本当の殺人シーンが写っているとされた映画。一度はお蔵入りにもなった殺人フィルム映画「SNUFF(スナッフ)」。初のR指定(外国映画として)となりました。
2020年3月1日 更新

本当の殺人シーンが写っているとされた映画。一度はお蔵入りにもなった殺人フィルム映画「SNUFF(スナッフ)」。初のR指定(外国映画として)となりました。

映画「SNUFF(スナッフ)」は、本当の殺人シーンが入っていると噂になった怪作です。一度はお蔵入りになるも、再編集と綿密なマーケティングを用いて、ヒット作となった映画です。1976年の日本でも話題となりました。

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宣伝に使われたポスター

「SNUFF」

「SNUFF」

切り刻まれるシーンを連想させています。
「SNUFF」

「SNUFF」

こちらも血が飛び散り、惨殺シーンなどを予感させます。
日本で公開前に作られたポスター

日本で公開前に作られたポスター

「全米で上映禁止が続出」(事実です。)

「スローター」→「スナッフ」

『スナッフ』は、もともとは『スローター』というタイトルの映画だった。

74年に製作したもので、マンソン・ファミリーのようなカルト集団による犯罪を描いたソフトコア・ポルノだった。
しかし、その出来は惨澹たるもので、とても上映できるような代物ではなかった。
モナーク社はお蔵入りを決定、映画は長らく倉庫に眠ることとなった。

ところが、折しもアメリカではマフィアが撮った本物の殺人映画(=スナッフ・ムービー)が闇で取り引きされているとの噂が流れ、ニューヨーク・タイムズ等でも報道された。
その記事を見てひらめいたアラン・シャックルトンは、安アパートで4分間の殺人シーンを撮影、倉庫に眠っていた『スローター』の巻末に付け加えた。

タイトルも『スナッフ』と変更。
映画の画像

映画の画像

映画撮影現場で人を殺すシーンを描いた殺人映画。
本当に人を殺したのか話題を呼んで、このシーンの信憑性を出すためにスタッフ・キャストの名前は伏せられている。
パンフレット

パンフレット

スクリーン上の作り物の死を本物であると噂を流すことが、シャックルトンのマーケティング戦略であった。

映画本編の安っぽい作りも、逆に噂に真実味を持たせた。
シャックルトンは、偽の抗議者達を雇って映画を上映中の映画館にピケを張らせることまで行なった。
間もなく、ポルノに反対する女性団体「WAP」が本当の抗議を行い始めたので論争となり、CBSイブニングニュースなどで報道された。

「SNUFF」のあらすじ

Snuff aka American Cannibale (1976) Theatrical Trailer - YouTube

※英語での予告です。
アメリカの女優がリオデジャネイロにやって来た。愛人と会うためだ。

一方、ある豪邸では、乱交が行こなわれてい、サタンなる男が、三、四人の女たちを殺人狂に仕立て上げ、理由もなく残虐な方法で痛め、そして殺して行く。
場面は撮影現場となり、映画を撮り終えた監督が、出演女優の一人をほめ、ベットに押し倒す。だが性交を拒む彼女。

突如、監督は気が狂ったようにナイフを取り出し、恐怖におびえる彼女の肩を切る。
更に指をペンチで、腕を電気ノコギリで、最後には失神した女の腹をナイフで裂き、はらわたを両手でつかみ高々と持ち上げて叫び狂った。

やがて、スタッフの声が聞こえてくる。画面は黒くなってゆき、「やばい逃げろ」と聞こえてくるのだった。
「とんでもない 俺は正気だ」

「とんでもない 俺は正気だ」

21世紀における映像のリアリティを知ってしまうと、どうしても殺人シーンに物足りなさを感じてしまいます・・・。血の感じや撮影技術など(ー。ー;)

しかし、この映画の巧い所は、やはりマーケティングですね!
映画の宣伝を限定的にして鑑賞欲を煽ったり、今で言う口コミを利用したりと、ボツ作品をヒット作にしてしまう手腕は凄いなと思いました。

映画の付加価値大作戦の成功例の一つです。

そういえば、1999年に日本でも公開された「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」にも、通じるものがありますね!

作品データ

監督 マイケル・フィンドレイ、ロベルタ・フィンドレイ
脚本 マイケル・フィンドレイ、ロベルタ・フィンドレイ
出演 不明
公開 1976年(昭和51年)
配給 ジョイパック・フィルム
時間 80分

スナッフフィルムとは?

スナッフフィルム(Snuff film)は娯楽用途に流通させる目的で行われた実際の殺人の様子を撮影した映像作品を指す俗語。
スナッフビデオ、スナッフムービー、殺人フィルム、殺人ビデオともいう。
『ジャンク』シリーズなどのように死体映像、解剖映像、事故映像、処刑映像など、撮影者が殺したわけではない映像はこれに含まれない。

日本での公開

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