【史上最強の男】マイク・タイソン 頂点から転落、神話崩壊、そして伝説となる
2018年1月12日 更新

【史上最強の男】マイク・タイソン 頂点から転落、神話崩壊、そして伝説となる

師:カス・ダマトは亡くなり、唯一タイソンを叱ることのできた兄弟子でありトレーナーだったケビン・ルーニーも、タイソンの生む利益にのみ関心のある者たちによって引き離され、全盛期といわれる1988年以降、マイク・タイソンの神話は崩壊していった。

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BOXING Mike Tyson VS Razor Ruddock 1 Highlights

vs Donovan "Razor" Ruddock(ドノバン”レイザー(カミソリ)”ラドック) 再戦

 (1673315)

1991年6月28日、
ドノバン・ラドックと再戦は
壮絶な打ち合いのまま判定までもつれる死闘となった
タイソンは鼓膜を破り
ラドックは顎を砕かれた
ラドックは2Rと4Rにダウンを奪われ
タイソンはスマッシュでマウスピースを飛ばされた
結果は4P~6P差でタイソンが勝利
タイソンと真っ向から打ち合って判定までもつれたのはラドックが初めてだった

Mike Tyson VS Razor Ruddock 2 Highlights

レイプ疑惑

 (1673318)

1992年3月、
ディズィリー・ワシントンがホテルの一室でレイプされたとしてマイク・タイソンを訴え
タイソンは婦女暴行罪でインディアナ州マリオン郡高裁により
実刑6年罰金3万ドルの判決を受け
同州ペルドルトンの刑務所に収監された
この裁判は
状況証拠が一切なく被害者であるディズィリー・ワシントンの証言のみである
タイソンは合意の上でのSEXだったと話した
彼にモーションをかけているディズィリーの姿を目撃したという情報もあった
タイソンが様々なトラブルから世間の評判を落としており
裁判官らの彼に対する印象が悪かったためであり有罪判決はタイソンの不運という識者も多い
「あの女がホテルまで来て自分からパンツを脱いだんだ
ファック準備完了ってやつさ
だから俺はファックした
体の隅々まで舐めてやった
アソコもケツも舐めてやったなのに俺はあいつのケツをヤッた(レイプした)という事になってる
どうせ最初っから全部計画してたんだろうよ
今じゃ俺は最低のゲス野郎さ
もう慣れちまったがな」
(マイク・タイソン)

Mike Tyson Admitting Rape?

「He is back」

 (1673325)

1995年、
3年間服役後、仮釈放
服役中にイスラム教に改宗し、
マリク・アブドゥル・アシスという名を持った
そして
毛沢東(右腕)、
アーサー・アッシュ(左腕)、
チェ・ゲバラ(左脇腹)
の刺青が入った
毛沢東は
中華人民共和国の建国の父
アーサー・アッシュは、
男子テニス選手で
黒人テニス選手の先駆者として活躍し
エイズのため49歳で死去した
4大大会で男子シングルスを制覇した初の黒人選手である
チェ・ゲバラは
伝説的なゲリラ指導者である

vs Peter McNeeley(ピーター・マクニーリー) 

 (1673330)

レイプ罪による実刑判決を受け
4年余りのブランクをもったマイク・タイソンがカムバックした
記者会見でマクニーリーは吼えた
汚い言葉を吐きまくった
タイソンは物静かだった
試合当日、リングに向かうタイソンがビッグモニターに映し出されたとき
会場は異様な空気になった
タイソンにゾッとしたのだ
タイソンの表情は暗く
まさに今から人を殺しに行く男の顔だった
闘うことを生業に
拳だけで人生を切り拓いてきた男の黒い躰は筋肉の鎧で覆われ
僅かな動作をする度に両腕の筋肉が生き物のように動いた
マクニーリーは・・・・
記者会見の威勢はどこに行ったのか
ビビっていた
試合はたった89秒だった
1Rにタイソンがダウンを奪うとマクニーリーのセコンドが乱入
タイソンの失格勝ちとなった

Mike Tyson vs Peter McNeeley

vs Buster Mathis, Jr.(バスター・マチスJr)

 (1673344)

復帰1戦目を1RKOし世界ランク1位となったタイソンの2戦目は
世界ランク4位、22戦負けなしのマチスJr
マチスはタイソンを押し込んでタイソンの懐に入り超接近戦
タイソンはボディブローは当たるものの顔面への攻撃はかわされ
マチスはクリンチも駆使した
3R
しかしタイソン高速サイドステップからの右アッパーがマチスJrの顔面に炸裂、
すかさずラッシュ
マチスJr、ダウン
何とか立ち上がったがレフリーが10カウントを数え試合終了

