当時の中高生を夢中にした「小さな恋のメロディ」は甘酸っぱい青春を描いた素敵な映画だった
2023年10月29日 更新

当時の中高生を夢中にした「小さな恋のメロディ」は甘酸っぱい青春を描いた素敵な映画だった

「小さな恋のメロディー」は、1971年当時の中高生たちを虜にした、少年少女の淡い恋心を描いたラブ・ストーリーの傑作です。11歳の少年少女の初恋の行方を描いた青春映画で、バックに流れていた「ビー・ジーズ」によるテーマ曲「メロディ・フェア」も素敵でしたね。

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ストーリー

映画 小さな恋のメロディ 名場面

ダニエルとトムは、ロンドンのパブリックスクールに通う、どこにでもいるような二人の同級生。ダニエルは典型的な中流家庭の男の子で、トムは貧しいながらもやんちゃな男の子でした。2人はとても仲が良く、放課後はいつも一緒に遊んでいたのですが、ある日2人は学校で女子生徒がバレエの練習をしている部屋を見つけます。

そこで室内をのぞいた2人の目に入ってきたのが、バレエの練習をする美しい少女の姿でした。その時からダニエルはその美しい少女に夢中になることに。彼女の名前はメロディといい、やがて2人は惹かれ合い、結婚の約束をするのですが……。

ロンドンの公立学校に通う11歳のダニエルが、同じ学年のメロディに恋をします。両親や教師にも内緒で、友人たちに祝福されて2人は結婚式を挙げるという、少年少女のピュアなラブストーリーでした。

英米では駄作の評価

1977年 Mark A. Letzer

1977年 Mark A. Letzer

1964年に東京オリンピックが開催され1970年には大阪で万国博覧会。日本がとっても元気だった頃ですよね。そして万博の翌年となる1971年、日本で意外な洋画が話題を集めていました。そのタイトルが「小さな恋のメロディ」、同年の配給収入で2億円を記録し、洋画興行収入の5位という大ヒットとなりました。

その時の上位4作品が、3.2億円の「ある愛の詩」に続き、「エルビス・オン・ステージ」・「栄光のル・マン」・「チャイコフスキー」となっています。ちなみに邦画のトップは、7.8億円の「男はつらいよ 寅次郎恋歌」となっていて、まさしく昭和を感じますね。

日本で大ヒットした「小さな恋のメロディ」ですが、実はイギリスではまったく話題にも上がらず、むしろ駄作という烙印を押されてしまったのです。更には先駆けて公開されたアメリカにおいても、パッとした成果は見られませんでした。

配給者がイギリスとアメリカでの放映で期待したのは、ダニエル役のマーク・レスターと、友人トム役のジャック・ワイルドの知名度が高かったことでした。マーク・レスターは、1968年のアカデミー賞作品賞受賞作「オリバー!」で主人公を演じていますし、2番手のキャストで共演していたジャック・ワイルドは、天才子役スターとして有名で「小さな恋のメロディ」でも、最初にクレジットで名前が出ています。

とはいえ両国の不振を横目に日本では予想外のヒットを記録し、熱狂的なファンの獲得に成功します。ここから数年、リバイバル公開が何度も続き、TVのロードショー番組でも高視聴率を上げています。著名な映画雑誌として知られる「スクリーン」でも、ダニエル役のマーク・レスターやメロディ役のトレイシー・ハイドがたびたび表紙を飾っていました。

音楽と映像の融合

「メロディ・フェア Melody Fair~小さな恋のメロディ~」ビージーズ  Bee Gees

何より「小さな恋のメロディ」が受け入れられたのは、その4年前にサイモン&ガーファンクルの曲を使った「卒業」の流れを継いだ作品であり、更に進化したスタイルで音楽と映像の新たな可能性が花開いたといえるでしょう。

それまでミュージカル映画など、効果的に音楽を使った作品は数多くありますが、「小さな恋のメロディ」では、ここぞというところでビージーズやCSN&Yの曲が使われ、まるでミュージックビデオのような効果を発揮していましたね。

50年以上を経た現在に改めて鑑賞しても、まったく色褪せていないのがわかります。実はビージーズの楽曲である「メロディ・フェア」や「若葉のころ」は、映画以前の1969年にはすでに発表されていた曲でした。しかし歌詞も含め、映像とあまりに合いすぎていて驚いてしまいますね。
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