テレビの放送コードや放送禁止用語をまとめてみました。
2019年8月7日 更新

テレビの放送コードや放送禁止用語をまとめてみました。

昔と今では随分表現の許容度が変わってきたテレビ番組。また忖度などの言葉も飛び交う昨今、そもそもテレビは放送コードや表現の自主規制などルールの下で運用されているわけですが、一体どういうものなのかをまとめてみることにしました。

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日本では法によって明文化された放送禁止用語がほぼ存在しないので、放送事業者の自主規制ということになります。2008年以降はおもに視聴者からのクレームにより適宜定められるものとなり、「放送注意用語」あるいは「放送自粛用語」などとも呼ばれています。
テレビ・ラジオ業界ともに、それぞれの番組基準の解釈と世論動向や番組の種類(教養、娯楽などの分類)、時間帯による視聴者、聴取者層の変化などの要素を加えて判断していることが多い。このため、たとえば、放送するのに注意を要する言葉あるいは表現を含んだものについては、時間帯・番組ジャンルなどによって視聴者、聴取者の年齢層などが異なることを考慮し、ゴールデンタイムでは規制されても深夜帯では放送されるものなどがある。 なお、ひとつひとつの言葉は不適切なものではないが、これを組み合わせた「内容」が不適切なものとなるようなコメント、歌や映像なども規制の対象となる。
具体的には対象となる言葉や表現をリストアップするのではなく「放送基準の精神」の解釈、個人がそれまでに身につけた良識に放送基準の精神を加えたものが「放送基準マインド」であるとされ、放送に携わる者それぞれの持つ自主基準によって運用されています。実に曖昧で現場が混乱するような気がしますね。。。

表現の自主規制

表現の自由が「絶対的で無制限」なものではないという考えから、表現者自身が斟酌して自らの表現に制限を課すことを自主規制と呼びます。

個々の表現者の責任不在

欧米では文化的経緯によりマスコミの規制ではなく、著者など個々の表現者の責任における自律が一般的であるのに対し、日本の場合は個々の表現者の責任よりもマスコミの直接責任が問われることが多く、マスコミが自主基準をもって規制を行うのが一般的となっています。

ところが近年のインターネット普及によって誰もが自由に情報発信できるようになったことから、個々の表現者の責任不在、すなわち個人の言いたい放題が問題となっており個人の人権意識レベルが問われるようになっています。

表現を認めた場合と規制した場合の社会的利益を比較衛量する「利益衛量」基準を個々人が斟酌するのは難しい気がします。情報発信者の責任について、まだまだ啓蒙が必要な段階かもしれません。

欧米との違い

欧米にはもともと卑猥・粗雑な言葉や表現の公共の場での使用はタブーとする文化的概念が古くからあるため、こういった言葉や表現の使用は、公共の場における使用のみならず、出版物などについても法的に制限されてきた経緯がある。上位となる文化的概念や直接的な法的規制が存在するため、例えば差別用語であれば、それぞれの差別用語の使用をいちいち自主規制で禁止するという考え方そのものが存在しない。すなわち表現行為の責任は全て表現者に帰属するという考え方が古くからあり、直接の表現者ではないマスコミなどが、その主観的な判断で表現者の表現行為を規制しようとすることは珍しい。欧米のみならず今日、多くの国々では「表現者の自由と責任」についての大衆の意識が高く、表現者に対して直接その責任を問う風潮が定着してきている。
日本では、原作漫画に存在した残虐や暴力・お色気描写を規制する動きが1990年代以降には急増しています。また音楽においても発売禁止、歌詞変更といったレコード会社の判断の他に猥褻、暴力表現が強いとされる曲は、放送局の判断で放送されないことがあります。

放送倫理・番組向上機構(BPO)

その目的には

「本機構は、放送事業の公共性と社会的影響の重大性に鑑み、言論と表現の自由を確保しつつ、視聴者の基本的人権を擁護するため、放送への苦情や放送倫理上の問題に対し、自主的に、独立した第三者の立場から迅速・的確に対応し、正確な放送と放送倫理の高揚に寄与することを目的とする」

