【史上最強の男】マイク・タイソン 頂点から転落、神話崩壊、そして伝説となる
2018年1月12日 更新

【史上最強の男】マイク・タイソン 頂点から転落、神話崩壊、そして伝説となる

師:カス・ダマトは亡くなり、唯一タイソンを叱ることのできた兄弟子でありトレーナーだったケビン・ルーニーも、タイソンの生む利益にのみ関心のある者たちによって引き離され、全盛期といわれる1988年以降、マイク・タイソンの神話は崩壊していった。

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Mike Tyson Flips out at Tyson-Lewis Press Conference

 (1673407)

6月5日、
公開練習でタイソン陣営は「5R以内のKO」を予告
ルイス陣営も「LEWIS05 」のTシャツを着て5R以内のKOを予告
掛け率は
タイソン+180($100賭けタイソンが勝つと+$180)
ルイス-200($100儲けるために$200賭けねばならない)でルイス有利
タイソン判定7/1 
タイソンKO9/5 
ルイス判定8/5 
ルイスKO5/6 
引分け20/1
6.5R超+120 
6.5R以内の決着-140($100得るために$140賭ける必要あり)
当日のリングアナウンスはタイソンをジミー・レノンJR、ルイスをマイケル・バッファーが行う
6月6日、
計量会場はものものしい雰囲気に包まれた
警備は過去のボクシング興行に例をみないほど厳重で
会場には2重3重のチェックポイントが設けられ金属探知機まで出動した
関係者はテロ事件に備えての措置と説明したが理由はそれだけではない
1月にニューヨークで行われた記者会見で両陣営は大乱闘を起こした
その再発を懸念してのことだろう
計量はトラブルを避けるため
ルイスは12時から
タイソンは3時から
ルイスは249 1/4(113kg)
タイソンは234 1/2(106.5kg)
ルイスはナックルの薄いREYESグローブを選択した

vs Lennox Lewis(レノックス・ルイス)

 (1673410)

2002年6月8日、
ロックンロールの伝説的スーパースター:エルビス・プレスリーが誕生した聖地
テネシー州メンフィス、ザ・ピラミッドでボクシング界のスーパースター同士が激突した
WBC・IBF世界ヘビー級タイトルマッチ
WBC・IBF世界ヘビー級チャンピオン:レノックス・ルイス
vs
元3団体統一世界ヘビー級チャンピオン:マイク・タイソン
両者の報酬が最低で17.5million(約22億円)ずつ
アメリカでのPPV視聴料金$54.95(約7千円)で
60万件予約があり
最終的には100万件を越えると想定され
リングサイドチケットが$2400(約30万円)
究極のマッチメイクだけあって天文学的な金額が並ぶ
驚くべきはチャンピオンのルイスと挑戦者のタイソンのファイトマネーが同額であること
やはりタイソンの商品価値はズバ抜けている
レノックス・クラウディス・ルイス(Lennox Claudius Lewis)は、
身長196cm、113㎏、リーチ208cm、
カナダで育ちカナダ代表としてソウルオリンピック・スーパーヘビー級で金メダル獲得
プロ転向後、イギリスに帰化
スピード・パワー・テクニックを持ち合わせ1990年代最強のヘビー級ボクサーとの呼び声が高い
オーソドックスでなおかつパワー・スピード・テクニックを持ち合わせた重量級ボクサーの教科書のような選手である
196cmという大きな体、長いリーチと破壊力、持って生まれた体格を最大限に活かし、
低リスク、かつ迫力あるボクシングを展開する
タイソンは180cm
ヘビー級では小型である
歴代ヘビー級チャンピオンで
身長6フィート(約180cm)未満は僅か6人、
73年のジョー・フレジャー以降ではタイソン以外皆無である
小型選手のハンディを負うも
リング上でのその闘争本能が観衆を常に引きつける天才タイソン
ニューヨーク・ブルックリン
矯正院、
オリンピック予選敗戦、
最少年ヘビー級王者
離婚した妻は女優ロビン・ギブンス
プロモーターはドン・キング、
怠惰による王座陥落
レイプ
暴言
暴行
タイソンは20代前半までに凝縮された両方の体験をほぼすべて経験した
一方のルイスは、
ジャマイカ系でカナディアンで英国に落ち着いた移民の流れをくむ
趣味はチェス
36歳独身、母親の手料理を好む
トラブルとは無縁
ボクシング界を代表する現代のトップアスリートである
物静かで品性そして知性さえ感じさせ
なぜボクシング?と考えてしまうほどの紳士で
完全な大人である
「狂気と夢を持つ男」タイソン
「理想的アスリート」ルイス
これは単なるヘビー級タイトルマッチではなく好対照な2人の男の人生の激突でもある
ルイスの強みは
ファイタータイプ、ボクサータイプのどちらのボクサーにも対応できる点
ボクサータイプならリーチを活かした左ジャブから右ストレートでKOを狙う
懐に入ってくるファイタータイプなら右アッパーから右ストレートで距離を取って戦う
タイソンはルイスの懐に飛び込んで左右をフックを決めたい
両者の入場
タイソンは集中して落ち着いている
ルイスはレゲエの独特なテンポにのりゆったりと入場した
しかし両者共に相当緊張している
 (1673411)