Mike Tyson vs Buster Mathis Jr. Highlights

vs Frank Bruno(フランク・ブルーノ) 再び世界チャンピオンになる

 (1673350)

1996年3月、
イギリスが誇る世界ヘビー級チャンピオンのフランク・ブルーノとアメリカが誇る「鉄人」マイク・タイソンがWBC世界ヘビー級タイトルマッチで8年ぶりに拳を交えた
チャンピオン:フランク・ブルーノ、44戦40勝38KO4敗
挑戦者:マイク・タイソン、44戦43勝37KO1敗
ラスベガスのMGMグランドガーデンには1万6000人の観客が集まり
試合は世界97の国で放送された
このメガファイトはファイトマネーも規格外で
チャンピオンのフランク・ブルーノのファイトマネーが600万ドル
挑戦者のマイク・タイソンのファイトマネーは驚愕の3000万ドル
世界中のボクシングファンはマイク・タイソンを待ち望んでいた
試合は
開始直後から両者ともKOを狙ってパンチを強振する展開
身長11cm、リーチ28cm、体重12㎏という体格差を埋めるため
マイク・タイソンはフランク・ブルーノの懐へ鋭く飛び込んで強打を振る
フランク・ブルーノはタイソンが飛び込んでくるタイミングを探りながら右ストレートと右アッパーのカウンターを狙う
お互い相手を一撃で沈めるパンチ力を持っているので全く目が離せない
1R残り40秒、
タイソンの踏み込みに合わせたブルーノの右アッパーでタイソンの腰が一瞬落ちる
しかし残り20秒
マイク・タイソンも強烈な右ストレートをフランク・ブルーノのアゴへ叩き込んだ
2R開始
タイソンはいきなり飛び込んで左右のフック
ブルーノはクリンチを使い必死に耐える
一撃の威力を比べるとタイソンの凄まじさが際立っている
ラウンド中盤
タイソンの左フックがブルーノのテンプルをとらえ、さらに右ストレートがブルーノのアゴを打ち抜いた
驚異的なタフネスを誇るブルーノがフラついた
3R、
タイソンが一気に勝負をかけた
ブルーノがサウスポーにスイッチしてタイソンの攻撃を防ごうとした瞬間
タイソンの強烈な左フックがブルーノのアゴを打ち抜き
ブルーノの腰が落ちた
ブルーノは何とかタイソンに抱きついてクリンチをしようとするが
タイソンは力づくでクリンチをふりほどき左フック、右フックを顔面に叩き込み
さらにブルーノのアゴを狙って右アッパーを3連打
最後は左フック、右アッパーの2連打でブルーノが崩れ落ちたところでレフェリーが試合をストップ
マイク・タイソンがフランク・ブルーノに3RTKO勝ちをおさめ
復帰3戦目で悲願の世界チャンピオンを手に入れ王者に返り咲いた

Mike Tyson vs Frank Bruno II

vs BruceSeldon(ブルース・セルドン) 再びヘビー級統一王者に

 (1673355)

ブルース・セルドンは、
ニュージャージー州アトランティックシティ出身
ニックネームはアトランティックシティ・エクスプレス
タイソンと似たような体格、体型
似たようなボクシングスタイル
スピードもパワーもある
また過去に強盗容疑で服役したこともあり人生も似ているかもしれない
しかし両者は決定的な優劣がある
それはタフネスである
セルドンは打たれ弱い
タイソンはそのオフェンスが目立つがディフェンスもすばらしい上に肉体も心も異常にタフだった
1R、
いつも自分より大きな選手をガンガン戦っているので
タイソンが同じ体格の選手と戦う姿は新鮮だった
タイソンのフックがセルドンの頭頂部をかすりダウン
明らかにセルドンはタイソンを恐れている
2発目もクリーンヒットではなかったがセルドンは2度目のダウンをした
「止めろ!」
観客が叫んだ
直後、試合は中断された
ボクシングにおけるタフネスとは
肉体的なものと精神的なものがあることが証明された瞬間だった
タイソンは出所後3戦目で世界タイトルを奪取、4戦目で2冠を達成した
そのリング上でのインタビュー
「ああ・・カス・ダマト
あんたはツー・ダウンをとったぞ
あとワン・ダウンで俺達の勝ちだ
あんたは遠い遠いところで寂しがってるんだろうな
もう少し待っててくれ
俺が肩の荷を下ろしてやるぞ!」
セルドンは控え室で号泣し以降8年近くリングから遠ざかった
また俳優の2パックが
この試合を観戦した帰り道、乗車したまま何者かに射殺された
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