とあります。

旧郵政省に設置された「多チャンネル時代における視聴者と放送に関する懇談会」が1996年12月に出した報告書の中で、「視聴者の苦情に対応するための第三者機関を設けるべき」との意見が盛り込まれたことを受け、NHKと民放連が1997年5月に「放送と人権等権利に関する委員会機構」(略称:BRO)を設置。BROのもとに第三者の有識者で構成される「放送と人権等権利に関する委員会」(略称:BRC)が置かれました。

後にBROは機能強化のため、「放送番組委員会」及び「放送と青少年に関する委員会」を擁する放送番組向上協議会と2003年7月に統合することで、現在の放送倫理・番組向上機構(BPO)に改組されています。

理事会、評議会と3つの委員会

理事会、評議会と理事会統括下に事務局が置かれ、事務局は「放送倫理検証委員会」「放送と人権等権利に関する委員会」「放送と青少年に関する委員会」の3つの委員会を統括しています。

各委員会ごとに「勧告」や「見解」「提言」などを適宜表明します。

放送倫理検証委員会から意見・勧告・見解がなされた事案

-TBSテレビ『みのもんたの朝ズバッ!』不二家関連の2番組に関する見解(2007年8月6日) - TBS『みのもんたの朝ズバッ!』
-FNS27時間テレビ「ハッピー筋斗雲」に関する意見(2008年1月21日) - フジテレビ『FNS27時間テレビ みんな なまか だっ!ウッキー!ハッピー!西遊記!』
-テレビ朝日『報道ステーション』マクドナルド元従業員制服証言報道に関する意見(2008年2月4日) - テレビ朝日『報道ステーション』
-光市母子殺害事件の差戻控訴審に関する放送についての意見(2008年4月15日)
-NHK教育テレビ『ETV2001シリーズ戦争をどう裁くか』第2回「問われる戦時性暴力」に関する意見(2009年4月28日) - NHK『ETV2001シリーズ戦争をどう裁くか』
-日本テレビ『真相報道 バンキシャ!』裏金虚偽証言放送に関する勧告(2009年7月30日) - 日本テレビ『真相報道 バンキシャ!』
-最近のテレビ・バラエティー番組に関する意見(2009年11月17日)
-TBSテレビ『報道特集NEXT』ブラックノート詐欺事件報道に関する意見(2010年4月2日) - TBS『報道特集NEXT』
-参議院議員選挙にかかわる4番組についての意見(2010年12月2日) - 信越放送『SBCニュースワイド』、長野朝日放送『abnステーション』、TBS『関口宏の東京フレンドパークII』、BSジャパン『絶景に感動!思わず一句 初夏ぶらり旅』
-日本テレビ 「ペットビジネス最前線」報道に関する意見(2011年5月31日) - 日本テレビ『news every.サタデー』
-日本BS放送『"自"論対論 参議院発』に関する意見(2011年6月30日) - 日本BS放送『"自"論対論 参議院発』
-情報バラエティー2番組3事案に関する意見(2011年7月6日) - テレビ東京『月曜プレミア!主治医が見つかる診療所』、毎日放送『イチハチ』
-東海テレビ放送『ぴーかんテレビ』問題に関する提言(2011年9月22日) - 東海テレビ『ぴーかんテレビ』
-テレビ東京『ありえへん∞世界』に関する意見(2011年9月27日) - テレビ東京『ありえへん∞世界』
-TBSテレビ『白熱ライブ ビビット』「多摩川リバーサイドヒルズ族 エピソード7」に関する意見(2017年10月5日) - TBSテレビ『白熱ライブ ビビット』
-東京メトロポリタンテレビジョン(TOKYO MX)『ニュース女子』沖縄基地問題の特集に関する意見(2017年12月14日) - TOKYO MX『ニュース女子』
-フジテレビ『とくダネ!』2つの刑事事件の特集に関する意見(2018年2月8日) - フジテレビ『情報プレゼンター とくダネ!』
以下、各委員会の扱った事案については下記より。
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