日本時間12時27分27秒にゴングが鳴った
1R
いきなり攻めていくタイソン
頭を左右に振り
ダブルジャブを使い
危険な距離に飛び込み左フックを狙っていく
ルイスは上体が立ってしまい真っ直ぐに非常に危険な下がり方をする
たまらず196cmの身長を使い180cmのタイソンを上から押さえつける
2R
ルイスが伝家の宝刀を抜いた
懐に飛び込もうとするタイソンに強烈な右アッパー
この一撃が勝負の一打となった
アッパーを喰らったタイソンの動きはパタッと止まった
それ以後何かを考えているように一瞬遅く迷ったような動きを繰り返す
ルイスの右アッパーはタイソンの警戒心をあおりタイソンは迷いながらボクシングをするようになったのだ
懐に飛び込むことだけでなく頭を振ることも忘れてしまい
それからはラウンドを追うごとにルイスのリズムが良くなる
タイソンはルイスの正面に立ち戸惑っているうちにルイスの攻撃をもろに受け続けてしまう
196cm、113kgのジャブのダメージは想像以上であろう
タイソンはなすすべがなく彷徨うようにルイスのジャブと右をもらい続ける
タイソンは脱出するためにルールすれすれの行為を試みることもあるが
今日は全くない
ルイスは慎重
タイソンの逆転のパンチを警戒し深追いは絶対にしない
安全運転でロングジャブ、右とカウンター、アッパーでタイソンをいたぶるように攻め続ける
6R
タイソンはダメージで足がふらついている
左右の目尻をカットし
左瞼大きく腫れて
鼻からは血が滴り落ちている
8R
タイソンの左右のまぶたは腫れ上がり視界は奪われている
ルイスはサンドバッグ状態のタイソンに対して猛攻を仕掛け
右アッパーでこの試合初めてのダウンを奪う
何とか立ち上がるタイソン
頭を左に避けるように動かした瞬間
ルイスは右フックでタイソンを襲った
ルイスの右のロングフックはタイソンの顎にもろに入った
タイソンの顔が反対方向に捻じ曲げられ、
タイソンは静かに崩れた
再び立ち上がろうとするタイソン
レフリーのカウントに反応するのでなく、
すでに本能のみで立ち上がる
しかし無情にもカウントは進み8RKOで試合は終了した
世界中のボクシングファンが待ち望んだヘビー級最強決定戦は
チャンピオン:ルイスの圧勝で幕を閉じた
試合後、ルイスは引退を示唆した

KOシーン

ハイライト

フル動画

K-1

 (1673415)

2003年、
タイソンの左目周辺に、NZマオリ族のシンボルという刺青が施された
6月
暴行容疑で逮捕
2004年4月15日、
K-1の試合出場契約を結ぶが
薬物犯罪者は日本に入国できないため実現は不可能
300億円以上稼いだといわれるタイソンは
破産宣告をし
裁決の結果、それでも30億円の支払いが残っている

K-1 Bob Sapp vs. Mike Tyson

vs Danny Williams(ダニー・ウィリアムズ)、膝の靭帯を断裂して負ける

 (1674193)

