私、市川大河が、書評サイトシミルボンで連載している、 『機動戦士ガンダムを読む!』での、 再現画像で使用しているガンプラを、 古い物から最新の物まで片っ端から紹介していこうというテーマのこの記事。
今回紹介するのは、デザインした出渕裕氏が、あえて『機動戦士ガンダム』(1979年)の不遇なモビル・スーツ、ギャンをリメイクした、R・ジャジャの1/144の放映当時キットを紹介していきます。
今回紹介するのは、デザインした出渕裕氏が、あえて『機動戦士ガンダム』(1979年)の不遇なモビル・スーツ、ギャンをリメイクした、R・ジャジャの1/144の放映当時キットを紹介していきます。
R・ジャジャ 1/144 5 1986年7月 600円(機動戦士ガンダムZZ)
『機動戦士ガンダムZZ』(1986年)初動では、出渕裕氏と伸童舎というタッグが敵モビル・スーツのデザインをコーディネートしていた。
それは前作『機動戦士Zガンダム』(1985年)の、メカデザイナーの個性百花繚乱状態よりは単純明快で、それゆえに出渕メカの「狙い」のようなものも、ガンダムマニアは感じ取っていた。
「それ」は、ガルスJやガザDに顕著であったが、同時に物語も転がり始めたこのタイミングで登場する、R・ジャジャとハンマ・ハンマというコンビにも、明快な意図を仕込んでみせたのが出渕流であったといえるだろう。
かつて『機動戦士ガンダム』(1979年)内で、マ・クベという優男が、しかし自分もまた漢の軍人であることを歴史に刻み込むために乗り込んだ、騎士専用のモビル・スーツ、ギャンの系譜を真正面から受け継いだ、ある意味「男らしさ」の象徴のR・ジャジャが、赤く塗られて巨乳の女性リーダーが乗り込み、一方で開花した花束のような異形の姿に、オールレンジ攻撃の両腕を持つハンマ・ハンマが、典型的ジオンのツートングリーンに塗られ、それに騎士を名乗る優男が駆って宇宙を駆け巡る。
それは前作『機動戦士Zガンダム』(1985年)の、メカデザイナーの個性百花繚乱状態よりは単純明快で、それゆえに出渕メカの「狙い」のようなものも、ガンダムマニアは感じ取っていた。
「それ」は、ガルスJやガザDに顕著であったが、同時に物語も転がり始めたこのタイミングで登場する、R・ジャジャとハンマ・ハンマというコンビにも、明快な意図を仕込んでみせたのが出渕流であったといえるだろう。
かつて『機動戦士ガンダム』(1979年)内で、マ・クベという優男が、しかし自分もまた漢の軍人であることを歴史に刻み込むために乗り込んだ、騎士専用のモビル・スーツ、ギャンの系譜を真正面から受け継いだ、ある意味「男らしさ」の象徴のR・ジャジャが、赤く塗られて巨乳の女性リーダーが乗り込み、一方で開花した花束のような異形の姿に、オールレンジ攻撃の両腕を持つハンマ・ハンマが、典型的ジオンのツートングリーンに塗られ、それに騎士を名乗る優男が駆って宇宙を駆け巡る。
そこへ、新主人公のジュドーが、タイトルどおりの新ガンダムZZに乗り込むという流れで、『ガンダムZZ』は序盤のギアをセカンドに入れることに成功した。
ただし、この演出と仕込みの巧さは「アニメ作品内で」のことで、さて、それをビジネスとして展開させるガンプラは、というと、まだまだシリーズ初頭のこの時点で、R・ジャジャ、ハンマ・ハンマ、共に1/144キットは大失敗作になってしまった。
ただし、この演出と仕込みの巧さは「アニメ作品内で」のことで、さて、それをビジネスとして展開させるガンプラは、というと、まだまだシリーズ初頭のこの時点で、R・ジャジャ、ハンマ・ハンマ、共に1/144キットは大失敗作になってしまった。
特にR・ジャジャの場合、そのぼってりしたボディと華奢な腕という、およそ騎士らしからぬ(デザイン段階からの)プロポーションアレンジと共に、R・ジャジャのオリジナルギミックでもあった「バリアブル・シールド(肩アーマー後部の、三角形の突き出たシールド)の回転可動」をなんとしてでも実現させるために、結果、肩の軸の受けにポリキャップが仕込まれているものの、肝心の肩が全く開かない(見た目の誤差と、軸の揺らぎ程度の可動はするが)という本末転倒を生んでしまった。
また、これは初動『ガンダムZZ』1/144キット全般に言えるのだが、出渕デザインによってディテール細かくなった設定画を、その独特の描線自体から再現しきれない技術面の限界論もあり、『ガンダムZZ』関連キットの総合セールスが伸び悩んだのは事実らしい。
実際、『ガンダムZZ』のガンプラは、このR・ジャジャとハンマ・ハンマの直後、1/144 ガ・ゾウムと、大傑作の1/100 完全変形合体ZZガンダムを送り出すのだが、その後はMSV時代のキットの箱替え、金型流用キットばかりになってしまい、シリーズ後半には、ドライセン、ドーベンウルフ、ジャムル・フィン、ザクⅢ等の佳作キットでクオリティを盛り返すのだが、前作のように大型モビル・スーツを1/220で商品化する体力もなく、クイン・マンサ、ゲーマルク等の印象的な大型モビル・スーツは商品化されず、シリーズ自体が尻すぼみっぽく終わってしまった感は否めない。
さて、今回紹介する、そんな「イッちゃってる系女性士官」キャラ・スーンが乗る、ギャン系モビル・スーツのR・ジャジャの1/144キットであるが。
さて、今回紹介する、そんな「イッちゃってる系女性士官」キャラ・スーンが乗る、ギャン系モビル・スーツのR・ジャジャの1/144キットであるが。
ランナーは、オレンジとマルーンの物が一枚半ずつと、この時期基本仕様のA、Bのポリキャップが一枚、あと、ジオン紋章の水転写デカールが付属している。
キットの仕様自体は、各関節にポリキャップを仕込み、武器はライフルとサーベル(ちなみに騎士用モビル・スーツらしく、腰には鞘があり、鞘に納める柄だけのぱーつもある)という、平均的なフォーマットで作られているが、とにかくデザインが仕様の邪魔をしているのか、設計側がデザインを上手く咀嚼できていないのか、1/144 Zガンダム以上に「関節は仕込まれているのに、実際は動かない」完成品になってしまっている。
まともに動くのは、首を左右に振るのと、上腕のロールと肘の曲げ、そして開脚ぐらいで、それすらも、首はデザインの関係で左右30度ずつ程しか曲げられないし、肘もZガンダムとは違って、80度ぐらいまでしか曲げられない。肩は回転する以外は、前述のとおり、ブレる程度に開いたり、前後にスウィングするのが精一杯で、脚部は、開脚も膝関節も足首も、ほぼ固定と思って良い出来で、なんのためにポリキャップが仕込まれているのかが謎と思ってしまうほど。