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三和銀行のマスコットキャラクターのワンサくん
ワンサのキャラクターは、もともとは三和銀行のマスコットとしてデザインされたもので、その名前も"サンワ"を逆にして"ワンサ"とつけられました。
そのワンサを主人公にして、虫プロ商事から刊行された「てづかマガジンれお」に創刊号から連載されたのがこの作品です。
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銀行では、キャラクターが沢山活用されたようです。
最終回
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ワンサを捜し求める旅の疲れか、倒れてしまったママは幸太に抱かれて病院へ。幸太一家の優しさもあってワンサとママは、一緒に暮らせることになった。犬たちもお見舞いを持ってワンサ親子を祝福し幸せな生活がスタートするが、ママの様態はまたしても急変。幸太はワンサのママがあとわずかしか生きられないことを、医師から宣告される。最後の力を振り絞りワンサにもう一度会おうと、ママは病院を出て行く。公園で母子は最後の抱擁をしワンサは神にお願いするが、まもなくママは息を引き取る。泣き崩れるワンサだったが、天国に召されたママのためにも元気に生きていくことを誓うのだった。
虫プロの時代背景とワンサくんについて
ワンサくん自体は実はアニメ用に作られたキャラクターじゃなくって、元々は三和銀行のマスコットキャラクターとして手塚治虫がデザインしたもの。つまりは商業キャラクターなわけで、それを後に手塚治虫が幼児向けのマンガに流用したもの。
はじめにキャラクターありきで生まれたマンガだった訳です。ただ、皮肉なことに、このワンサくんの掲載誌「れお」が売上不振で廃刊になり、その後程無くして発行元の虫プロ商事が倒産。手塚治虫は責任を負わされる形で虫プロの経営を外されることになり、結局昭和48(1973)年に虫プロは倒産してしまうのです。その虫プロ最後の作品…それが、このワンサくんだった訳です。
この頃の虫プロは、初期の「手塚作品をアニメ化するためのプロダクション」では無くなっており、時代に沿った、受けるアニメを連作していました。「あしたのジョー」「国松さまのお通りだい」「ムーミン」と、手塚治虫とは縁も所縁もない作品ばかり。当時手塚氏のマンガは「劇画ブームに埋没した」だの、「もう手塚の時代は終わった」と、揶揄されていた時期でもあり、後に「ブラックジャック」「三つ目がとおる」で復活をとげる前の、ある種の暗黒時代だった訳です。
既に手塚治虫はそこにはおらず、倒産寸前の虫プロで最後の最後に作られたTVアニメが、虫プロ商事倒産のきっかけになった雑誌に掲載された「ワンサくん」というのも、何か因縁めいたものを感じます。(追記・その後虫プロは再建を果たしています。念のため。)