マイク・タイソンは
ケンタッキー州ルイビルで1年半ぶりの復帰戦となるノンタイトルマッチに臨んだ
1R
タイソンは試合開始から得意の左フックを中心に積極的に攻めて出た
約1万7000人のファンの声援を背に受け強烈な左右のパンチを顔面、ボディーへと打ち込み、
何度もウィリアムズをふらつかせた
しかし1R中盤で膝の靭帯断裂していた
その後、タイソンは失速し次第に後退する場面が多くなる
4R
タイソンはウィリアムズの20発以上のラッシュをまともに受けグロッキー
最後は右フックを浴び、腰からダウン
ロープにもたれたままテンカウントを聞いた
タイソンの約1年半ぶりの復帰戦は無残なKO負けとなった
「申し訳ない
がっかりしている」
試合後そうつぶやいたタイソンはすぐさま病院へ直行
鉄人は選手生命最大のピンチを迎えた

Mike Tyson V's Danny Williams

vs. Kevin McBride(ケビン・マクブライド) ラストファイト、6RTKO負け

 (1674198)

2005年6月12日、、
ケヴィン・マクブライドは
元アイルランド・ヘビー級チャンピオン
198cmの巨人
タイソンとのリーチ差は23cm
約1年ぶりの再起戦となったタイソンに対し
リングアナウンサー(ジミー・レノン・ジュニア)のコールは
「ロンリー・アイアン(孤独の鉄人)!」
タイソンの動きは重く
長身のマクブライドに詰め寄られる
マクブライドのリードブローをタイソンはダッキングで回避するが
そのスピードは全盛期に遠く及ばない
しかし強烈なパンチは健在
それは空振りでも相手に恐怖を植えつける
突進するタイソン
左、右の連打で、マクブライドを棒立ちにさせ
左のボディー、アッパーカット
さらに左のアッパーから右のボディー!!
観客は総立ちになった
5Rには
肘打ち(反則)、頭突き(反則)まで突き上げた
しかしこのラウンドの途中から動きが止まる
終始守勢に回っていたマクブライドが
タイソンをロープに詰めてボディー、アッパー
さらに巨体を生かして上から覆い被さるように連打した
6R、
タイソンはラッシュ
しかし脚は動いていない
マクブライドはクリンチで逃れ至近距離からパンチを打っていく
タイソンはマクブライドの肘を関節技で極め(反則)
マクブライドは悲鳴を上げた
さらにクリンチにきたところをバッティング(頭突き)
これは「故意」とされ減点2
マクブライドは流血
タイソンは起死回生を狙った右を大きく空振り
マクブライドは懲りずにクリンチ
タイソン、再度、腕を極め
マクブライド、悲鳴
残り30秒、
タイソンは脚が動かない
棒立ちになりマクブライドの左右の連打を頭部に食らいさらに棒立ち
マクブライドは攻勢をかけながらもクリンチ
アッパーを突き上げ
ロープに押し込み
左右の連打
棒立ちのタイソン
ロープに詰まり右の連打を食らい
マクブライドの巨体に上から圧し掛かられた瞬間に崩れ落ちた
レフェリーはスリップダウンと認定
ここで6R終了
タイソンは足取り重くコーナーに戻った
7R
セコンドはタイソンにストップを促し
タイソンもそれを受け入れ
ゴングが鳴ってもタイソンが出て行かなかったため
レフリーは試合終了させた
試合後の会見で引退も示唆した
「もうこれ以上、ボクシングを侮辱したくない」

コカイン所持

 (1674200)

2006年12月29日、
自動車でナイトクラブから帰宅する途中にパトカーと遭遇し衝突しかけた
取り調べを受けた際
飲酒運転およびコカイン使用所持(再犯)が発覚し逮捕された
2007年11月19日、
昨年12月にコカインを使用、所持したまま自動車を運転したとして逮捕され禁固1日、執行猶予3年の判決を受けた
9月に司法取引に応じてコカインの所持、使用を認めていた
タイソンは取り調べでコカインを常習的に使用していたことやマリフアナを吸引していたことを認めた

「記憶してもらうだけで幸せだ」

 (1674203)

2008年1月30日、
マイク・タイソンは南アフリカでのインタビューで
「記憶してもらうだけで幸せだ」
などと語った
子ども向けチャリティーの募金活動で当地を訪れているタイソンは
「戦争のない場所であればどこへでも行きたい
ケニアにも行きたいがあそこは内戦状態になっている」
と語った
またもう自分自身は悪童ではないと語り
ボクシングへの関心もないとコメント
「年を取り過ぎたと感じる
記憶してもらうだけで幸せだ」
と話した
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