点の原画などの資料とともに映画をニューワールド・ピクチャーズへ持ち込むと、即座にゴーサインが出た。監督は社内の限られた人数で製作できるよう、これを”ビデオ作品集”として企画していたらしい。自分に映画作成の能力があることを証明すれば、より多くの予算がつくからだ。そして、いざ映画製作の本を借りようと地元の図書館へ向かったが、すでに貸し出し中だったそうだ。
ラリー役のアンドリュー・ロビンソンは、本作品では最も有名な俳優だっただろう。「猫とネズミの糞にはうんざりだ(Enough of this cat and mouse shit)」など、彼は会話シーンで多くのアドリブを発して本作品の雰囲気作りに貢献した。ラリー最後の台詞は元々ありきたりな「失せろ(Fuck off)」だったのだが、これを名台詞「畜生め!(Jesus Swept!)」に変えようと提案したのも彼だ。
フランクの皮なしバージョンを演じたオリバー・スミスはヘビースモーカーで、出番を待つ間スキンスーツを着ながらタバコを吹かすのが常だった。その姿がバーカー監督にインスピレーションを与え、劇中でも皮なしのフランクが喫煙するシーンが登場している。これについて、「スーツを着て、タバコを吸う姿がベティ・デイヴィスみたいで、フランクを凌駕する挑発的なキッチュ感があったんだ」とバーカー監督は語っている。
ピンヘッドがカースティーの頭上に浮かび上がるシーンは、ダグ・ブラッドレイをシーソーに乗せ、その反対側に巨体のADを乗せることで撮影された。
また、フランクの最初の拷問シーンは、映画の撮影が本格的に開始される前に撮影されたものだ。カメラのテストを行っているときに、映画撮影に利用できそうなもので実際にきちんとしたシーンが撮れるのか試してみることになったらしい。そこで皮膚があるフランク役のシーン・チャップマンを逆さまにつり上げ、血液を浴びせた。この場面は非常に出来がよく、実際に使われることになった。
苦痛を味わったのは、チャップマンだけではない。セノバイトとカースティーが病院で対決するシーンの撮影に、バーカー監督は大きなストレスを感じていた。これはセノバイトが明るい場所に出る最初のシーンで、彼らが間抜けに見えないかと気に病んでいたのだ。
映画『ヘル・レイザー』では、血肉によって蘇る姿がとても生々しく描かれています。人が破壊するシーンには、ハラハラドキドキさせられます。ホラーが好きな人におすすめの作品です。
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