「あんみつ姫」原作は1949年生まれ!
そんな「あんみつ姫」の原作は1949年に連載されていた少女漫画。
アニメ版の「あんみつ姫」のイメージが強すぎるせいか、原作が実はもっと昔に誕生していた事に驚いてしまいます。
作者は倉金章介。私たちが知っている「あんみつ姫」とは違うタッチなんですが、昔の漫画独特の雰囲気でこちらのあんみつ姫もとってもかわいいんですよ!そして原作もやっぱり内容は先進的です。
アニメのあんみつ姫も可愛いけれど、原作のあんみつ姫もひじょうに可愛い。こんなゆるゆるな空気感は戦前からの漫画家しか出せない。漫画を購入したいけれど、何故か復刊していない?近年ドラマ化したのに。 pic.twitter.com/D7eTVZTDXY
— 林 孝光 (@hayashitakami2) January 19, 2017
そんな「あんみつ姫」を1986年にリメイク
作者は竹本泉。イラストの雰囲気や名前からよく誤解されたそうですが、男性の少女漫画家です。またまた原作やアニメとはまったく違い、かなり少女漫画らしいタッチで描かれています。星のかんざしがなかったら「あんみつ姫」とは思わないかもしれませんね。
先にも書いたようにアニメ化される際タイアップし「なかよし」でリメイクされて連載がスタートしたのですが、アニメより先行だったというのにあまりこちらの漫画版は知られていません。
タイアップなのに違いすぎて困惑?
主題歌はおニャン子クラブの「恋はくえすちょん」。この歌がまた良くてオープニングにぴったりでした。「あんみつ姫」のオープニングって今改めて見てみると、構図も色使いも動きも全てが素晴らしい!扇子であおぐとかんざしの星がフワッと流れ出す所や、着物の柄のハートが桜の花吹雪になる所なんてセンス良すぎます。
あんみつ姫 OP「恋はくえすちょん」
なぜここまでアニメ版と差がついてしまったのかといえば、まずはイラストのタッチがまったく違うため読者が違和感を持ってしまった点が挙げられます。「なかよし」といえば幼い女の子がターゲット層ですから、「知ってるあんみつ姫と絵がなんか違う」というのは子ども心に気になったのでしょうね。竹本版あんみつ姫もすごくかわいいので残念です。
さらに、漫画版とアニメ版では内容もまったく違いました。アニメ版がドタバタ系のおちゃらけアニメだったのに対し、漫画版はナンセンスコメディが主体。あのアニメのイメージで漫画を読むと「え?」となるのは当然の事で、それも原因の一つだと思われます。
アニメ版と漫画版では出てくるキャラクターもちょっと違って、唯一漫画版で登場した隣の国の若殿様である「さくらもち太郎」というオリジナルキャラクターが、そのままアニメにも登場する予定だったのですがなんと没に。
いろいろ重なって、ほぼ共通点のない別物になってしまったんですね。アニメ化が決まっていたのなら、もう少し内容もキャラクターも寄せて良かったのではないかと思います。違い過ぎると読者は困惑しますからね。連載とアニメの期間が全然違っていたらもっとリメイク漫画版もヒットしていたかもしれません。
復刻版では抗議を受けて内容を改変する事に!?
その際、漫画の中で人種差別的な表現があると抗議を受けて改変をしています。
当時はこういった表現はよくある事でした。映画や漫画やアニメ、バラエティ番組なんかでそういうキャラクターが出てきたりしていましたが、差別だなんて微塵も思わずみんな受け入れいていました。童話の「ちびくろさんぼ」が差別!と言われ出した時、衝撃的でしたから。時代の流れですね。
出先で作業の昼休み、近くにあった古本屋のワゴンで竹本泉版「あんみつ姫」を読んでたら店員さんがつかつかとやってきて「当時このコマが問題になり後の版でカットだか増刷が止まっただかしたんですこわいですねふふふ」と言い店内に去っていった。ワゴンの一冊にもセールストークに気合。買ってしまう pic.twitter.com/JkdS5lJwVA
— 裏庭映画保存会 (@uraniwamoviecom) January 25, 2017
竹本版「あんみつ姫」もやっぱり面白い!
竹本泉は時代劇として「あんみつ姫」を描いていません。現代の日本の隣にあんみつ達が暮らす国が存在している、という設定なんだそうです。だからこそナンセンスコメディがしっくりくるのでしょう。もともと「あんみつ姫」自体が古い時代劇ではありませんが、竹本泉版「あんみつ姫」はさらに身近に感じられる作品になっていると思います。
ポップでかわいらしい絵柄もそんな「あんみつ姫」の世界観にぴったり!ぜひ気になる方は読んでみてくださいね。