暗黒の虎『初代ブラックタイガー』タイガーマスク佐山聡と熱戦を繰り広げた男の正体
2020年8月2日 更新

暗黒の虎『初代ブラックタイガー』タイガーマスク佐山聡と熱戦を繰り広げた男の正体

無尽蔵のスタミナと多彩なテクニックで初代タイガーマスク(佐山聡)を苦しめた『初代ブラックタイガー』。ダイナマイトキッドや小林邦昭と共にタイガーの宿敵として君臨した男の正体と経歴について紹介。

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マークはイギリス時代の佐山(サミー)との試合についてこう語る。
「私と佐山がやった試合はエキサイティングの一語に尽きた。今でもイギリスのファンはサミー・リーのファイトぶりを鮮明に覚えている。彼は空中殺法と空手・キックのなかに巧みにサブミッションを織り込んだ一種独特の闘い方を身につけていたから。」

ブラックタイガーとして1982年4月21日、蔵前国技館でデビュー

佐山聡がタイガーマスクとして凱旋後の1982年4月21日に、覆面レスラーのブラック・タイガーに変身して新日本プロレスに初登場。

タイガーマスクのWWFジュニアヘビー級王座に挑戦し、両者リングアウトで引き分けた。
以降、タイガーマスクと激しい攻防を繰り広げていく。

【動画】タイガーマスクとの名勝負

1982年4月21日(蔵前国技館)

新日本プロレスに突如現れた謎の覆面レスラー「ブラックタイガー」がタイガーマスクの持つWWFジュニアヘビー級王座に挑戦。
劣勢に追い込まれたタイガーマスクはロープを使った急所攻撃や鉄柱攻撃などらしくないラフファイトを使い辛くもリングアウトでの引き分けに持ち込んだ。

1982年9月21日(大阪府立体育会館)

ブラックタイガーは試合に負けた後も執拗に攻め込み、場外でツームストーン・パイルドライバー(暗闇脳天落とし)まで繰り出す見事なヒールっぷりを発揮した。
※動画の解説音声はイタリア語

1982年5月26日(大阪府立体育会館) 【前編】

1982年5月26日(大阪府立体育会館)
タイガーマスク負傷によるベルト返上後の王座決定戦でグラン浜田を下し、第6代王者となったブラックタイガーに復帰したタイガーマスクが挑戦した試合。

1982年5月26日(大阪府立体育会館) 【後編】

タイガーマスクが、ムーンサルトプレスの元祖とも言われる斜め回転式のラウンディングボディプレスで勝利。
WWFジュニアヘビー級王者に返り咲いた。

1983年2月7日(蔵前国技館)

この試合が二人の最後の対戦となった。
場所はタイガーマスク、ブラックタイガーとして最初に対戦したのと同じ蔵前国技館であるのも二人の因縁を感じさせる。
※動画の解説音声はイタリア語
シングルとタッグを含めて一度もギブアップやフォール負けがないタイガーマスクに対して、ブラックタイガーは勝利こそないが5度も引き分けに持ち込んでいる。
(記録上は勝利となっているが、メキシコでの3本勝負で1本フォールを取られたことはある。)
タイガーマスク vs ブラックタイガー 対戦成績
1982年4月21日 △14分17秒 両者リングアウト
1982年5月26日 〇14分15秒 体固め
1982年8月29日 △18分3秒 リングアウト
1982年9月6日 △11分22秒 両者リングアウト
1982年9月21日 〇19分8秒 エビ固め
1983年1月17日 △11分57秒 両者リングアウト
1983年1月21日 〇11分48秒 回転エビ固め
1983年1月29日 △9分31秒 両者リングアウト
1983年2月7日 〇15分18秒 原爆固め

初代タイガーマスク佐山聡が語るブラックタイガー

マーク・ロコとは、イギリス時代から何試合もやっていました。
ただ、イギリスでのラウンド制のときはあまり感じなかったんですけど、日本でやるようになってから、すごくしつこいなと思いましたね。
バテないで、ちょこまか、ちょこまかと、いいかげんにしろよって思うぐらいに技が細かいんですよね。
本当に梅雨空みたいな感じで(笑)。
ダイナマイトとは対戦していて気持ちいいなぁていう感じでしたけど、ブラックはなんかイヤな感じでした。

ストンピング一つにしても、ダイナマイトはパーン、パーンっていう感じだったけど、アイツはちょこちょこ、ちょこちょこと蹴ってきてね。
だから、こっちが反撃するチャンスがないというか、反撃する隙をつくらないんですよね。

イギリスでのラウンド制のときは、ダイナマイトみたいに思いっきりがいい感じだったんですよ。
でも、日本ではラウンド制じゃないし、実際はどうなのかわからないですけど、もしかしたらバテると思ったから細かく試合を組み立ててきていたのかもしれないですね。
ただ、イギリスでずっと対戦していたので、相手として難しくはなかったですね。
手の内がわかっていますからね。
急所蹴りなど荒っぽさもありましたけど、イギリスではヒールで、そういう攻撃は向こうでもやっていたことでした。
とにかく、いっぱい引き出しを持っていて、試合もよかった。
いいライバルでいてくれたと思います。
悪どい感じでヒールファイトと思われがちですけど、ボクにとってはしつこいというイメージでしたね。
via 週刊プロレスNo.1516 タイガーマスクのインタビューより
いつもは爽快な勝ち方をするタイガーマスクがブラックタイガーとの対戦では辛そうにしていた理由がはっきりしました。
大技はあまり見せないが、こまめに繰り出す技によって、地味~にタイガーを追い込んでいたんですね。

タイガーマスク離脱後も新日本プロレスで活動。

タイガーマスクは人気絶頂期だった1983年8月10日、突如として新日本プロレスへ契約の解除を一方的に申し入れ、現役引退(正確には引退はせず退団)を表明。

ブラックタイガーの活動はどうなるのかと不安視されたが、誰と対戦しても、いい試合を作り上げるブラックタイガーを新日本プロレスは重宝し、ザ・コブラ(ジョージ高野)のライバルとして引き続き新日本プロレスで活動することになった。

ザ・コブラ vs ブラックタイガー

1984年12月28日にはWWFの本拠地ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンに出場し、コブラとのWWFジュニア王座決定戦を行った。

ザ・コブラ&ブラックタイガー vs ダイナマイトキッド&デイビーボーイ・スミス

コブラとブラックタイガーがタッグを組み、同じくタイガーのライバルであったダイナマイトキッドと対戦した貴重な動画。

ブラックタイガーが語るザ・コブラ

私とコブラの闘いは、タイガーマスクVSブラック・タイガーというひとつのエポックメイキングの延長戦上にあったような気がする。
コブラは、常に佐山を意識してファイトしなければならなかったから、ある意味では不遇なレスラーだったと言えるかもしれない。
1986年からは地元の英国マットでフライング・フジ・ヤマダこと山田恵一(現・獣神サンダー・ライガー)と世界ヘビーミドル級王座を争い、1987年8月には凱旋帰国した山田を追って素顔のマーク・ロコとして新日本に参戦。
1989年7月には再びブラック・タイガーに変身し、獣神サンダー・ライガーのIWGPジュニアヘビー級王座に挑戦した。
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